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笹山登生の雑感&情報の日記http://www.sasayama.or.jp/akiary051/200404.html#20040429
より転載
「日本の人質たちは、母国で、のけ者扱いにされている。」
Japan's hostages are pariahs at home
From Richard Lloyd Parry in Tokyo
http://www.timesonline.co.uk/newspaper/0,,1-1090286,00.html を仮訳
高遠菜穂子さんと、二人の仲間が、二週間前に解放されたとき、これで、彼らの試練は終ったと、誰しも考えていた。
彼らを生きたまま焼き殺すと脅したマスク姿の誘拐犯にとらわれて8日後、 彼らは、無傷のまま、日本の外交官に渡された。
彼らは、食事を与えられ、事情聴取され、そして、東京へ飛んで帰ってきた。
それからが、本当のトラブルの始まりであった。
解放された英雄の帰還とは程遠く、彼等三人が空港を通り抜けたときは、彼らの目は、まるで引き渡される犯罪者のように、意気消沈したものであった。
主要な日本の新聞各紙は、こぞって、彼らの自己責任の欠如ぶりを書きたてた。
日本のある国会議員は、彼らを「反政府、反日分子」と、非難した。
さらに、彼らに対して、日本の政府からは、二百三十七万円の請求書が突きつけられた。
この事件のそもそも最初から、彼らが、並みの日本人とはかけ離れた存在であることは、明らかであった。
高遠さんは、今、彼女が直面している非難に対して、深く悩んでいると伝えられているが、彼女は、イラクのストリートチルドレンを救うために、一人のボランティアとして、バグダードに行ったものだ。
また、郡山総一郎さんは、32歳の元自衛官であるが、日本の雑誌のフリーランサーの写真家であった。
もっとも注目すべき存在は、今井紀明さんである。
彼は、劣化ウラン弾の効果について、研究しようとイラク入りした。
彼は、18歳であり、数週間前に高校を卒業したばかりであった。
政府は、イラクへの旅行者に対して、渡航禁止の警告書を出していた。
三人がファルージャで進行している抗争の現場近くに、何の護衛もなしに行ったことは、確かにおろかなことであった。
しかし、彼等三人の行動についての社会の反応は、やさしい小言程度におさまらずに、まったくの彼らに対する不当な攻撃にまでおよぶ、苛立ちに満ちたものが大半であった。
問題の一部は、人質達や彼らの家族達が、誘拐犯が要求するイラクからの自衛隊撤退要求をのむことを、日本政府に要求したことだ。
国会議員や政府関係者は、東京に集まって、関係筋に働きかける人質家族達について「彼らは、日本共産党と結託している。」などといった。
一人の国会議員は、邦人保護の義務がある政府をサポートすべき立場にあるにもかかわらず、次のようなことを言った。
「私は、彼等人質達や人質家族の中には、イラクでの日本の自衛隊派遣に公然とした反対を述べている人もいると聞いている。
私は、税金の数十億円を、このような反政府・反日分子に使うことに対して、強く反対する。」と、柏村武明参議院議員は、述べた。
ある国会議員は、日本人が危険地域に旅行することを法的に禁止するべきであると提案した。
また、ある国会議員は、人質達は、東京やイラクでの政府の役人達が人質救出に当たっての時間外コストを含む、救出作戦にかかったすべての費用を負担すべきであるとの主張をした。
結局、彼らには、航空運賃のみが請求された。
彼らには、次のような支援の声がよせられた。
「もし、誰もが、リスクを犯さないのなら、われわれは、前進することが出来ない。
これらの日本人市民達は、自ら進んで、より善きことのために、そして、より大きな利益のために、リスクを犯したのだ。
そのことを、日本人達は、誇りに思うべきである。」
しかし、この支援の声は、東京からよせられたものでなく、アメリカのコリン・パウエル国務長官から、寄せられた、支援の言葉であった。
この言葉は、高遠さんや、彼らの仲間にとっては、いくばくかの慰めになったであろう。
以上