現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ36 > 1071.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
国連人口基金(UNFPA、本部・ニューヨーク)は15日、「カイロ合意の10年・貧困に終止符を打つための地球的取り組み」と題する04年版世界人口白書を発表した。世界人口は7月1日現在、63億7760万人。途上国でも合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む平均子ども数)が3を割り込むなど、爆発的な人口増加の時代は終わりかけている。しかし、この1年間に増加した7600万人の8割以上が貧困層で、白書は「エイズの拡大防止や思春期の若者、難民の健康対策が課題」と訴える。
国連推計によると00〜05年の世界人口の年間増加率は平均1.22%。10〜15年には1.05%まで低下する見通し。2050年時点の予想人口は98億人(94年推計)から89億人(04年推計)に減少した。出生率の低下と寿命の延伸の時代が続くが、アフリカなどの一部地域では貧困とエイズ禍が深刻化する。
白書は94年にカイロで開かれた国際人口開発会議から10年を経た現状を分析し、「財源不足とジェンダー(社会的性差)が、カイロで合意された地球規模の行動計画の進展を阻んでいる」と指摘。(1)開発途上国では3億5000万人以上のカップルが、出産間隔を調節するための家族計画サービスを利用できない(2)毎年約500万人が新たにエイズに感染しており、うち10%は母子感染(3)10億人が1日1ドル以下で暮らし、その4分の1が青少年−−などの問題点を挙げている。
179カ国が採択したカイロ行動計画は、人口問題の根本解決に向けてリプロダクティブヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康・権利)の確立を求め、2015年までに途上国の乳児死亡率を90年比で2分の1に、妊産婦死亡率を4分の1に削減−−などの目標を掲げた。しかし実際には04年推計の乳児死亡率は出生1000件あたり61人(先進国の8倍の確率)で、カイロ以降の10年間で1割改善されただけ。
国連人口基金の「飢餓の撲滅」などプログラム実現に年間約60億ドルの資金が必要とされるが、米国ブッシュ政権の分担金の拠出拒否などで30億ドル分しか集まらない。カイロ10周年を記念する大規模の国際会議も実現しなかった。
白書の日本語版を監修した黒田俊夫・日大人口研究所名誉所長(94)は「途上国の貧困は地球社会の持続性を破壊するほどに深刻。だが、私たちはその意味を真剣にとらえていない。日本の市民は緊張感を持ってこの白書に接してほしい」と話している。【滑志田隆】
毎日新聞 2004年9月15日 21時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20040916k0000m030029000c.html