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(回答先: Re:今日本は戦争中なのです 投稿者 長壁満子 日時 2004 年 5 月 17 日 09:58:34)
●敗戦でも懲りない日本人
戦前戦中のリベラルなジャーナリスト清沢洌(きよし)が「暗黒日記(1942-1945)」(岩波文庫)で述べている。
「1945年元日。昨夜から今暁にかけ3回空襲(東京)、焼夷弾が投下された。配給の餅を食べれば新年らしい気分になる。…日本国民は今、初めて戦争を経験している。戦争は文化の母だとか100年戦争だとか言って戦争を賛美してきたのは長いことだった。僕が迫害されたのは反戦主義だからということだった。戦争は遊山に行くようなものなのか。戦争を彼らは今味わっている…」
つまり頭の上から爆弾が降ってきて初めて戦争を実感したといい、続いて記している。
「だが、それでも彼らが本当に戦争に懲りるかどうかは疑問だ。結果は反対だと思う。第一に彼らは戦争は不可避だと考えている。第二に彼らは戦争の英雄的であることに酔う。第三に彼らには国際的知識がない。(この3つの理由から日本人は戦争に懲りないのではないか。)当分は戦争を嫌う気持ちが起きようから、その間に正しい教育をすることが大切だ。婦人の地位を上げることも重要だ…」
戦後日本の戦争意識は「被害者意識」だった。もう二度と戦争はしたくないというアレルギー、これは重要なことだ。戦争反対の基盤は「殺し殺されるのは嫌だ」という気持ち、これが必要だから。そこで「正しい教育」はされただろうか。私たち自身が戦争の実態を本当に知って、伝えているのだろうか。
●独りよがりの日本
清沢は言う。「日本最大の不幸は、国際問題について日本に自分の立場しかないことだ」。この日本のユニラテラリズムは、戦後も小泉政権に至るまで続いている。アジア諸国に対してはユニラテラリズムでずっときている。
清沢によって日本人は「懲りるかどうか疑問だ」と予見された。彼は終戦前に亡くなった。日記には「戦後は戦争の廃絶に向けて努力したい」とも記していた。清沢は最も暗黒の時代に「戦争をなくしたい」と考えていた。これを記憶にとどめたいと思う。
(文責=広島支部・太田武男
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