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イラク日本人殺害:
待ち伏せされる戦場記者
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040529k0000m030170000c.html
追い越しざまの日中の銃撃は、戦場取材の経験が豊富なフリージャーナリストの警戒心をもっても避けることはできなかったのか。イラク・バグダッド近郊で起きた日本人銃撃事件は、主権移譲問題が難航する中、日に日に悪化する同国の治安情勢を改めて浮き彫りにした。「昼下がりからは何が起きてもおかしくない」と言われる地域だが、「日本」が標的にされた可能性を否定する根拠も、今のところない。イラクに自衛隊が派遣されて以来初めて日本人が犠牲になったとみられる事件は、派遣の前提である「非戦闘地域」の認定を巡る論議も再燃させそうだ。
◇治安悪化 取材に「壁」
3カ月前、陸上自衛隊関連の取材のため、バグダッドとサマワ間を車で往復した。橋田信介さんと小川功太郎さんが今回襲撃されたマハムディヤ付近を通過する際は、同行したイラク人助手が緊張した面持ちでハンドルを握り、「大丈夫かな」と繰り返していたのを、よく覚えている。数日前に車両が襲撃されるという事件が起きたばかりだったからだ。
現場は片側1車線の国道で、周囲に砂漠や畑が広がる。南部の地方と首都バグダッドを結ぶ幹線のため、人々や物資の行き来は盛んだ。それゆえに人とモノを狙った「待ち伏せ攻撃」もまた頻発し、「攻撃する側にとっては極めて効率のいい地点」と言われている。
外国人を狙った政治犯的な犯行もあれば、モノほしさに駆られた単純強盗もある。イスラム教シーア派地区にあたるが、北方近くにスンニ派地区もあるため、両派の武装組織や非宗教的な強盗集団が入り乱れ、潜伏している。このため今年1月に起きたCNN取材班襲撃など数多くの事件が、犯人が分からずじまいになっている。駐留米軍は過激派掃討作戦を行ってはいるが、統制の取れた一大組織が存在しないため、逆に手を焼いている。
イラクでの取材は日に日に困難さを増している。取材の基本は「人に会うこと」だが、その基本動作すら難しくなっている。3カ月ぶりに訪れたバグダッドで、記者は取材のたびに先月起きた日本人人質事件を引き合いに「誘拐されないか。大丈夫か」と声をかけられた。
街中で出会う市民からは「おれたちイラク人は日本人が大好きだ」とも声をかけられるが、通りがかりの子供から「誘拐されるぞ」とば声を浴びせられたこともある。部族組織の関係者からは「(人質事件の解決に)尽力したのに日本政府から何のお礼もない。また誘拐されたいのか」と半ば脅すように言われた。
現地のイラク人助手は取材先から「ジャーナリストの手伝いならいいが、自衛隊の手伝いだったら許さない」と言われた。助手はバグダッド市内でも危険とされる場所へ行くことをちゅうちょするようになっている。
【バグダッド山科武司】
◇揺らぐ「非戦闘地域」
銃撃事件は「非常に危険な地域」(細田博之官房長官)で起きた事件とはいえ、日本人を標的としたテロの可能性も排除できず、政府は事実・背後関係の早急な確認を急いでいる。なかでも、「非戦闘地域」との認定に疑義が生じることを強く警戒している。
細田長官は28日午後の記者会見で「バグダッドの南となると、治安情勢が悪いところはたくさんある。自衛隊が宿営し、人道復興支援をしているサマワとは非常に事情が違う」と述べ、自衛隊の活動には直接影響を与えないとの見方を強調した。日本人を標的にしたテロか否かについては「はっきりしない」と述べるにとどめた。
政府にとって、事件が日本を標的にしたものかどうかは、重要な意味を持つ。
日本人を対象とした事件としては先の人質事件が記憶に新しいが、「殺害」を前提としたものでなかった。今回の残虐な手法はこれとは明らかに異質で、サマワの自衛隊が「標的」となる可能性さえ否定できなくなるからだ。
民主党幹部からはさっそく「非戦闘地域という認識が本当にそうなのか、この部分が最大の議論だ」との声が浮上した。
一方、外務省は28日、イラクの在留邦人に早急な退避勧告を呼び掛ける渡航情報を出した。渡航情報は昨年3月の対イラク開戦後から4段階で最も強い「退避勧告」を継続中で、これで35回を数える。
与党内には再三の退避勧告にもかかわらず起きた事件だけに、先の人質事件と同様、被害者側の「自己責任」を取り上げる向きもある。しかし、最悪の事態になった恐れが強いという事情からか細田長官は同日、「海外において邦人がいろいろな災難に遭った時に、対応するのは政府の責任」と、自己責任論を提起することは避けた。
隣国ヨルダン経由でイラク入りすれば、入国情報をイラクの日本大使館が把握するのは困難だという。【中澤雄大、高山祐】
◇日本の5社7人 イラク取材中
日本国内の主な新聞・通信、テレビ、出版の計18社に毎日新聞が聞いたところ、28日現在、少なくとも5社7人の記者がイラク国内で取材活動中であることが分かった。ただ、フリージャーナリストによる現地の映像やリポートを出来高払いで提供を受けているテレビ局や出版社もあり、実際の人数はこれを上回るとみられる。
イラクに記者、カメラマンを派遣しているのは毎日新聞(1人)、朝日新聞(2人)、産経新聞(1人)、共同通信(3人)とNHKの5社。取材拠点はいずれもバグダッド市内。NHKは「安全上の理由」から人数を明らかにしなかった。
武装グループや盗賊団の標的とされやすい取材移動中の安全対策を5社とも講じている。現地の事情に詳しいイラク人の運転手・スタッフや警備員を同行させるなどの措置だ。さらに朝日新聞は「車での移動にあたっては外国人だと分からないように気をつけ、複数の車両で動き、武装ガードもつける」とし、NHKは「バグダッドでは現地責任者として管理職を派遣し、取材チームの安全確保に気を配っている」と回答した。
共同通信は「タクシーではなく、支局で雇用している運転手が運転する車を使う」などの工夫をしているという。
毎日新聞は危険が予想される地域や夜間の取材を控え、イラク人スタッフを同行させている。
<ノンフィクション作家、吉岡忍さんの話>
僕も戦争取材の経験があるが、戦場が四六時中、戦闘状態にあるわけではない。戦争の中にも「日常」があるわけで、本当に急に、銃撃が始まったり爆弾が爆発したりと、突然危険に見舞われる。2人もそのことは十分承知していたと思う。注意をするにも限界はあり、避けがたい面はある。橋田さんの奥さんが「覚悟はあります」とおっしゃっていたが、周囲からも理解されないと、できない仕事だと思う。
しかし、ジャーナリストやNGO(非政府組織)が国益、国策の枠の中に入ってはいけない。その枠を超えて活動することによって、社会が狭い意味でのナショナリズムに陥ることなく、もっと普遍的な正義の実現のために「正気」を保つことができるのだと思う。2人の死が事実だとしても、決して「無駄死に」ではない。
毎日新聞 2004年5月29日 2時41分
http://groups.yahoo.co.jp/group/nomorewar/message/13490
自衛隊イラクへ行けー!と旗を振っていた読売新聞は、今イラクに記者を派遣していないという。安全地帯にいて「テロと戦え」と金切り声を上げている。ジャーナリストの風上にもおけんとは連中のことだ。
黙っているのは 卑怯なことだと
おしゃべり男の 声がする
命があるなら 闘うべきだと
おびえた声がする
―中島みゆき「裸足で走れ」