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10月の驚愕 「オクトーバー・サプライズ」は東アジア激変を意味しているのか?
――米大統領選直前に起きる衝撃を解読する――
さる8月23日、拉致被害者の曽我ひとみさん(45)は、長女・美花さん、次女ブリンダさんを伴って故郷である新潟県の佐渡に渡った。ここで3人は日本の田舎での生活を4日間ほど送り、26日の夕方、東京に戻った。
この4日間、曽我さんの夫ジェンキンス氏は座間で米軍関係者の事情聴取を受けていたと説明されている。
高英姫死亡情報の背景
アテネ五輪が閉会式を終えた直後の8月30日、韓国のマスコミはいっせいに「北朝鮮の金正日総書記の妻・高英姫夫人(コ・ヨンヒ51歳)が13日に死亡した」とのニュースを流した。
金正日総書記の後継者問題と高英姫については、本紙2月15日付『北朝鮮の憂鬱』をお読みいただければその実情をご理解いただけると思う。ぜひ再読していただきたい。
問題は、北朝鮮軍部内で「尊敬するオモニム(母様)」、「平壌のオモニ」と崇拝されていた高英姫の死を韓国マスコミが報道したことに対し、北朝鮮側がいっさいの反論等を行わないことだ。通常、北朝鮮当局が公表する前にこうした情報が開示された場合、その情報が事実か否かは別として北朝鮮は激しい非難を行う。
いったい何故、北朝鮮当局は非難を行わないのか? わが国のメディアはこれを「北朝鮮の後継者争い激化」と判断しているが、この見方は正しい。間違いなく北朝鮮・金王朝内部で激烈な闘争が行われており、高英姫死亡情報の開示は体制内部の混乱――とくに張成沢の失脚を表していると考えるべきだろう。
張成沢とは金正日の義弟(妹の亭主)で、側近中の側近とされる元党組織指導部長。すでに今春に何らかの不正が明らかになり降格させられたとの噂もあった。――一説によると部下の子女の超豪華な結婚式に一族が大挙して参加したことが咎められたという話だ。また6月中旬には韓国の朝鮮日報が「北朝鮮の張成沢部長が金総書記の指示で自宅軟禁されていることが確認された」と報じていた。
北朝鮮当局の正式発表以前に高英姫死亡情報が韓国から流されたこと。そして側近中の側近である張成沢が失脚したという事実。ここから後継者争いとして再浮上してくるのが警護総局副局長の肩書を持つ金正男――。そう、東京ディズニーランドを見物に来たとして成田で拘束されたあの金正男だ。ところが複数の北朝鮮ウォッチャーは「金正男は後継者レースから脱落」と読んでいる。それも、レースに敗れたのではなく自ら撤退した(降りた)というのだ。詳細は省くがこの説は極めて説得性に富む。
こうなると金正日の後継者問題は闇の中、迷路の中に入り込む。これまで優位が伝えられてきた金正哲、正雲兄弟は、母である高英姫の力を受けて浮上していたの。だがそれは、反高英姫勢力を巧みに抑え込んでいたという状況の下での話だった。生前、金正日の正妻としての高英姫は確かに力を持っていたが、いっぽうで彼女が在日であった過去や、その出自が済州島の被差別であったことから体制内にも反対勢力が存在していた。そうした勢力との暗闘の末に「高英姫死亡情報」が韓国メディアから流されたと識者たちは観測している。本紙もこの観測を支持する。が正直なところ逆もあり得る。つまり、暗闘の果てに後継者問題が決着し、これまで名乗りをあげていた候補者たちやそれに連なる人脈が整理されたという見方である。――残念ながら現状では、どちらとも判断がつかない。
中朝関係、いよいよ悪化!
今年(平成16年)4月22日に北朝鮮・竜川(リョンチョン)駅付近で起きた列車爆発事件は、当初、金正日総書記を狙ったテロ未遂事件だったとか、米CIAが関与した北朝鮮破壊工作の一環だったとかといった情報が流されたが、その後この事件の背後に支那北京政府が絡んでいた可能性が高まってきている。
北朝鮮と支那北京政府との歴史的な関係については読者諸氏も熟知されていることと思う。1950年(昭和25年)に勃発した朝鮮戦争では、支那人民解放軍が全面参入した過去もある。支那北京政府の本音は「北朝鮮は支那の属国」といったところなのだ。
ところが・の北朝鮮が北京政府に楯つくことが多い。その暴走があまりに酷いと、北京がお灸をすえることになる。だが、北京政府にとっては〔暴走者・北朝鮮〕は必要悪といった面がある。米国との最終対峙に際し、衝撃隔壁の意味があるからだ。
しかし、支那北京政府の属国であるはずの北朝鮮は、じつはウラでは米国と深く繋がっている。これについては本紙7月25日「東アジア波高し!! ジェンキンス問題の真相を読み取れ!」という記事の『米朝秘密回路』の項を再読いただきたい。
北朝鮮の核開発疑惑以降、6者協議の場でもそれ以外の場でも、北朝鮮が終始一貫して言いつづけているのは「米国との単独交渉」であり、それは「米朝秘密回路の復活」を意味している。だが、支那北京政府はその秘密回路の存在そのものが許せない。――支那北京政府と米ブッシュ政権との微妙な駆け引きの局面で、北朝鮮が暴走するため支那側が駆け引きに失敗している――というのが北京側の正直な感覚だろう。
当然ながら北京政府は北朝鮮との関係修復を図ってきた。すでにわが国新聞各紙が報道している通り、今年6月には支那人民解放軍の参謀クラス数名が平壌を訪れ、極秘理に軍事会議を行っている。この会議がどのような内容であったかは不明だ。だが恐らく、決裂状況に陥ったと推測される。
決裂は以下の状況から推測される。
まず7月初旬、北朝鮮は豆満江や鴨緑江などを中心とする支那と北朝鮮との国境を固め、支那側から北朝鮮に入ろうとする支那人の移入を全面ストップさせた。国境界隈には北朝鮮に食糧等を持ち込み、北の物資を支那側に輸入する商人たちが多く存在し、それなりに経済活動を行っていたのだが、これが停止されたのだ。明らかに、北朝鮮が支那北京政府に対して絶縁状を叩きつけたような話だ。
これを受けて、7月中旬には鴨緑江で支那側が反撃に撃って出た。以下の新聞記事をご覧いただこう。
「中国軍、北国境で渡河訓練 浮橋利用、兵士1000人程度参加 NGO報告
中国人民解放軍が北朝鮮との国境を流れる鴨緑江で、七月に浮橋を使い渡河訓練を実施していた(中略)。中国軍が中朝国境でこのような訓練を行ったのは異例。脱北者問題にからむ国境管理の強化策の一環とみられるが、同時に核問題で北朝鮮に対する圧力効果を狙ったとの見方もあ
訓練は七月上旬から約二週間実施された。場所は中朝国境に位置する中国遼寧省丹東市から車で鴨緑江に沿って上流に三十分ほどのところ。
対岸には、北朝鮮の新義州が位置する。(中略)
訓練の内容は、約十本の浮橋(幅五〜七メートル、長さ二十〜三十メートル)を、北朝鮮との国境線である川の中間地点まで設置するというもの。
中国は昨年九月、中朝国境地帯の警備を人民武装警察(軽武装の治安部隊)から軍に移管しており、解放軍国境警備部隊が行った訓練とみられる。(中略)
一方で、ある北朝鮮問題専門家は、『六カ国協議の議長役として、核開発を進める北朝鮮に対し圧力をかけるための示威活動ではないか』との見方をしている。」
(『産経新聞』八月八日朝刊より)
かつて中朝国境を防備していたのは武装警察だったが、昨年末以降これが軍(人民解放軍)に代わり、現在ではその軍が北朝鮮国境突破の訓練を行っているという記事である。支那北京政府が北朝鮮の暴走に怒り狂っていることはこの記事からも窺える。だがそれでも北京政府は北朝鮮を叩き潰すことはできない。非常に近い将来、必ずやってくる対米最終局面に向けて、緩衝戦略地帯・緩衝防止政略点として北朝鮮が必要なのだ。
だが北朝鮮も、対米交渉が難航し、また総書記後継者問題が解決していないという苦境にある。こうした局面を打開するためにも「米朝秘密回路」を復活させることが、北朝鮮の命綱なのだ。
北朝鮮の命運を握る「米朝秘密回路復活」――。
この重大使命を帯びて、曽我ひとみさんの夫ジェンキンス(将軍格)がインドネシア経由で日本にやってきた。(詳しくは本紙7月25日「東アジア波高し!! ジェンキンス問題の真相を読み取れ!」参照)
たった一人で世界の超大国アメリカを相手に取引をしようとするジェンキンス。北朝鮮は現在、ジェンキンスにすべてを預け、その成り行きを見守っている。そしてもちろん、北京政府もその行方を注視している。……とは言っても、交渉の行方は外部からは見ることができない。日本の新聞、TV、雑誌等から推測するしかない。……そして、幸か不幸か、わが国の新聞TV雑誌メディアは、今や官製タレ流し情報しか流していない。
いったいジェンキンス問題はどう推移していくのだろうか。
世界が注目しているなか、さる8月23日、拉致被害者の曽我ひとみさんは、長女・美花さん、次女ブリンダさんを伴って故郷である新潟県の佐渡に渡った。ここで3人は日本の田舎での生活を4日間ほど送り、26日の夕方、東京に戻った。
この4日間、曽我さんの夫ジェンキンス氏は座間で米軍関係者の事情聴取を受けていたと説明されている。
隠された歴史
北朝鮮には現在、判明している限りでは4名の米国人捕虜(米国人拉致被害者)が存在している。米国防省はさらに数百名から最大2000名規模の拉致被害者が存在しているのではないかと推測している。それらは、古くはジェンキンスと同時期、すなわち朝鮮戦争時代に北朝鮮に連れ去られた兵士たちだ。最も多いのはベトナム戦争時代の捕虜等と考えられる。
ベトナム戦争とは1950年代末期(1960年代開始説もある)から1973年(昭和48年)にかけて戦われた戦争で、最大時には米軍兵士は54万人以上が投入された。これに対し北ベトナム解放軍+南側民族解放戦線側(ベトコン)の兵力は30万人規模だった。ベトナム戦争は第2次大戦後の最大戦争として、当然ながら旧ソ連が北ベトナムに加担したが、正面切って参戦する状況になく、代わって資金提供を受けた北朝鮮人民解放軍が参戦した。
ベトコンに混ざって米軍と戦った北朝鮮解放軍が、米軍兵士や軍属など数十人〜数百人を捕虜にし、北朝鮮に連れ帰った事実がある。
さて、以上は〔事実〕であり、ここから先は情報通などによる〔仮説〕で確証があるわけではない。確証はないが本紙が確信している説である。それをご紹介しよう。
北朝鮮に連れ去られた数百人規模の米人捕虜を救うために、米政府は地下ルートを使って北朝鮮側と秘密交渉を行った。このウラ取引の際に、北朝鮮の麻薬・覚醒剤ビジネスを米側が了承したというのだ。――この時点まで北朝鮮の麻薬ビジネスは、いわゆる国際麻薬組織のルールを無視したもので、これを国際闇世界公認のものとすることで米側にも利益があったとされる。さらに北朝鮮の収入源としてスーパーK(贋ドル)印刷機も与えたという話もある。――スーパーKは贋ドルとは言っても実態はホンモノのドル印刷機である。こんなものを与えるのはやり過ぎと思われるだろうが、じつは米側はスーパーKの流通経路を調査することで、北朝鮮の貿易実態、麻薬・覚醒剤ビジネスの実態等すべてを把握しようとしたのだ。
以上は証拠のない戯れ言と言ってしまえばそれまでである。しかし、捕虜救出が目的のためであったか、他に政治的、政策的要因があったかは不明だが、この時期に米国と北朝鮮が国際舞台のウラ側で何らかの接触を続け、秘密交渉を行っていたことは明らかだ。何処までが真実かは別として、米軍捕虜を巡るこの物語のなかに、隠された闇の歴史の一端が見えている。そして物語はさらに巨大な闇に続く。さらに確証のない隠された歴史へと続く……。
さらなる闇の歴史を追って…
ベトナム戦争を介して北朝鮮と秘密回路を持った米権力中枢は、北朝鮮軍部内に燻る「大東亜戦争史観」に辿り着いた。
大戦終結後、GHQ(連合軍占領総司令部)の圧力で「大東亜戦争」は「太平洋戦争」と名を変えられた。その結果、戦後教育を受けたわが国の大衆は「大東亜戦争」という呼称すら忘れ去ってしまった。
「大東亜」とは「大いなる東アジア」の略語で、わが日本軍が戦ったのは大東亜の解放戦争だった。米欧列強の東アジア支配を断ち切るために戦った戦争という意識が存在した。――その「大東亜戦争史観」が昭和40年代末期にまで朝鮮半島で生き続けていた……。
旧約聖書に生きる民は真実の積み重ねを重要視する。オカルト的に言えば「数霊に生きる民」であり、わが国の民のように直観に生きる民(言霊に生きる民)ではない。99%間違いないという状況であれば、日本人はそれを 100%と信じ、数霊に生きる民は最後の1%を突き詰める。――ベトナム戦争の影に、大いなる東アジア(大東亜)戦線を展開する勢力があるなどという夢物語の実在の可能性は1%以下と判断されただろう。それでも米権力中枢は大東亜戦争の幻影を恐れたのだ。
昭和40年代末期から50年代初期――1970年代の話である。
三島由紀夫の市ヶ谷自衛隊自決事件が起きたのは昭和45年11月のことだった。
それが世間から忘れられ始めた昭和50年に入って、自衛隊内の三島シンパ、あるいはM研に関連する隊員たちに対し突如として粛清人事が行われた。――この粛清人事は、明らかに米権力中枢が大東亜戦争の幻影を恐れたためだ。
話は変わる。三島由紀夫自決事件の年(昭和45年)の3月に日航よど号がハイジャックされ、赤軍派9名が北朝鮮に渡るという事件が起きた。よど号乗っ取り犯の赤軍派は、その後、首謀者である田宮高麿ら3名が死亡、2人が日本に帰国して逮捕され、残る4名は今も北朝鮮にいるが、この帰国問題が最近の日朝正常化交渉でも話題に出ている。
さて。このよど号ハイジャック事件のとき、通説では 200万円のカネを赤軍派が北朝鮮に持ち出したといわれるが、情報通の間では「1000万円」説が常識とされている。(現在の価値にして約1億円超) これも真実は闇の彼方の話で正確な金額など永遠に不明だ。このカネを工面したのは藤本敏夫なのだが、藤本は統一教会から資金援助を受けたという説が強い。
藤本敏夫とは元三派全学連委員長で一昨年に死亡している。歌手・加藤登紀子の夫であり、晩年は千葉県で無農薬農業をやっていた。ちなみに加藤登紀子は昭和47年に藤本敏夫と獄中結婚している。彼女のヒット曲『ひとり寝の子守唄』は獄中にいる恋人・藤本を想って作られたもの。
よど号はハイジャックされたとき乗員7名乗客 131名を乗せていた。犯人たちの要求通り北朝鮮に向かうには燃料が不足で、これを理由によど号は一旦、九州の福岡空港に着陸する。ここで病人や女性、子供など23人を解放し、再び離陸。一路北朝鮮を目指した。
ここから先はあまりにも有名な話で、興味がある方はご自身で調べていただきたい。
概略を語れば、北朝鮮を目指したよど号に対し国籍不明の戦闘機がスクランブルをかけてくる。緊急通信を試みたよど号機長に対し、管制塔からの無線が入る。「こちらは平壌。進入管制周波数に同調せよ…」。
こうして降り立った飛行場の周囲は、北朝鮮の軍服を着た兵士で囲まれていた。普通に考えれば北朝鮮の平壌空港に着いたと思うだろう。だが、その飛行場の近くに、微かに米軍機の機影を目撃した主犯・田宮高麿は金日成の写真の提示を要求する。
――北朝鮮であれば誰でも直ちに提示できる金日成の写真。それはしかし、韓国には〔存在してはならないモノ〕だった。――提示できなかったのだ!
赤軍派ハイジャック犯は日本・韓国の連携プレーを見破り、韓国(金浦空港)を脱出。無事(?)北朝鮮に渡ったのだが、じつは金浦空港に着陸した時点で一人の乗客が飛行機を降りていた。それは米国人牧師だったと説明されているが、もちろん名前も職業も現在に至るまで不明である。――こんな人物が実在したとすれば、それは諜報機関員、すなわち米CIA工作員としか考えられない。
統一教会の資金提供話やCIAの話がどこまで真実かは読者諸氏の判断にお任せしよう。ここで本紙が主張したいのは、大東亜戦争終結から20余年たったこの時点でも、すでに国際勢力は東アジアを舞台に闇の活動をフル展開しており、また『米朝秘密回路』が明確に生きていたということなのだ。
拉致に隠された「闇の歴史」
政治・思想・経済といった面で考える限り、わが国にとって北朝鮮は〔最悪の国家〕かもしれない。不審船やミサイル恫喝事件を引き起こし、横田めぐみさんを初めとする無防備な庶民を拉致し、なお引き続きわが国に脅威を与え続けている最悪の国だ。だが、不思議なことに庶民大衆の感覚は似た部分を持つ。喜怒哀楽というか、感動して涙を流す、恩義を感じる……等々といった人として生きる生活感情の面では、韓国の民より北朝鮮の民のほうが理解しやすい。百済・新羅の民(韓国)より高句麗(北朝鮮)のほうが日本人に近いのだろうか。北朝鮮が発行している「労働新聞」の翻訳版を読んだ某右翼が、「元気だなぁ。これはなかなか良いぞ!」と感激したという話があるが、本音の部分はこんなところに見えてくる。
話を本論に戻そう。
国際舞台では各国が凌ぎを削っている。表面に見える政治、思想、経済世界だけではなく、ウラ世界の諜報戦、情報戦でも思惑や駆け引きが乱れ飛んでいるのが現実た。それは過去も現在も、そう変わりはない。
三段論法的な理論構築が不得手なわが国の民は、物事を一面的、包括的に捉える。大雑把とも言えるし、大局的とも言える。「松茸は香りが良く、味はシメジが良い」とか、「福島県人は保守的だ」といったように一面的に決めつけて考えることが好きだ。国際関係についても、つい、「北朝鮮人は卑劣だ」とか「ロシア人は狡猾だ」と決めつける。だが現実には進歩的な福島県人もいるし香りの良いシメジもある。
表向きの政策、ウラ世界の闇取引、相手を裏切り身内を騙し、ときには未来のためにという美辞麗句をもって自身の国家、自身の民すら裏切る国際政治の暗闘の現実は、分析し紹介することが極めて難しい。敵がときには味方になり、味方を裏切ることが愛国的であることもある。敵と敵がウラで手を組む――水面下の秘密交渉回路。この秘密回路によって、外交戦での勝利や実戦での勝利が見えてくる。最近、米国のライス報道官が、かつてイランとも秘密回路を持っていて年に2〜3回の交渉を行っていたことを公表したが、米朝秘密回路も当然ながら存在したはずだ。
その秘密回路は朝鮮戦争時代にも存在したと推測されるが、これが強力な回路となったのはベトナム戦争時のことだろう。
ベトナム戦争を戦っているときに米権力中枢が感じた「大東亜戦争の意思の継続」という1%の可能性は、彼らに強烈な警戒心をもたらしたに違いない。そして北朝鮮の真の歴史、すなわちニセ金日成の実体であるとか、紅卍会、あるいは明石機関やそれに連なる可能性のある金策の存在を突き止めたとき、警戒心は恐怖心となって拡大しただろう。
(金策関連の情報については、ぜひとも本紙3月29日「韓国大統領弾劾と半島情勢」を精読していただきたい。)
米権力中枢が「金策の秘密」にまで辿り着いたのか、あるいは本当に大東亜戦争の幻影を見たのかは不明だ。だが、当時の虚々実々の駆け引きのなかでこうしたさまざまな物語が「米朝秘密回路」を生み出したことは間違いない。そしてここからが最重要点なのだが、北朝鮮・金日成政権はこのとき、米側の了承の下、日本人拉致を立案・実行に移したと考えられる。――必然として北朝鮮は日本人拉致計画を米軍に通知し、米軍の承諾を得て開始したはずだ。事実、北朝鮮による日本人の本格的拉致はこの時期から始まっている。
なぜ日本人拉致なのか?
本紙の妄想的解読では、「明石機関−金策−金日成」の現実が米権力中枢に疑われたためとも考えられる。いやそれより、父なる将軍を崇拝するといった北朝鮮の新たな価値観が日本の皇室崇拝に近い現状であることを米側が恐れたためとも考えられる。あるいは北朝鮮の一般大衆の感情が、日本人の感情に酷似していることが米側の神経に触れたのかもしれない。北朝鮮は日本を敵対視し、日本人を拉致することによって、米側のこの恐怖心を取り除こうとした可能性もある。
こうした妄想的解読には納得できない読者もいるだろう。実際、現実はもっと単純だったかもしれない。
北朝鮮の麻薬ビジネスが国際闇世界のルートに参入できること、そしてスーパーK印刷機の入手により実利が得られることで、米中枢と闇取引を行った北朝鮮軍部が、拉致を米側に承認させただけかもしれない。日本人拉致は、日本文化の解読にも役立つし、潜入スパイ訓練の語学・文化指南役ともなる。なにより、拉致という行為を工作員の使命と位置づけることにより実戦訓練も出来るという一石二鳥、三鳥のものとなる。
日本人拉致問題には、間違いなくこのような隠された歴史(米朝共通認識)がある。
そして平成14年9月17日、平壌を訪れた小泉純一郎に対し金正日総書記は拉致を認めたのだ。
「拉致問題の解決なくして国交正常化はない」と断言していた小泉純一郎にとって、拉致を認めた金正日の対応は予想外のものだった。だが金正日は拉致を認めたことにより、共犯の片割れ――米国にシグナルを送っていたのだ。
――日本人拉致を米政府は了解していた。その事実を公表してほしくないなら、米朝秘密回路を復活せよ!――と。
サッカー大会で日本にブーイングが起きた!!
支那北京政府にとって北朝鮮問題は非常に複雑困難な難問である。叩き潰そうと思えばそれが出来ない相手ではない。しかし近い将来の米国との全面対峙を考えた場合、〔暴走国家=北朝鮮〕を味方にしておく必要がある。
その北朝鮮がかつて米国と秘密回路を持っていた。
そして今ふたたび秘密回路を復活させようと必死になっている!!
10年前の北朝鮮危機のとき金日成と会談した米カーター特使は、金日成からこんな話を聞かされた。――東西冷戦が終わった今となっては在韓米軍の存在意味はなくなった。在韓米軍は対支那軍として北朝鮮に駐留させなさい――。
この発言から3週間後に金日成は急死した。彼の死は支那北京政府による暗殺だったのでは、といった説が世界中のウラ社会通の間で囁かれたものだが、その噂に誰もが頷くほど北朝鮮が米国と結ぶことを北京政府は恐れていた。4月の竜川駅列車爆破事件が北京政府によるものだという説も同様である。
金日成を北京が暗殺したという証拠などない。竜川駅列車爆破事件の背後に北京が存在していた証拠などない。しかし、北京が北朝鮮の動きに過敏であることは事実だ。そして今、北朝鮮は「米朝秘密回路復活」にすべてを賭け、切り札としてジェンキンスを投入した。
日本政府は、拉致被害者・曽我ひとみさんの夫であることを前面に出し、インドネシアでの家族再会から急展開の来日、そして米軍との訴追問題解決へと動きだした。この真相が「米朝秘密回路復活」にあることを、もちろん北京は見抜いている。――日本が「米朝秘密回路復活」に重大な役を負っていることを見抜いている。
そうした状況のなか、サッカー・アジア杯が支那で開催された。ご存じの通り日本チームに対する支那人のブーイングは凄まじいものだった。とくに重慶での4試合では、国歌・君が代吹奏時に支那人はほとんどが起立せず、反日的な文言を書いた横断幕を掲げたりブーイングを浴びせたりした。
サッカーというスポーツは大衆を熱狂的に動かす。
スポーツはそもそも武道とは異なり政治・思想に利用されるものである。五輪であろうが何であろうが政治・思想に無関係なスポーツなど存在しない。とくにサッカーは集合意識が大衆を熱病の彼方に追いやるもので、民族心を煽りやすいスポーツとして知られる。支那人の常軌を逸した行動は明らかに支那北京政府が煽動したものであって、その煽動に愚かな大衆が乗せられただけに過ぎない。
しかし、一旦火がついた反日行動は、抑えることが不可能な炎となって燃え続けることだろう。
ジェンキンス渡米!
そして8月23日、拉致被害者の曽我ひとみさんは、長女・美花さん、次女ブリンダさんを伴って故郷である新潟県の佐渡に渡った。ここで3人は日本の田舎での生活を4日間ほど送り、26日の夕方、東京に戻った。
この4日間、曽我さんの夫ジェンキンス氏は座間で米軍関係者の事情聴取を受けていたと説明されている。
曽我ひとみさんと2人の娘が佐渡に向かったというニュースを見て凍りつくほど衝撃を受けた人が何人いただろうか。
なぜ女3人だけなのか? ジェンキンスはその間、何をしているのか? 曽我さんを含め家族は当然のことながら、彼が北朝鮮で何をしていたのか熟知している。夫が、父が、密命を帯びて、二度と帰らぬ北朝鮮のためにたった一人で戦っていることを知っている。
本紙は曽我ひとみさん母娘が佐渡に渡っていた4日間にジェンキンスが米国に渡っていたに違いないと考えている。座間から米軍機に乗れば数時間で米本国に飛べるのだから……。もちろんこれは妄想かもしれないし、邪推かもしれないが。
8月30日には在韓米軍の独立法務官J・カルプ大尉が来日して病院にジェンキンスを訪ね、司法取引に関する話し合いがなされた。これは表面的なこと――というか、現実に脱走兵であるジェンキンスの処遇を法律的に決定しなければならないのは当然のことだ。この話し合いの後、ジェンキンスは近日中に座間に出頭すると声明を出し、これを受けて米軍は「日中の事情聴取だけで短期間に決着させる」と応じている。
これがいったい何を意味しているのか?
ジェンキンスの狙いがある程度の成果をあげたと考えるのが妥当だろう。
10月の驚愕
曽我ひとみさん母娘3人が佐渡に渡る直前の8月20日〜23日まで、米第七艦隊所属イージス艦「カウペンス」(9500トン)が新潟港に寄港していた。寄港目的は乗組員の休養などだが、米海軍はミサイル防衛の一環として、9月から日本海にイージス艦一隻を配備することになっている。しかも10月には日本海で軍事演習が行われる。
そして11月には米大統領選がある。
共和党の現職ブッシュ大統領対民主党のケリー候補の選挙戦は、序盤こそケリー優位で進められていたようにも見えたが、米大統領選で序盤優位の候補が尻すぼみになるのは通例のこと。それでも7月末には、なおケリー候補が8ポイントもリードしていたが、8月30日にABCテレビとワシントン・ポストが行った世論調査ではついに48ポイント同士で横並びとなってしまった。現時点での本紙の観測ではブッシュ圧勝となるが、今後の国際情勢の変化如何ではなお不透明な面も残る。
ABCテレビとワシントン・ポストの調査では、とくに「米軍の最高司令官として適任な者」という質問では、ブッシュが53ポイントを獲得、ケリーに10ポイントもの差をつけた。しかしこれもイラク情勢で大きく変化する可能性がある。
8月24日にはモスクワを飛び立った2機の旅客機が墜落するという事件が起きた。少なくともそのうちの1機は機体が爆発した模様で、テロの可能性が高い。そして1週間後の31日にはモスクワの地下鉄入口で自爆テロがあり10人が死亡、続いて9月1日には武装集団が人質をとって学校を占拠し、3日に特殊舞台が突入して死傷者1000人以上を出すといった悲惨な事件に発展している。この事件にはチェチェン紛争で夫や息子を奪われた「黒い未亡人」たちが自爆に参加したとか、国際テロ組織が関与しているといった情報がすでに流れている。たしかにチェチェン紛争がその背景にあり、またチェチェン紛争の未亡人やアラブ・ゲリラたちが実行部隊に加わっていただろう。
だが、飛行機爆破テロや学校占拠事件など3件が共通の組織の犯行という見方はむしろ危険で、それぞれが非常に深い背後では繋がっているものの、実は別個の事件だと考えたほうが良いだろう。詳細は省くが、これにより4万ロシア軍の中東派兵(イラクではなくアフガン)が遠のく可能性は高い。そしてまた、CIA解体を公表したブッシュは苦境に立たされることになった。解体されることになったCIAが、その返答としてこうした事件を引き起こした――などと言うと陰謀史観に立ちすぎと批判されるかもしれないが、その可能性を捨てる気にはなれない。
今回の一連のロシアでの事件が、ロシアにおける「9・11」である可能性は高いが、それは一般に報道されているほど単純なものではない。「ユーラシア大異変」を前提とした動きがロシアで噴出してしまったと見るのが正しいだろう。そして、火がついた大衆たちの行動は、演出者たちが描いた思惑を・かに越える可能性も高まってきた。
いずれにしても、ブッシュ再選に向けてはなおハードルがあると考えられる。
ユダヤ系であることを公表したケリーが大統領選に当選する可能性は今のところ少ない。まして彼の夫人がファースト・レディになることについては多くの米国人が反対だろう。だが、イラク人捕虜虐待事件のような話や経済問題等ブッシュ人気を一気に突き落とす材料が大統領選直前に突如として噴き出すかもしれない。
ネオコンの代表格の一人であるジョージ・ソロスは今秋に米国を〔地獄に突き落とす事件〕が起きることを予言している。彼はこれを『オクトーバー・サプライズ(10月の驚愕)』と呼んでいる。(詳しくは本紙3月1日「オイル・ショック再び?甦る恐怖の日々!!」参照) 当初本紙はこれを、サウジ王家絡みあるいは石油絡みの事件と読んでいた。ソロスの発言であるから、その可能性は高いと今も見ているが、新たな可能性も考えられる。それは北朝鮮絡み――日本海に展開する米イージス艦絡みの可能性だ。
読者諸氏は昭和43年(1968年)に起きたプエブロ号事件をご記憶だろうか。米朝秘密回路が完全に機能すれば、敵と敵が手を握って衝撃の事件を起こすことなど簡単な話なのだ。そのために多少の犠牲がでることなど、権力側は一切関知することはない。――これが理解できれば最近のテロ事件の背景もまた推測が可能となる。
■注:プエブロ号事件■
昭和43年(1968年)に米情報収集艦プエブロ号が北朝鮮に拿捕された事件。
同年1月23日、北朝鮮東岸の元山沖公海上で、米海軍所属のプエブロ号は、米国家安全保障局(NSA)の秘密情報収集任務に就いていた。その際、プエブロ号は領海侵犯を理由に北朝鮮警備艇などから攻撃を受け、乗員1名が死亡、残る乗員82名が身柄を拘束され、北朝鮮当局の取り調べを受けた。この事件でアメリカはスパイ活動を北朝鮮に謝罪し、乗員は11ヶ月の拘束ののちに解放された。しかし、プエブロ号の船体は返還されず、現在も北朝鮮の管理下に置かれて国内の大同江で一般公開されている。
東亜の将来へ向けて
アフガン、イラクに続き、シリア、イランにもまた破壊の嵐が近づいてきている匂いがする。中東問題研究家たちはイスラエルがイランに対して先制攻撃を加えるのではないかと懸念しているそのような事態が起きれば中東全域はまさに戦火の坩堝となる。テロに揺れるロシアを含めユーラシア大陸は正常な状態にない。わが東アジア(東亜)の実情はさらに危険な兆候を見せ初めている。
東亜の現状を簡単に分析しておこう。
すでに本紙6月26日号で分析した通り、支那北京政府と台湾政府との間は極めて危険な状態にある。米ローレス国防次官補代理は「2006年〜2008年に北京政府が台湾に対して武力行使する可能性が高まっている」と証言している。8月末には支那人民解放軍の軍事演習中止を受けて台湾軍も実弾演習中止を決定し、中台の関係修復に向けての両者の努力が目に見える形になりつつあるが、それでもなお緊張は持続中だ。
わが国では金融関係まで含めてあらゆる企業が支那へ支那へと向かい、支那経済が過大評価されている。現実には支那大陸は行き詰まりの酷い状況にある。今夏は停電こそなかったものの電力不足は致命的になりつつある。工場を建て労働力を確保してもエネルギーがなければ稼働できない。水不足も深刻で、上海をはじめ大都会の中程度のレストランでは汚れた川の水で食材を洗い米を研いでいる状況だ。一般には2008年の北京五輪までは支那経済は伸長し続けると考えられており、本紙もその考えに賛成だが、それすら危ぶまれ始めている。
北朝鮮の状況はすでに述べた通りで、金正日後継者問題がどのように解決がつくのか見通しが立っていない。経済食糧問題がなお困窮の状態にあることは確かだ。こうしたなか米国防省は「10月に北朝鮮が核実験を実施する気配を見せている」と懸念している。先に明らかになった韓国の核物質抽出実験と併せて、半島はなお危険がいっぱいだ。
韓国経済も立ち直りの気配を見せない。
韓国政府は歴史認識や領土問題で対日硬化の姿勢を崩さず、ひたすら親北政策を採り続けている。しかしこうしたなか、9月1日に起きた北京の日本人学校への脱北者29人の駆け込み、韓国への亡命希望は韓国政府を窮地に追いやっている。
東亜のなかで日本の状況は早春の雰囲気を漂わせている。アテネ五輪でのメダル・ラッシュが「1兆円の経済効果」と言われるが、夏の猛暑も多大な経済波及効果をもたらしている。長期不況でとくに地方は惨憺たる状況にあり、多少の好景気も焼け石に水といったところだが、しかしトンネルの先に光明が見えてきたことも事実だ。
かつて欧州から米国に流入した国際金融資本の資金は、やがて東亜に移動する。それは間違いない。東亜――それは最終的には支那大陸を意味するのだが、とりあえず直近には日本に移入することになるだろう。事実、すでにわが国には国際金融資本家たちの出先機関、出先事務所が設置されユダヤ人たちが大挙して押し寄せている。
これまで不況の嵐のなかで耐え忍んできたわが国の企業家たちにとって、潤沢なユダヤ資金が舞い込んで来ることは大歓迎だ。喉がカラカラの状態のときには一滴の水ですら至幸の甘水である。この水を求めて、恐らくは多くの売国奴的資本家、企業家が争って魂を売る。――ごく僅かな精神的奴隷状態のカネ持ちと、相変わらずの貧乏人がこの国に作りだされていく……。
しかし嘆く必要はない。
アジア人にしか理解のできない論理や技術が、すでに最先端の科学分野、工業分野で生き始めている。近代的西欧が終焉を迎え、新たな価値体系が生まれるまでにそう時間は必要としないだろう。
また東亜のなかでも政治とは無縁の場で連帯感が生まれつつある。支那大陸と日本を結ぶ文化的結合がさまざまなところで構築されはじめている。半島との関係も同様だ。
大ヒットTVドラマ『冬のソナタ』は日本の女性たちを熱狂させた。これに続く韓国ドラマが続々と日本上陸を企画している様子だ。もちろんここには、日本アニメの韓国解禁の見返りといった面もあるが、盧武鉉政権の反日政策とは裏腹に、政治音痴のわが国女性たちが東亜の連帯を勝手に先取りしているといったところか。ちなみに(筆者は見たことはないのだが)、『冬のソナタ』とは純愛ドラマで、昭和20年代末期にわが国の女性を熱狂させた『君の名は』というラジオドラマの焼き直し版的なものらしい。純愛ドラマに憧れるところもまた東亜の民族の一面なのかもしれない。
米アーミテージ国務副長官がわが国の憲法改正を望む発言をして物議を醸したが、パウエル国務長官まで、わが国の国連安保理事会常任理事国入りに関して憲法9条の再検討を促していることが明らかになった。
ネオコン派、反ネオコン派に限らず米国はその総意としてわが国に憲法改正を望んでいる。米国は「日米一体化」を真に望み、わが国が米国の忠実な下僕となってはじめて、米国による一国支配体制が確立すると考えている。
経済的にも政治的にも、わが国が見かけ上、米国に呑み込まれる日は近い。その、呑み込まれた状況のなかから如何にして日本の真性が現出するか――。
日本の真性――日本の核が現出する瞬間を、諸氏は間違いなく目撃する。その時、諸氏はどんな立場からこれを目撃するのだろうか。
http://www.gyouseinews.com/international/sep2004/001.html