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(回答先: アブグレイブで米軍に殺害されたパレスチナ人カメラマン 刑務所襲撃事件の闇 投稿者 FakeTerrorWatcher 日時 2004 年 5 月 01 日 19:32:25)
いつもながら、丹念な裏付けと分析、お見事です。
今後ともよろしくお願いします。
わたしは、殺されたダアナ氏の業績をたたえ、あるNGO関係者の追悼文を掲載することにします。
http://www.onweb.to/palestine/siryo/cptformazen.html
イラクで8月17日に米軍により殺害されたパレスチナ人ジャーナリスト、マーゼン・ダアナさんについて、CPT(クリスチャン・ピースメーカー・チーム)のメンバーが書いた追悼の文章です。CPTはヨルダン川西岸地区のヘブロンで活動を開始したときから、ダアナさんと親交を温めてきました。【編纂者より】
ヘブロン回想:マーゼン・ダアナの生と死について
キャシー・カンフォフネール(Kathy Kamphoefner)
CPT(クリスチャン・ピースメーカー・チーム)net
2003年8月19日
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1995年6月、CPT(クリスチャン・ピースメーカー・チーム)がヘブロンに滞在を始めた最初の数週間以来ずっと、マーゼン・ダアナ──ヘブロンのジャーナリストたちの「親分」──は、私たちのチームを暖かく受け入れ、ヘブロンの街での出来事について私たちに情報を知らせ続けてくれました。彼は、CPTが事務所として使うための最初のアパートメントを探すのを助けてくれさえしたのでした。この1995年の夏の間、CPTの誰かが毎日彼の事務所に立ち寄っていました。そこはジャーナリストたちのたまり場であり、私たちは、そうした人たちからヘブロンで何が起きているのかについての情報を山のようにもらったのです。私たちが何か事件が起きている現場に出くわしたときには、すぐに彼らに電話で知らせたし、しかし、より多くの場合には、彼らが私たちに電話をかけてきて、それで私たちは事件の目撃者となることができたのです。
マーゼン・ダアナは、去る日曜日〔8月17日〕に、多分アメリカ軍の戦車から合州国軍の兵士によって銃撃され、殺されました。ダアナ(43歳)は12 年の間、ロイターTVのジャーナリストとして働いてきました。彼は、3ヶ月間のイラクでの取材任務を終えるところで、合州国の占領下にあるイラクでの映像取材の実際について、彼の後任となるナエル・アッ=ショウキーおよび取材チームの別の一人の実地訓練をしているところでした。一人の兵士がマーゼンの胸を撃ち抜いたとき、この二人はアブー・グライブ刑務所の外でカメラを回していました。マーゼンは、軍の野戦病院に即死状態で到着しました。彼は、二人の小さな娘と二人の小さな息子の父親でした。私たちは、彼の死をとても悲しく思います。
ヘブロンでの昨年の夏、マナーラ青果市場に〔イスラエル軍の〕戦車が侵攻してきた時に、接近してくる戦車の正面で、良いカメラ・アングルを得ようとして地面につっぷしている彼の姿を、昨日のことのように思い出します。去年の8月、私はヘブロンのジャーナリストたちの事務所に立ち寄りました。少しばかりご無沙汰していたからです。その時、マーゼンはちょうど、ロンドンにある編集技術のための学校に出発する準備をしていました。街頭での現場から離れたいんだと、彼は言いました。「さもなければ僕は、ここで死ぬだろうな」と言うのです。衝突の現場で取材する彼を何度となく見ていたので、その言葉は誇張だとは思えませんでした。私にできたのは、髪の毛もだいぶ白くなってきたからねと、彼をからかうことだけでした。
ヘブロンのジャーナリストたちは、ニュースを世界に伝えるために大変な苦労を続けてきました。皆さんが目にするヘブロンの写真やビデオ映像のほとんどは、この街の住民でもある、勇気あるレポーターたちの努力の結果です。こうしたレポーターたちは、何度となく、イスラエル人入植者たちから殴打され、イスラエル軍からの銃撃に晒されてきました。1997年8月には、ヘブロンだけで11人ものジャーナリストたちが銃撃を受けました。マーゼンも、その中の一人でした。
この日曜日の夕方、私たちCPTから4人がマーゼンの遺族へのお悔やみに出かけました。そこに集まっていた全員が、どのようにして「アメリカ人たち」が彼を撃ったのかについて語っていました。私たち〔アメリカ合州国からのキリスト教徒の支援・連帯運動〕の深い悲しみ〔grief〕と慙愧の念〔shame〕を伝える得るような言葉は、そこにはありませんでした。
今回の第二湾岸戦争の開始以降に、イラクでは17人ものジャーナリストとアシスタントたちが殺されています。「国境なき記者たち」〔Reporters without Borders〕や「ジャーナリスト防衛委員会」〔Committee to Protect Journalists〕、その他の諸組織が、真相究明を求めています。私たちは、今回のイラクにおける国際報道記者の件についての、合州国議会による徹底的な真相究明を要求します。全ての人が、合州国憲法修正第一項【訳注】による保護を受け得るべきだから、です。
(CPTのニュースを電子メールで受け取るためには、私たちのウェブ・ページhttp://www.cpt.org/subscribe.phpにある用紙に記入してください。)
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【訳注】「連邦議会は……言論あるいは出版の自由を制限し、または人民が平穏に集会し、また苦痛の救済を求めるため政府に請願する権利を侵す法律を制定してはならない」への言及と思われる。
初出:CPT(クリスチャン・ピースメーカー・チーム)net
2003年8月19日付メールニュース
[翻訳:岡田剛士]
以下、編纂者より
※マーゼン・ダアナさん殺害については『誤認事故か、故意の射殺か――ロイター・カメラマンの死』という英紙ガーディアン・オンライン版などに拠った翻訳を以下で読むことができる。(TUP速報164号)
http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/165
※マーゼン・ダアナさんメモリアル・フォトアルバム「MAZEN DANA,The PRESS martyr」
http://www.palestinetoday.org/gallery/Mazen-Dana
※[続報]予想されたことではあるが、マーゼン・ダアナさん殺害について米軍の調査で「兵士は交戦規定に基づいて行動しており問題はなかった」という発表がなされた。形だけの調査に終わっていることは下の新聞記事からも読みとれる。
2003年09月23日
イラク:
カメラマン銃撃の米兵に問題なし 米軍調査
バグダッド郊外で8月中旬、ロイター通信の映像カメラマンが取材中に戦車に乗った米兵に銃撃を受けて死亡した事件で、米軍当局者は22日、軍内部の調査の結果、兵士は交戦規定に基づいて行動しており問題はなかったとの結論に達したと述べた。ロイター通信が報じた。
同当局者は交戦規定の内容を明らかにするのを拒否した。さらに調査を誰が担当したかなど調査内容の詳細も明らかにしなかった。
事件当時、カメラマンと一緒に取材に当たっていた同通信のスタッフは、銃撃前に現場の米兵らは取材チームの存在を知っていたはずだと語っている。(ワシントン共同)
[毎日新聞9月23日] ( 2003-09-23-18:40 )