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2004.11.25
Web posted at: 13:36 JST
- CNN
サウジアラビア・ジェッダ(CNN) 国際テロ組織アルカイダの最高指導者オサマ・ビンラディン容疑者の義兄弟でかつて最大の親友だった男性がCNNの単独取材に応じ、ビンラディン容疑者と過ごした10年間について語ると共に、同容疑者の拘束は難しいだろうと話した。
紅海に面するジェッダ郊外で鮮魚店を経営するムハンマド・ジャマル・ハリファさんは、ビンラディン容疑者とジェッダの大学で知り合い、その後は共にソ連占領下のアフガニスタンで戦った関係。ハリファさんは米国とフィリピン当局にアルカイダ幹部として手配され、ヨルダンやサウジアラビア当局に逮捕された後、釈放されている。
ハリファさんはCNNのロバートソン記者に対して、「10年もの間、ロシア軍はアフガン・ムジャヒディーン(イスラム戦士)の指導者を誰1人として拘束できなかった。(ビンラディン容疑者拘束も)同じように難しいと思う。誰がどこで彼をつかまえられるのだろう」と話した。
ハリファさんによると、2人は1970年代後半、ジェッダのアブドルアジズ国王大学で知り合い、親友となった。
「10年間、一緒に過ごした。大学と、その後。いつも一緒だった。同じ家に住んでいた」とハリファさん。
2人は共通の恩師のもとで学んだ。この人物はパレスチナ出身のイスラム僧アブドラ・アッザム師で、後にアルカイダ創設者のひとりとなった。アッザム師の影響を受け、2人はアフガン・ムジャヒディーンの対ソ抵抗戦争に参加する。
ビンラディン容疑者はこの時期、自分の姉妹と結婚するようハリファさんに勧めたという。ハリファさんは、「これから戦場に行くというのに、オサマ、僕たちは死ににいくんだ。なのに結婚の話なんておかしい。まず行って、生きて帰って来られたらそうしよう」と答え、アフガンから帰還後に、ビンラディン容疑者の女兄弟と結婚したという。
1980年代に入り、ビンラディン容疑者がパキスタンとアフガニスタンで、自分に忠誠を誓う兵士を集め始めているのに気づいた。後にアルカイダ幹部となった複数の兵士に何度か質問されたが、あれは自分がアルカイダに参加するつもりがあるか試されていたのだと、後から気づいたという。
ハリファさんは、自分はビンラディン容疑者が唱える世界レベルのジハード(聖戦)に反対だったため、「オサマに向かって、『君のやってることは間違っている。間違った方向に向かっている』と言ってやった」と話す。「しかしオサマはとても金持ちだ。有力なコネクションがたくさんあり、オサマを愛している人は本当にたくさんいる」ため、自分の反対は聞き入れられなかったという。
ハリファさんは1980年代末に、ビンラディン容疑者とのつきあいを止めたと話している。しかし連絡はその後も取り合い、最後に見かけたのはスーダンを訪れた1992年初めだったという。
ビンラディン容疑者が同時多発テロの関与を認めたことについて、ハリファさんは「具体的な計画を彼がしたわけはない」と言い、「何かを計画するなんてことは、彼にはできない。私と一緒にいたとき、リーダー役はいつも私だった。祈りにつれていくのも、外出を計画するのも、ピクニックに連れて行くのも、乗馬に誘うのも、全て私だった」と笑う。
ハリファさんはアルカイダとの関係を否定しているが、米当局などによると、「アブ・バラ」の通称で知られるハリファさんは、アフガン戦争中にフィリピンでゲリラ兵募集のための組織を設立。貿易会社を装いアフガニスタンに武器や戦闘員を送り込んだとされている。また米当局は、93年の世界貿易センタービル爆破事件にハリファさんが関与したと見ているほか、フィリピン当局は、ハリファさんが複数の慈善団体を通じて、アルカイダ系過激派組織アブサヤフの資金調達を担っていたと見ている。
ハリファさんはヨルダンで起きた劇場連続爆破に関連して逮捕され有罪となるが、後に証人が証言を撤回したため無罪となる。93年の世界貿易センタービル爆破の実行犯がハリファさんの関与を証言したため、再びヨルダンの法廷に立ったが、これも無罪となる。2001年9月11日には商用で東南アジアにいたというハリファさんは、サウジアラビアに帰国後、当局に逮捕されたが、数カ月後に釈放された。
「ただいきなり、もう行っていいと言われた。それだけだ。何がなんだか分からなかった」とハリファさんは言う。
アルカイダやビンラディン容疑者との関連を疑われ続けているハリファさんは、同時多発テロ以降、たびたびマスコミに出演し、自らの潔白を主張すると共に、ビンラディン容疑者批判を展開している。サウジアラビアで昨年、テロ攻撃が続発した際には、ビンラディン容疑者にあてて「攻撃を止めさせられるのは君だけだ。止めさせてくれ、お願いだ」と手紙を書き、公表した。
サウジアラビア政府の治安顧問オバイド氏は、「現在のハリファ氏について、どこかの政府に危害を加えようと企図していることはなく、脅威ではないと判断している。またフィリピンを地盤に活動していた際、自ら設立した複数の慈善団体とも、全て関係は断絶されていると判断している」と話している。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200411250004.html