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勝利を掴んだ金正日!ジェンキンスは仕事をやり遂げた!!――残るは対北京対策と日朝国交正常化交渉――(行政調査新聞)
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投稿者 エンセン 日時 2004 年 9 月 15 日 03:19:14:ieVyGVASbNhvI
 

 
勝利を掴んだ金正日!
ジェンキンスは仕事をやり遂げた!!
――残るは対北京対策と日朝国交正常化交渉――
10月の恐怖は日本に向けられる恐怖なのか!?


韓国の核開発に隠された『疑惑』

 9月3日、東アジアに激震が走った。韓国科学技術省が2000年(平成12年)1月から2月にかけて少量のウラン濃縮分離実験を行い「0・2グラムのウラン分離実験」に成功していたという衝撃情報が流れたのだ。

 この濃縮実験はレーザー法という手法で行われたと発表された。レーザー法濃縮は実験的にはわが国も行ったことがある方法で、遠心分離法よりも格段に高濃度のウランを作ることができる。韓国政府はこの実験を「原子力の平和利用と燃料国産化の一環」と位置づけているが、この説明は各国がまったく信用していない。

 ウランのレーザー法濃縮は理論的には比較的簡単なもので、じつはかつてオウム真理教がオーストラリアに買った土地でやろうとしたものだ。オウムはこの時点で真剣に核兵器開発を考えたようだが、断念してしまった。というのは、レーザー法濃縮は極度に費用が嵩む。事実、IAEA関係筋は「0・2グラムの濃縮ウランの製造に長い時間をかけて実験しても、コスト的には全く見合わない」と実験の意義に疑問を呈している。

 コスト度外視の実験は、民間企業では考えられない。

 英紙フィナンシャルタイムズは「韓国政府は実験には関与していなかったとしているが、核開発の専門家はその主張には懐疑的だ」と伝えている。まさにその通り。そして、英紙の指摘通りこの実験に政府が関与していたとすれば、それは「エネルギー国産化」などではあり得ない。明々白々に「核兵器開発」なのだ。

 9月9日、北朝鮮の建国記念日にあたるこの日、さらに衝撃的なニュースが流された。

 「米政府高官は8日、韓国政府が1980年代初めに少量のプルトニウムを使った実験を行っていたことを明らかにした。韓国の聯合ニュースによると、韓国外交通商省高官は9日、同実験について『今は廃棄された研究用原子炉で行われた』と述べ事実を認めた。」(共同通信2004年9月9日)

 かつて朴正熈政権下の1970年代に韓国は極秘で核兵器開発を進めていたが米国に咎められ計画が中止された経緯がある。それ以降、米国もIAEAも当然ながら韓国に対して注視を怠らなかった。当然のことながら1980年代に行ったプルトニウム実験も、2000年に行われたレーザー法濃縮実験も米国が熟知している中で行われたのだ。

 韓国の核開発情報の衝撃とは、「韓国が核開発をやっていた」という事実にあるのではない。「なぜ今の時期に、米国がこれを暴露したのか」が問題なのだ。

 これを考える必要がある。


ミサイル防衛

 自衛隊がイラク派遣をするか否か、国内外でさまざまな意見が噴出した。米国にもウォルフォウィッツ(国防副長官)のように「日本の自衛隊の貢献などアテにしない」といった意見があったが、原則的には米ブッシュ政権は自衛隊派遣待望論だった。支那、韓国を初めとするアジア諸国は日本の「軍」が海外に出向くことに異常なまでの警戒心を見せた。国内では野党・民主党を中心に自衛隊派遣反対運動が盛り上がった。

 国内外の派兵反対意見を抑え込んだのは「北朝鮮の脅威」だった。万一、北朝鮮がわが国に攻撃を仕掛けてきた場合、どうするのか? 残念ながら現状では米国の支援がなければ対処できない。

 北朝鮮が脅威であればあるほど、わが国の対米依存は高まる。まして北朝鮮が核を所持したとなれば、わが国は米軍の傘の下で隷属国家として生き延びるしか方法がない。

 世界中どんな国でも、隣国に核兵器が存在すれば過敏になる。仮想敵国が核兵器を持てば、何とかして自国も核武装しようと考える。北朝鮮が核開発を行う可能性があれば、韓国が核開発をすることは当然なのだ。――仮想敵国の核所持にとらわれるものではない。民族が真の独立を目指すのであれば必然的に核武装を行う。ただし、世界中で唯一、仮想敵国が核武装しようが隣国が核開発をしようが絶対に核兵器に手を出さない国がある。――わが日本だ。

 どんな状況に追い込まれようが日本は核開発を行わない――。それは米国が何度も繰り返し思想実験を行って得た確信だ。事実、わが国国民の99.99…%は、この国が絶対に核兵器を持たないと考えている。

 絶対の安全パイとも言える日本を隷属させるためには、「核の脅威」が存在しなければならない。

 今秋、防衛庁は平成17年度の概算要求を纏めた。そのなかに「北朝鮮の弾道ミサイル」を念頭に置いたMD(ミサイル防衛)に対する1442億円が含まれている。これは通常ミサイルに対応するものであり、核搭載ミサイルの存在を考えた場合この額はさらに上昇する。このカネはすべて米国のMDに対して支払われるものなのだ。

 米国がこの時期に韓国の核開発を明らかにしたのは、北朝鮮の核開発の脅威を煽りながらMDを売りつけようとする思いも多少はある。だが、単にわが国からMDのカネを巻き上げようなどという話なのではない。その深奥の意味はもっと別なところにある。


6カ国協議延期、そして中止へ!?

<韓国>濃縮ウラン抽出 北朝鮮、攻撃材料に
 韓国が00年1〜2月にウラン分離実験を行い、微量の濃縮ウランを抽出していた問題は、北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の進展に影響を与えそうだ。韓国外交通商省は政府の関与を否定しているが、北朝鮮が、韓国の濃縮ウラン問題を攻撃材料にするのは必至で、日米韓3カ国の信頼関係が揺らぐ可能性もある。」(毎日新聞ネット版)

 「『明らかに軍事的性格』 北朝鮮、6か国協議波及を示唆 【ソウル=福島恭二】朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省報道官は11日、韓国がウラン濃縮実験とプルトニウム抽出実験を行っていた問題について、『明らかに軍事的性格を帯びたもので、米国に操作されていたという疑念を強く抱かされる』と指摘した。そのうえで『(北朝鮮の核問題をめぐる)6か国協議開催問題と連結させて見ざるをえない』と述べた。
 北朝鮮が韓国の核問題と6か国協議を結びつけて公式に言及したのは初めて。日程の調整が難航している第4回協議について、米国への交渉カードにしたい北朝鮮の思惑を示している。
(読売新聞9月12日)


 この2つの記事からだけで十分ご理解いただけるだろう。韓国の核開発実験の公表は北朝鮮に恰好の材料を与え、9月中に行われる予定だった6カ国協議は延期となる公算が大きくなった。情報筋は10月には行われるだろうと語っているが、現実には10月どころか年内開催も危ぶまれる状況にある。

 簡単に整理すると、こうなる。

 米国が「韓国の核濃縮、抽出実験を公表した」結果、「北朝鮮はこれを材料に6カ国協議開催を拒否」した。6カ国協議延期の責任は、核開発実験をやった韓国にある、またはこれを口実に協議に応じない北朝鮮にある。――もし、米国そのものが6カ国協議開催を延期または中止したかったとしたら、米国の目論見は大成功に終わったと思える。

 米国にとって「北朝鮮の核の脅威」は必要なのだ。是非とも北朝鮮に核を所持してほしいのだ。なぜか? 答えは簡単明瞭である。北朝鮮が核を持っていても米国を攻撃することはない。そして北朝鮮が核を持てば、隣国・支那北京政府は外交・戦術すべての面で莫大な消耗戦を強いられることになる。そのうえ日本に高額のMDを購入させることができる。

 だが核拡散防止の建前からも、6カ国協議を継続して北朝鮮に核放棄を求めるのが米国の立場なのだ。

 米国の本音と建前――。水面下の交渉が可能であれば、米国は喜んで北朝鮮の交渉に応じたであろう。だがその交渉は「米朝秘密回路」が閉ざされている現在、不可能のように思えた。

 それが見事に機能したかのように思える「韓国の核濃縮、抽出実験の公表」だった。

 ジェンキンスが「仕事」をやり終えたのではないだろうか。
 見事な仕事を……。


支那北京政府の憂鬱

 韓国、北朝鮮に限らず朝鮮半島に核が存在するという事実は、米国にとっては問題のない話である。いや問題がないどころではない。米国は朝鮮半島が支那北京政府の支配下にないのであれば、半島に核が存在することは大歓迎なのだ。

 だが逆に北京政府にとってこれは大問題である。

 朝鮮戦争(1950年)以降、北京は北朝鮮を友邦というか属国と考えてきた。事実、朝鮮戦争を乗り越えることが出来たのは林彪率いる第四野戦軍の支援によるところが大きかった。北朝鮮の人民解放軍内部でも陸軍はずっと支那人民解放軍の影響下に置かれ、それが北京を安心させていたことも事実だった。こうした歴史を熟知している金日成の時代から、親ソ連・親ロシアの金正日政権に代わっても、北京は北朝鮮を友邦(属国)扱いしてきた。

 だが金正日は明らかに支那北京政府の支配下に入ることを拒否している。
 北朝鮮は今、米国・ロシア・支那の3つの大国の狭間にあることを巧みに利用し、外交戦を駆使して生き残る算段を模索しているのだ。それは事大主義に生きる朝鮮半島が歴史的に歩んできた道でもある。
 しかし北京政府はそれを絶対に許さない。許すことはできない。

 今年(平成16年)8月に支那で行われたサッカー・アジア杯で日本チームに対して大ブーイングが起きたことはご存じだろう(詳しくは本紙9月8日付「10月の驚愕『オクトーバー・サプライズ』は東アジア激変を意味しているのか?」参照)。このブーイングは北京政府が演出したものだが、その盛り上がりは尋常ではなかった。試合後、日本チームは競技場から出られず、また大使館の公用車の後部ガラスが割られたりもした。

 政府自身、反日行動の余りの激しさに驚愕し、日本批判運動を押さえ込もうとしたが、火がついた運動を止めることはできなかった。決勝戦の日本対中国というカードには約6万人の観客が押し寄せたと報道されているが、じつはその半分は公安(警察)で、1人に対し1人の警官が張りつき過激な行動を押さえ込もうとしたが、それもできなかった。

 この反日行動の激しさの背景には、支那の一般大衆の欲求不満がある。

 市場主義社会経済という不可思議な体制を導入した北京政府だが、沿海州の発展に比べ農村部の疲弊は著しいものである。大衆の多くは法輪功に走り、また反共産党、反北京政府の色合いを深めている。ほんの少しでも大都市以外の大衆に話を聞けば理解できるが、それは完全に「共産党憎悪」にまで発展している。

 サッカー・アジア杯の反日行動の深奥には、燃え上がる庶民大衆の政府憎悪、人民解放軍憎悪が存在している。やり場のない怒りが13億の民すべての心にドロドロと渦巻いている。そして北京政府はその不満を、その憎悪をわかっているのだ。

 その憎悪の捌け口を求めない限り、北京政府は自滅自壊してしまう。

 国内に不満が充満し、いつ反政府運動が勃発してもおかしくない状況にあるとき、為政者は何をするか? 歴史的に見て共通していることは、外に向かうこと、外敵を作ることだ。

 こういった事情で北京政府は、資源・領土を求めて日本と激突し、軍事的には台湾と激突する。政策として対外激突を演出せざるを得ないところにまで追い込まれている。

 そうした状況のなか、属国と認識していた北朝鮮が米国と地下回路を作ることに躍起となっている。――北京政府の苛立ちは最高潮に達していることだろう。


ジェンキンスの「仕事」

 今から2年前の平成14年9月17日、小泉純一郎首相は平壌に赴き金正日総書記と歴史的な日朝首脳会談を行った。この直前、小泉は「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化交渉はない」と断言していたが、わが国国民大衆を含め小泉自身も、金正日が拉致を認めるとは考えてもいなかった。そして当日、金正日の口から出た内容は「死者8名、生存者5名」という悲惨なものだった。

 その後、拉致被害者5名が帰国を果たし、またその家族が日本に来るといった過程のなかで、死亡したとされる8名の死亡状況が疑問だらけである点や拉致被害者が他にもかなりの数で存在することなどが追及されるようになった。

 拉致被害者は、まさに被害者である。

 国家の存在意義は、国民の生命財産を守るところにある。拉致被害者は日本国国家が守り切れなかった人々であり、国家は全面的に彼らに謝罪しなければならない。

 悪いのは拉致を成立させ、それを長期間見過ごしていた日本国である。

 だが、「生存した5名」は、なぜ彼ら5名だったのか? そしてなぜ曽我ひとみさんがその中にいたのか? これは冷静に判断すべき事柄だ。
 北朝鮮・金正日は「ジェンキンス(将軍格)の妻」であるからこそ、曽我ひとみさんを「生存している拉致被害者」と認定し、彼女を日本に帰国させたのではないのか。そして日本側の強い要請に基づき、最終的にジェンキンスを日本に送り込んだ。

 そのジェンキンスは9月11日、在日米軍司令部のあるキャンプ座間に出頭した。ここで3カ月余り生活し、表向きは裁判の結果を待つことになっている。


 「『米軍の処遇に感謝』とジェンキンスさんコメント
 在日米陸軍基地キャンプ座間に入ったチャールズ・ジェンキンスさん(64)のコメントを13日、同基地の広報担当者が発表した。『米陸軍によるプライバシーへの配慮や敬意をもった処遇に感謝する。案内のための世話人をつけてくれたことなど、想像以上の手厚い処遇に家族一同ありがたく思っている』と述べたという。
 基地では米国人の下士官と、その韓国人妻がジェンキンスさんら家族の世話にあたっている。現在いる転入者用宿泊施設から、基地内の住宅に同日中に引っ越す予定という。」
(朝日新聞ネット版より引用)


 何度も繰り返して恐縮だが、ジェンキンスは明らかに北朝鮮・金正日が送り込んだ「対米秘密外交工作員」であり、米国もそれを理解している。ジェンキンスの対米交渉がどのような結末を迎えたのかは、米国の極秘事項であり知ることはできない。

 だが、最近の北朝鮮を巡る状況を見る限り、理解できることがある。
 韓国の核開発、実験の公表と北朝鮮の6カ国協議拒否――。米国が朝鮮半島に核の存在することを認め、北朝鮮もこれを了承したという事実である。

 ジェンキンスは、たった一人で超大国アメリカを相手にまわし、見事に金正日の要求を受け入れさせたと考えて間違いはない。

 残る問題は「日朝国交正常化交渉」だけだ。

 北朝鮮の金正日体制は当分は続くかもしれないが、日本の小泉純一郎体制は長く考えてもあと2年。今すぐにでも国交正常化交渉を再開しない限り間に合わない。だが金正日は、日本の小泉が最大2年しか政権を維持できないなどということを考えてはいないようだ。金正日が行方を睨んでいるのは11月の米大統領選でしかない。


そして「大爆発」が起きた!!

 曽我ひとみさんと夫ジェンキンスは北朝鮮・金正日が米国に対して切ったカードだった。そのカードを米ブッシュ政権は吟味のうえ受け取り、朝鮮半島に核が存在することを了解した。

 これは支那北京政府にとっては途轍もない衝撃だった。

 隣国に核兵器が存在するという事実は、日本を除く地球上のすべての国々にとって衝撃であり脅威である。そしてこの事実は、次に起こり得るであろうさまざまな未来を予測させる。――無限に予測できる未来のなかには、恐怖に満ちた予測もある。たとえば北京政府が金正日を暗殺するかもしれない、とか、金正日政権の土台を揺るがすテロ攻撃を行うかもしれない、等々といった予測である。

 米政府は「北朝鮮が10月に核実験かミサイル発射実験を行う可能性がある」と警告している。北朝鮮が核実験(ミサイル実験)をやるということは、韓国の核開発、実験に対する返答として実に明瞭だ。また付随してわが国に対する米国のMD(ミサイル防衛計画)売り込みにも適切な話だろう。

 こうしたさまざまな憶測が可能な状況のなか、事件が勃発した。まずは以下の記事をご覧いただこう。

 「北朝鮮北部で大規模爆発か、キノコ雲様の煙 通信社報道
 韓国政府は12日、北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)付近で今月8日から9日にかけて、大規模な爆発が起きた形跡があるとの情報をつかみ、詳細を確認中であることを明らかにした。韓国の通信社・聯合ニュースも12日、北京の消息筋の話として『中国国境に近い両江道金亨稷(キムヒョンジク)郡で相当な規模の爆発があった』と報じ、現場から直径3.5〜4キロのキノコ雲様の煙が立ち上ったと伝えた。
 同ニュースによると、韓国政府筋は、8日午後11時と9日午前1時ごろの2回、『爆発に関係するとみられる地震のような振動が観測された』と述べた。
 両江道は中国国境沿いにあり、人口密集地ではないとされる一方、軍事施設が集中しているとの情報もある。9日は北朝鮮の建国記念日だった。(中略)
 一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が『北朝鮮が初めての核実験を準備している可能性がある、との情報を米政府がつかんだ』と報道したことと関連し、鄭統一相は『この報道と爆発情報は無関係だと判断している』と述べた。
 北朝鮮では、今年4月22日、北西部の竜川駅で列車の積み荷が爆発し、約160人が死亡する事故が起きている。」
(朝日新聞ネット版9月12日)

 「北朝鮮爆発はテポドン関連? 軍施設? ……諸説飛び交う
 北朝鮮北部の両江道金亨稷郡で起きた爆発について、北朝鮮当局は一切明らかにしていない。韓国の盧武鉉大統領は関係省庁に対して『正確な状況把握』を命じたが、政府発表は『事実関係を確認中』と慎重で、韓国メディアでは、様々な観測が飛び交っている。
 韓国聯合ニュースは12日昼、『爆発に伴いキノコ雲が観測された』と報道。米マスコミが、北朝鮮による核実験準備を伝えていたこともあって、核実験を行ったのではという観測が急浮上した。これに対して、韓国の鄭東泳統一相は、『(米マスコミ報道と爆発は)無関係だ』と打ち消した。(中略)
 専門家が注目しているのは、爆発の時期と場所だ。
 9日は、北朝鮮の建国56周年記念日で、8日には祝賀式典が開かれるなど、国威発揚の時期に爆発は起きた。
 現場の両江道金亨稷郡が中国との国境地帯であることは、『同盟関係にある中国との摩擦を覚悟で核実験するはずがない』と、核実験説をうち消す材料だ。同郡周辺には軍事施設が集中しているとされ、韓国国防省は1999年7月、ミサイル基地と見られる地下トンネル工事が同郡で進行中と国会で明らかにした。
 聯合ニュースによると、韓国と中国の情報消息筋が、『爆発地点の近くで最近、弾道ミサイル・テポドンを運搬するトレーラーが発見された』として、『ミサイル関連事故』との見方を示した。別の韓国の情報消息筋は、『爆発当時の状況が、火薬類による爆発の可能性を示唆している』として、『軍需工場や武器庫の爆発』説を唱える。」
(読売新聞ネット版9月13日)

 北朝鮮両江道金亨稷郡で起きた爆発事件に関しては、恐らくは今後さまざまな憶測記事類が噴出するだろうが、この事件の真相は謎に包まれたまま終わるだろう。

 だがあえて推測すると、これが明らかに仕組まれた爆発だったと結論づけられる。

 北朝鮮当局は当初、平壌を訪れていた英国のラメル外務政務次官に対し「爆発などない」と対応した。それが一転して「水力発電所建設のための爆破だった」と変わる。そしてラメル次官が現地に行きたいと希望すると、一旦はこれを了承。世界中にそのニュースが流れたところでラメルの現地入りは先送りとなった。明らかに北朝鮮の動揺と、事件の真相隠蔽の気配が見てとれる。

 一般的に考えられているのは軍事施設に爆発物や化学物質を運び込むときに起きた事故だという説だ。たしかに爆発現場はミサイル基地から10キロの近さにあり、その可能性は捨てきれない。設備の管理不足や機械の故障、あるいは過労から起きたであろう人為的ミスを指摘する者もいる。だが建国記念日の9月9日に起きたことや、当初政府高官が爆発そのものを知らなかったことなどを考えると、単なる事故の可能性は低い。

 一部には、金正日体制に反発する勢力がやった破壊工作との説もある。たしかに北朝鮮内部には反体制の勢力が存在し、過去にもテロ未遂などがあったと推測されている。だが平壌から遠く離れ人口も少ないこの地で反体制テロを行う可能性は少ない。

 こうした巨大な事件は偶然に起きる可能性は極めて低いもので、何らかの意図があり何者かが仕掛けたと考えるのが普通だ。そして世界全体の流れを見れば、米朝が結託したことに起因すると思って良いだろう。

 興味深いことに、この事件に対して米国は非常に冷静である。ライス報道官など「山火事の可能性もある」と答え、事件を大きく取り扱わない姿勢を見せている。韓国もまた、米国同様、事件を過少評価する気配だ。

 4月に起きた竜川駅の爆発事件の真相も闇の彼方にある。しかし竜川が支那と北朝鮮の国境にあり、この駅でイラン人技術者を含めた核開発が進められていた事実から、竜川駅事件は北京政府が関与していた可能性が匂ってくる。そしてまったく同様に、今回もまた支那との国境に近い両江道金亨稷郡のミサイル基地近くで起きた。
 米政府は「北朝鮮が10月に核実験かミサイル発射実験を行う可能性がある」と警告していたが、この警告は米朝秘密回路による合意だった可能性がある。そして――今回の爆発事故により、10月核実験(ミサイル実験)の可能性はぐんと低くなってしまった。米朝の思惑通りには事を運ばせないという強い意思が、この事件を引き起こしたと考えるのが当然だろう。

 ということは、今回の爆発事件の背後にも北京政府が存在しているのではないか、ということだ。ただし……、これは推測でしかない。そして、他国が爆発に関与していたと考えた場合、支那以外の可能性だって存在する。ロシアの飛行機テロ事件、そして北オセチアの小学校事件の背後に英国の影がチラチラと見え隠れしているが、今回もなぜか英国の外務政務次官が訪朝中に事件が勃発している。……考え過ぎと言われても文句は言えないのだが、英国が関与している可能性はゼロではない。

 事件か事故か、はたまた陰謀か……、金正日は間違いなくこの事件が何であったか理解している。その金正日は9月13日、突如としてロシア政府に対しプーチン大統領との「新たな会談」を申し入れている。これは何を意味するのだろうか?

 米国、ロシア、支那との3国の狭間で巧みな外交戦を続ける金正日は次にどんな手を打ってくるのか。

 本紙は今また、読者諸氏に問いかけたい。

 朝鮮半島の経営を行ってきた日本人の末裔として、旧宗主国・日本に生きる者として、現代に生きる日本人は半島に対してどのような責任をとるべきなのか?

http://www.gyouseinews.com/international/sep2004/002.html

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