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5月26日付・読売社説(1)
[ブッシュ演説]「混迷イラク抜け出す道を開け」
米国のイラク政策は、混迷の淵(ふち)から抜け出せるのか。
ブッシュ米大統領は政策演説で、イラクの民主国家樹立を支援していく方針を強調した。
連合国暫定当局(CPA)から暫定政権への主権移譲は、約一か月後に迫ったが、治安改善の兆しは見られない。米軍によるイラク人虐待事件で、米国の威信は大きく傷ついたままだ。
イラク情勢の悪化は、今秋の大統領再選戦略にも影を落とし始めた。米CBSテレビの世論調査で、一年前に72%だったイラク政策の支持率は、34%へと半減した。大統領の支持率は、就任以来最低の41%に落ち込んだ。そうした危機感を反映しての演説だった。
大統領は、六月三十日の主権移譲、来年一月までの直接選挙実施、という政治日程を改めて確認した。治安確立と復興支援の継続、国際社会への支援呼びかけに努める、とも約束した。
最優先すべきは、政治日程を円滑に進めることだ。米国はイラク戦争の当事国として、外交、治安の両面から、それを支える責務を負っている。
米英両国は、国連安全保障理事会に、イラク新決議案の草案を提出した。主権移譲と占領終了の宣言、今後の政治日程の保証、暫定政権の権限や多国籍軍による治安維持などを規定する内容だ。
仏独は、米軍主導の多国籍軍の撤退期限を明記するよう求めている。草案は撤退期限には触れていないが、「多国籍軍の任務を十二か月後、あるいは直接選挙後に発足する移行政権の要請があれば見直す」と、妥協の余地を残している。
安保理は、イラク開戦をめぐる対立で機能不全を露呈した。再び合意形成に失敗すれば、イラクも安保理も混乱するだけだ。不採択という選択肢はない。
主権移譲後、治安維持の重要性はさらに強まる。政治日程が進む過程で、各勢力の利権争いは激しさを増す。武力衝突につながる懸念は強い。選挙を実施するためにも、治安維持は不可欠である。
だが、イラクの警察、軍、国境警備隊は、数も装備も訓練も不足している。スペインなどが撤退し、仏独がイラク派兵はしないとする中、治安維持の中心的役割は米国が引き続き担うほかない。
大統領は、虐待事件が起きたアブグレイブ刑務所を解体する、と述べた。負のイメージの払拭(ふっしょく)を狙ったのだろう。軍法会議では、最初の被告の憲兵に有罪判決が下ったが全容解明はこれからだ。
米軍の存在が治安改善に欠かせない、ということに、イラク人の理解を得るためにも、米国は、虐待事件で誤りなき対応をすることが重要である。
(2004/5/26/01:58 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040525ig90.htm