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チャンネル櫻で紹介されている http://www.ch-sakura.jp/
「山下奉文大将終焉の地 慰霊碑修復計画」を見たが、どうして揮毫が瀬島元大本営
参謀なのか?
そもそもフィリピン戦があのような惨憺たる戦いになった元凶は、当時大本営参謀であっ
た瀬島氏(陸士44期)が、鹿屋に派遣されていた堀栄三参謀(陸士46期)の、昭和19年10月
にフィリピン戦のさきがけとして行われた台湾沖航空戦の戦果誤認訂正電報 (堀参謀は
海軍の戦果発表に疑問を抱き、独自に調査した結果、海軍の戦果発表は全くの誇大であ
る事実 <註1・これを元にフィリピン戦を行えば確実に齟齬が生じる> )を大本営に打電した。
(海軍自体も後に戦果誤認に気がついたが、間違った過大な戦果が既に上聞に達した=
天皇陛下のお耳に入ったという理由で訂正しなかったのであるから、当然一義的な責任は
海軍であるが) 註2 参考 下記へ
瀬島氏がその電報を握り潰したせいで、連合軍の艦隊は壊滅状態という海軍のでたらめ
な発表を元にフィリピン戦の作戦が立てられ、あのような大東亜戦争で最大の犠牲をもたら
し、フィリピン国民にも多大な迷惑をかけたのである。
ワイフは昨年の交通事故以来、体調が回復せず、なかなか田舎に帰れないので資料が
手元になく、正確な前後の記述や状況は省略するが、前出堀栄三氏とともに大本営参謀で
あった朝枝繁春氏(陸士45期)の数々の自筆の証拠等も実家の複数の箇所に保存してある。
瀬島氏はシベリア抑留から帰った後で、堀氏に対して上記の電報握り潰しの件がシベリア抑
留中も一番気にかかっていたと、抑留から帰り多分まだ何の地位も名誉もない一番しがらみ
のない人間らしい状態の時にはっきり伝えている(詫びている)。
世上、シベリア抑留中の態度を評して、瀬島=悪、草地(草地貞吾元関東軍高級参謀・大佐)=善、
のような見方が横行していますが、シベリア抑留中の態度はどちらかといえば個人の態度です。
瀬島氏も草地氏も責任をとるべきは戦争中、大本営参謀なり高級参謀であった時期のミスである
はず。草地に関しては私のホームページ( http://www3.to/gwife (シベリア立法推進会議の
なぜ「今シベリア抑留」か? )で下記のように既に少し触れているが、
>このような悲惨なことになったのも草地貞吾を始めとする関東軍の高級参謀が、
>チタ等の特務機関からの情報(ソ連の侵攻は夏ごろ)を分析もせずに、ただ「ソ連
>の侵攻は秋になってからであってほしい」という何の根拠もない希望的観測にす
>がっていたからである。これではまるで宗教である。こんな無能の輩が戦後復活
>した軍人恩給ではのうのうと高額を貰いながら、自分の格好付けの文章を書いて
>いた。日本の敗戦の原因の一斑は間違いなく、陸軍も海軍も無能な高級軍人の
>責任である。
瀬島氏は関東軍へは終戦間際に皇族軍人の代わりに派遣されたので、こと戦時中の責任
といえば、瀬島氏の場合は、フィリピン戦に関しての責任をこそ問われるべきなのである。
瀬島氏がシベリア抑留関連について努めて毀誉褒貶の「毀」「貶」に弁明しないのは、ワイフ
から見ればもっと大きなフィリピン戦のミス隠しと映る。
山下奉文将軍が戦犯とされたのはフィリピン戦の関係というよりも、大東亜開戦当初のシン
ガポール戦の復讐のような要素が大きかったので、その意味では瀬島氏には責任はない。
しかし惨憺たるフィリピン戦を招いたことに対しては、海軍とともに陸軍の当事者として大きな
責任がある。しかもそれはまだ戦後明らかにされていない。知らない人が多いから今回のよう
な揮毫ともなるのである。そのような人物が揮毫して(当然瀬島氏の名前も残る)未来永劫に
子孫に伝えるというのは、それを瀬島氏が全金額を負担するのであればともかく、純粋に
英霊を思う多くの「血税ともいえる浄財を元にしてでは、これではフィリピン戦に斃れた多くの
英霊の魂が浮かばれない。瀬島氏が山下将軍を始め、本当のフィリピン戦の英霊にこたえる
道は、そんな揮毫ではなく、フィリピン戦の隠された真実を、その犠牲になった英霊たちの子孫
もいる日本国のために明らかにすることである。
瀬島氏らと同じ戦中派世代、大正生まれ(瀬島氏は明治生まれであるが)の石井一昌氏が
勇気を持って自分のホームページ http://www.ishiikazumasa.com/ 「狼は吠える」 で発表
しているように、今生き残っている戦中派世代の責任は、戦前戦後を通じての自分たちのミス
や不甲斐なさを日本の国の建て直しのためにさらけ出すことである。それなくして、形だけ
整えても、英霊は喜ばないし決して浮かばれない ! ! 「仏つくって魂いれず」
平成16年8月4日記す
ゴジラズワイフ(軍事史学会会員)
文中「註」はゴジラズワイフ
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註2
大東亜戦争のフィリピン戦関係における昭和19年10月20日の大本営発表
台湾沖航空戦の戦果
轟撃沈 航空母艦 11隻
戦艦 2隻
巡洋艦 3隻
巡洋艦若しくは駆逐艦 1隻
撃破 航空母艦 8隻
戦艦 2隻
巡洋艦もしくは駆逐艦 1隻
艦型不詳 13隻
その他火焔火柱を認めたもの12を下らず
撃墜112機(基地における撃墜を含まず)
しかし実際の米国ハルゼー艦隊の損害は
飛行機 89機
巡洋艦 2隻大破
航空母艦には1隻の損害も無し