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まもなく1ドル=50円時代がやってくる No.53【2004年11月29日】
http://www.chibalab.com/news_otoshiana/documents/041129.htm
グリーンスパンFRB議長の裏切り?
しかしこれはあまりにもリスクの高い、国際的に信用を失ってもかまわない最後に残された奥の手と言えるものである。今のアメリカには、私が思うに、まだほんの少し余裕が残されているような気がする。
それよりもまず、これらのあまりにも不可解なグリーンスパン氏とスノー財務長官の発言のタイミングと、その流れにピタリとタイミングを合わせたロシアや中国のユーロシフトへの移行は、私、千葉邦雄が思うに、あまりにも出来すぎている。例のごとくストーリーテリングされたいつもの出来レースの臭いがしてしようがないのだ。
このあまりにも急激なドル離れの雪崩現象は、ブッシュの共和党政権が意図したものであるというよりは、国際協調派の欧ロスチャイルドと民主党が手を組んで、ブッシュ政権を支持するキリスト教原理主義と石油資源産業と軍産複合体からなる米ロックフェラー勢力に反逆の手段として襲いかかっているのである。
最近アメリカの公定歩合に似たFFレートが引き上げられているのは、欧州系のヘッジファンドと呼ばれる投機筋が、金でヘッジされたユーロ建てで、米ドルの先物を売り続けている流れが加速しているからである。フランスやドイツのヨーロッパ勢は、以前から「ドル暴落」を戦略として虎視眈々と狙っていたのである。そんな風な欧ロスチャイルド勢力と米ロックフェラー勢力との権力抗争の半ばで、いきなりグリーンスパンFRB議長とスノー財務長官の不可解な発言が、世界に向かって発信されたのである。
グリーンスパンFRB議長はイギリス王室から一代貴族の称号を貰っているから、もしかしたら欧州系ロスチャイルドに取りこまれている可能性が高い。だとすれば共和党政権である今のうちにグリーンスパンFRB議長をさっさと退任させて、共和党の流れを妨害されないために、グレーン・ハバート経済諮問委員長あたりが起用される新たな流れが起きるかもしれない。
■「テロ戦争経済」はブッシュの背水の陣
今ふたつの大きな流れが世界情勢の中で激しく衝突し、熾烈な権力争いが目に見えない闇の世界で蠢いている。ブッシュ政権を乗っ取ったネオコンと親リクード派である米ロックフェラー系共和党勢力は、『大イスラエル主義』と『ドル基軸通貨防衛』のために「中東の泥沼化」と「テロとの戦争」の拡大を求め、もう一方の欧米のロスチャイルド系民主党勢力は、『国際協調主義』でユーロ圏にロシアや中国等を取り込むことによって『ドル基軸体制の崩壊』を加速させることで、「ドル暴落」を企んで巻き返そうとしているように思える。
もちろんアメリカを支配している勢力は、ブッシュ政権がやろうとしている「テロ戦争経済」を選択したことは間違いないのだが、どうやら水面下での未来の潮流シナリオに於ける権力闘争は、相当に血みどろな模様である。長期的には間違いなく米ドルはその輝きをしだいに失い、1ドル=50円相当に暴落し、ドル帝国主義は、まちがいなく崩壊すると思う。だとすればなおさらリベラルな民主党の協調主義では、もはや「ドルの暴落」を食い止めるすべはないのである。
だからこそ、ブッシュ政権が「アメリカの国益」として支持されたのである。アメリカのドル帝国主義を防衛するために、ブッシュ政権は、世界のドル離れの雪崩現象を食い止めなければならない。たとえどんな方法を用いようとも。とにかく、もはや一刻の猶予もない非常事態なのである。
そのために、アメリカはどうでもいいウソの口実をいろいろデッチ挙げてアフガンやイラク戦争を始めたのであり、「テロとの戦争」やロシアや中国を仮想敵国にすることで、末永く「危機」を煽り創造していくことが、アメリカのマニフェスト・デスティニー(運命的使命)なのである。アメリカだけが世界を制覇して民主化できる特別な国であって、ドル帝国主義の覇権によってのみ、軍産複合体と石油資源企業等を世界の公共事業として、末永く繁栄持続させることができると考えているようである。
そういう意味では、確かにブッシュ政権は、宗教右派、或いは福音派とも言われるキリスト教原理主義と一体となった、ハルマゲドン覚悟のカルト政権と言えるかもしれない。アメリカの大統領選が終わった今、為替の今までの歪が一気に表面化している。その上欧州系のヘッジファンドは「ドル暴落」を狙ってここぞとばかりにドルを売り続けているし、中国もロシアもみごとにタイミングを計ってユーロに決済通貨を切り替えている。確かに、みごとなユーロ連合ロスチャイルドの反撃である。
それに対して日本は、2003年度だけでも30兆円もの米国債買いをしたのである。そして日本の財務省は今までに約90兆円の外貨準備を持っている。この他に民間金融機関も約100兆円の米国債を持っているから、ドルがもし20%位下落しただけで、38兆円もの含み損がでることになる。つまり、民間の金融機関の自己資本は一瞬の内に消えてしまうことになる。そんなリスクを負って、日本政府はイラク戦争の戦費をバックアップしてきたのである。
■地政学的な日本の未来と「和」の精神
今後確実にやってくるドル暴落に対して、アメリカを救えるのは、もはや世界で日本しかないのである。今後世界の新しい通貨体制は、ユーロとドルの2大通貨を基軸としたバスケット通貨体制に移行していくと思われる。そしてその紙片を担保するのは、以前のように金だけではなく、様ざまな貴金属や石油や穀物等によって保証される通貨体制に向かっていくようである。問題なのはそこへ向かう過程で、ドル帝国主義がハードランディングしないよう援助してくれる国がアメリカには必要なのである。
ロシアも中国もユーロ連合に加わる流れが出来上がってしまった以上、それを出来るのは、もはや世界第2位の経済大国日本だけである。アメリカ帝国主義をソフトランディングの流れにもっていける国が、世界の中で日本しかいないことをアメリカに自覚してもらうことで、日本が今後ドル帝国主義を支えていく過酷なリスクを、日本が巧みに政治的カードとして使うことで、日本という国が、アメリカの属国の立場から、「自立した国家」に移行できる最大のチャンスが訪れたのである。
この政治的カードをうまく使えば、来たる「台中戦争」後には、日本は「アメリカの属国」の立場から、本当の意味で「自立した国」になれると思う。「その時はまちがいなくやってくる」と私、千葉邦雄は予言する。
台湾を介しての「米中戦争」がすでに規定路線になっている以上、日本は、中国を中心とする北朝鮮や韓国等の「大陸アジア」であるランドパワー国家に出来るだけ距離を置くようにして、豪州や台湾やフィリピンやASEAN諸国を中心とした「海洋アジア」であるアジア・シーパワー同志の連携を模索していくべきである。アメリカが中東で消耗しつくして覇権力が低下してしまうだろうから、日本は独自に制海権を確保しつつ、オーストラリアや台湾やASEANで新たな経済圏、集団安全保障連合体制を構築していかなければならない。
そのシーパワー連合の「和」の中心に日本がなって、頼りにされるリーダーシップを発揮していきたいものである。日本の未来は、地政学的に南に向かって、海洋アジアの「和」を創造していくのが一番似合っている。
千葉邦雄のニュースの落とし穴
http://www.chibalab.com/news_otoshiana/
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
★ もうひとつの日本は可能だ 内橋克人 (光文社 2003)
★ 老人税 副島隆彦 (祥伝社 2004)
★ ビジネス知識源 2004年10月19日号 Vol.200 吉田繁治
★ 環太平洋国家連合がアジア太平洋で支持を集める 江田島孔明