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デイリー・ミラーの編集長解雇
By StrangeLove
5月14日、イギリスの新聞『デイリー・ミラー』の編集長ピエール・モルガンが解雇された。イギリス軍によるイラク人に対する拷問の様子を写したとされた写真が偽物だったためだという。
掲載された写真はともかく、イギリス軍が収容所でイラク人を拷問していることは人権擁護団体のアムネスティなども以前から指摘、警告していた。アメリカ軍による拷問が問題になっているアブ・グレイブのケースもイギリス軍がシステム化した技術R-21に基づいている可能性も指摘されている。デイリー・ミラーの件でイギリス政府が免罪符をもらったわけではない。
ところで、デイリー・ミラーが一貫してイラク戦争に反対してきたことを筆者は興味深く見てきた。同紙の体質を考えると、不自然なものを感じたのだ。
同紙の国際問題担当編集者だったニコラス・デイビスが1970年代からモサド(イスラエルの情報機関)に雇われていた事実が10年以上前に暴露されている。情報源はイスラエル国防軍の対外関係局で最高機密の情報を扱っていた人物だった。
デイビスはアンソニー・ピアソンなる人物の下で活動していたが、そのピアソンはイギリス特殊部隊出身の『民間スパイ会社』経営者。イスラエル政府の仕事をしていた。
両者が親しくしていたロバート・マクスウェルは1984年にミラー・グループ・ニューズペーパーズの会長に就任する。デイリー・ミラーの所有者になったのだ。
このマクスウェルがイスラエル情報機関の協力者だと明らかにしたのはアメリカのジャーナリスト、シーモア・ハーシュ。要するに、遅くとも1984年にデイリー・ミラーはイスラエル政府の大きな影響下に入ったと言えるだろう。
ベトナム戦争で『ソンミ事件』を明るみに出して名を売ったハーシュはイラク戦争でも活躍中だ。昨年初頭からホワイトハウスの親イスラエル(リクード)派の暗躍やアブ・グレイブ刑務所で行われてきたアメリカ軍による拷問の実態暴露などをニューヨーカー誌で明らかにしている。
ところで、マクスウェルは1991年にハーシュを名誉毀損で告訴するが、その年の11月にカナリア諸島沖の洋上で変死した。
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