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携帯電話:さまざまな方向へ進化するケータイはどこへ
http://www.mainichi-msn.co.jp/it/coverstory/news/20040729org00m300171000c.html
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今やわれわれの生活に欠かすことはできなくなってしまった携帯電話。本来の目的である通話を中心に、インターネットを経由したメールやカメラを搭載したものは既に一般的だ。携帯電話の多機能化はとどまるところを知らず、さまざまな方向に向けた“進化”を続けている。注目されている携帯電話に電子マネーの機能を搭載した「iモードFelica(フェリカ)」を中心に注目すべき携帯電話の進化が起きている。“ケータイの進化”を改めて見てみる。【田中 寒村】
■■ケータイでも安全にクレジット決済
ケータイを新しい生活インフラとして捉えたサービスに、ソニーグループのソニーファイナンスがこの夏から始めている「eLIO(エリオ)オーダー」がある。これは、携帯電話を使い、クレジット決済で欲しい商品をその場ですぐに買うことができるというサービスだ。ソニーファイナンスは、ソニーが開発した非接触ICカード「Felica(フェリカ)」を基盤にして、カードを読み取り機の「パソリ」にセットするだけでネットショッピングができる、インターネット専用のクレジットサービスである「エリオ」を提供している。エリオオーダーは、エリオを搭載したカードの付帯サービスとなっており、携帯電話で簡単に安心なショッピングを実現するものだ。
エリオオーダーのメリットは、商品を欲しいと思った瞬間に煩わしい操作をせずに、そして安心してクレジット決済で買い物ができるということだ。利用者は、雑誌や通販カタログの中の商品の2次元コード「QRコード」を携帯電話のカメラで読み取ることで、決済画面にダイレクトに飛び、購入申し込みと決済ができる。この時、利用者はクレジットカードの番号を打たなくてもいい。購入申し込みと決済の情報は、サービス提供会社であるソニーファイナンスに送られ、同社から販売店に注文情報が送られることになる。
携帯電話に限らず、現在のネットでのショッピングの決済には、クレジットカードが多く使われている。しかし、クレジットカードは、ネットで使うにはセキュリティーなどの問題からまだまだ抵抗がある。ソニーファイナンスでは「クレジットカードはもともと対面販売を想定している決済の仕組み」としている。それだけにネットショッピングという場面にマッチするものではない。これらの問題を解決したのがエリオであり、それを携帯電話に応用したエリオオーダーだ。ソニーファイナンスは、同社のクレジットサービスの付加価値としてエリオオーダーを提供していくとしている。
■■ケータイでマーケティング
ケータイで使うQRコードと言えば、一般的には「いちいち文字を打たなくてもウェブサイトに行くことができるためのもの」というイメージがあるだろう。だが、ケータイでのQRコードの威力はそれだけではない。QRコードを使ったマーケティングのシステムを提供する会社がある。「グローバルエリアネットワーク」(東京都港区、奥山泰久社長)だ。同社が提供するマーケティングシステム「モバイルCRC」は、簡単に言ってしまえばケータイとポイントカードを組み合わせることで、顧客情報をより効率的に活用しようというものである。
一般の消費者を対象にしているスーパーやドラッグストア、電器量販店などのありとあらゆる小売り業や飲食店は、顧客を囲い込むためにポイントカードを発行している。買い物をする度に加算されるポイントが貯まれば、定価より安く買えるという仕組みである。しかし、財布には限度があり、ポイントカードを何枚も入れておくことはできない。あまりにもポイントカードがあるために、自宅に置いておくということになってしまう。これでは「ポイントカードを発行する店、ポイントカードでお得な買い物をしたい消費者、その両方で機会損失している」(奥山社長)ことになる。
モバイルCRCを使ったポイントシステムでは、顧客は店側にケータイから空メールを送信するだけで、その店のポイントシステムに登録されることになる。2回目以降、顧客は買い物をする度に、ケータイ画面にQRコードを表示、店員は顧客のQRコードをスキャン。そうすると、顧客のポイントは加算されてゆく。この仕組みであれば、せっかく買い物したのに、自宅にポイントカードを忘れてしまったためにポイントが貯まらない、ということはなくなる。
小売り業・飲食店にとってポイントカードを発行する意味とは、顧客情報を有効に活用して、マーケティングに生かすことだ。最近の来店日はいつだったのか、どんなものを買ったのか、来店回数はどれくらいなのかなどの顧客情報を蓄積・分析して、顧客一人ひとりに合わせた宣伝・特売情報などを流すことができる。ポイントカードなしで商品を買われることになると、店にとっては効果的なマーケティングを行えないことになる。これが奥山社長の言う店にとっての“機会損失”ということだ。モバイルCRCは、蓄積された顧客情報をもとにどんな商品をそろえていけばいいのかが分析できるし、リピーター客に対して、嗜好にあった商品の情報、バーゲン情報などをケータイのメールに送信して、効果的な顧客の囲い込みができるようになる。
モバイルCRCは、マーケティングのためのポイントカード発行に関するコストを低減させ、グローバルエリアネットワークからのソフトウエアの期間貸し方式(ASP)で提供されるために、必要以上のシステム管理のためのコストもかからない。同システムは現在、QRコードを基盤にしたものであるが、奥山社長は「QRコードだけにこだわっているわけではない。フェリカなどのような非接触ICカードにも対応することは検討していく」と話している。同社のシステムは、顧客を認識する技術、つまりフロントエンドの部分で強みがあるわけではなくて、顧客情報を分析・活用する技術、バックエンドの部分で強みがあるのである。
■■シンプルで小型の携帯電話
フェリカを基盤にしたエリオオーダーはショッピングの幅を広げ、QRコードを基盤にしたモバイルCRCは企業のマーケティングに新しい方法を活用させることに成功している。このようにケータイは、われわれの生活を便利なものにし、新しいビジネスチャンスを作ることに役立っている。だが、ケータイの進化は、多機能化という一つだけの方向に流れているわけではない。それとは別の方向に進化した端末も存在する。NTTドコモからこの7月から市場投入されている「premini(プレミニ)」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ開発)である。
プレミニで注目されるのは、手のひらに収まるような小ささだ。そして機能を通話・メール・iモードといったコミュニケーションの基本に限定し、カメラや外部メモリー、赤外線通信などの機能を完全に削ぎ落としてしまったシンプルさだ。ソニー・エリクソンの調査では、利用者のうち48.1%がシンプルなケータイを求めているという。同じ調査で、カメラ機能が不要だとするユーザーが54.0%、プログラミング言語「Java」アプリケーションが不要だとするユーザーが67.2%もいたという。同社はこれらの調査結果から、シンプルで小さいモデルを開発することを決定したのである。
もちろん、シンプルで小さいからといって、使いにくくなってしまっては意味がない。そこでソニー・エリクソンでは、プレミニを使いやすいギリギリのサイズ(高さ約90ミリ×幅約40ミリ×厚さ約19.8ミリ)にしており、それとともに、ボタンを押し易いようにボタンが並んでいる面をスロープにしている。また通話機能に不安をもたれないようにするために、高感度マイクを搭載するなどの工夫もしている。
かつての携帯電話へのニーズはより薄く、より軽くなることだった。しかし、画面が大型化されてから、そしてカメラ機能が搭載されるようになってから、端末は巨大化の方向へ進んでしまったのである。だが、ソニー・エリクソンの調査を見ても分かる通り、携帯電話はシンプルで小さいものがいいというユーザーは確実に存在している。それを裏付けるようにプレミニについては「20〜30代男性からの反響が大きい」(ソニー・エリクソン)という。プレミニは7月1日から店頭販売されているが、その売れ行きについてソニー・エリクソンでは「自信はあったが、こちらが想定している以上に売れている」としている。
■■いよいよ「生活インフラ」に
携帯電話端末の買い切り制度が始まったのが1994年だ。そして、それまで一部の消費者のものと見られていた携帯電話が一般的なものとして普及拡大するようになったのが、99年に始まったNTTドコモのiモードサービス。ここまでの携帯電話は、あくまでもコミュニケーションのためのツールだったが、カメラ機能を搭載したことで携帯電話は、マルチメディア化を始めた。コミュニケーション・ツールという枠に収まらなくなったケータイは、いよいよ「生活インフラ」という意味を持つようになってきている。
ソニーファイナンス
http://www.sonyfinance.co.jp/
グローバルエリアネットワーク
http://www.e-chirashi.co.jp/
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ
http://www.sonyericsson.co.jp/
2004年7月29日