現在地 HOME > 掲示板 > 戦争55 > 651.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
社説
(2004/5/23)
日朝首脳会談 拉致解決への道は遠い
ようやく拉致被害者の家族五人が帰ってきた。しかし、北朝鮮による拉致事件の完全解決への道は遠い。国交樹立までには、多数の「安否不明者」の原状回復などまだまだ課題が残っている。
一年七カ月ぶりの再会である。拉致被害者の地村保志さん夫妻と蓮池薫さん夫妻は、羽田空港に着いたそれぞれの家族五人と会って、肉親の情を確かめ合った。
曽我ひとみさんは、近く家族三人と北京で会い、将来を話し合うことになった。元在韓米軍から脱走したといわれる夫のジェンキンスさんが日本行きに難色を示したためだ。政府は特殊な立場を考慮して、早急に訴追免除を米政府に説得するなど、苦痛を延ばさないよう努力してほしい。
小泉純一郎首相の外交的には異例の二度目の訪朝による日朝首脳会談で、拉致問題の「トゲ」の一つは抜けた。しかし、北朝鮮が「不明・死亡」という十人についての手がかりは何も得られなかった。
金正日総書記は、首脳会談で「本格的な再調査を指示する」と真相究明を約束したが、拉致は軍や労働党の「特殊機関によって行われた」(金総書記)ものだ。すぐにでも所在や事情はわかるはずである。これ以上の先送りは許せない。
十人の多くは、工作員養成機関で働いたり、「よど号」乗っ取り犯によって拉致された疑いのあるケースが多い。北朝鮮としては、国家機密にかかわった被害者を帰国させたくないのだろうが、加害者には原状回復の責任がある。
このほかにも拉致された疑いが濃い日本人は数十人単位でいる。政府は「幕引き」にしないよう性根をすえて交渉に当たる必要がある。
小泉首相は、首脳会談後の記者会見で「国交正常化への努力を続ける。信頼醸成の環境づくりに意義あるものだった」と評価した。
しかし、「拉致問題の解決なしに国交はありえない」という自身の言葉を忘れないでほしい。
また、核問題も議題だった。小泉首相が「完全で検証可能な後戻りできない放棄(CVID)」を求め、金総書記は「六カ国協議を活用して平和的解決をしたい」などと答えた。
前回も「あらゆる国際合意を順守する」と約束しながら、ひそかに核開発計画を進め、核拡散防止条約(NPT)から脱退した。必要なのは言葉でなく実行である。
近く日朝国交正常化交渉が再開されるだろうが、北朝鮮が北東アジアの不安定要因でなくなるため、責任ある行動をとれるか見守りたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040523/col_____sha_____002.shtml