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Baghdad Burning
バグダードバーニング by リバーベンド
... I'll meet you 'round the bend my friend, where hearts can heal and souls can mend...
友よ、私の心が失われあなたさえ見分けることができなくなったら、どうか私を偉大な文明をはぐくんだ、チグリス・ユーフラテスの胸元に連れて行って欲しい。そこで私は心を癒し、魂を再生させるでしょう。
2004年4月26日 (月)
チャラビ、旗、国歌...
過労にはふたつある。ひとつは、肉体の過労。たとえばバケツに水を入れては階段を上ったり降りたりして屋上のタンクをいっぱいにする。これを40回繰り返す――4回めか5回めで、筋肉が皮膚の下でぶるぶる震えているのがわかる。バケツをおくと、腕は頼りなく重さがないみたい――なくなってしまったような感じだ。もうひとつは、こころの過労・・・それは、このバケツ運びを頭の中でやる、40杯分の水が、次々と空けられていく過程を思いえがくとき、また心配や怒りや恐怖がどっとあふれて叩きのめされそうなとき。
まわりの人はみんな、このこころの過労状態だと思う。それは目の中に見てとれ、緊張した声に聞きわけることができる。激しい感情の重荷でいまにもぶっちぎれそうだ。みんな、まわりを用心深く見張りながら、なんとか平常半の生活を送ることに神経を集中しようとしている。つなわたり。南部の状況は悪化するばかりで、毎日何人もの新たな死者の報を聞く。ファルージャでは、再び戦闘が開始された。停戦はいったいどうなったんだろう。いま何が起こっているのかだってわからない。深い疲労感がわたしたちを被っている。
チャラビが(うまくいけば)ほされかかっているという、記事を読んでいた。チャラビが役立たずだという結論に達するのに、ワシントンはこんな長い時間が必要だったとは、信じられない話だ。チャラビが新時代のリーダーとして歓迎されるだろうって思ってた人、いる? みんな、この1、2週間、ファルージャ攻撃の間、チャラビが何をするか何を言うかと注意深く見ていた。重大局面だった・・・みんな、操り人形評議会のなんらかの動きを期待していた――ともかくなんらかの動きを。非難の言葉・・・殺されていっているまたホームレスに捨ておかれているイラクの人々との連帯の表明を。だが、あるのは奇妙な沈黙だった。評議会のメンバーひとりが、辞任を振りかざして脅した。しかしそれも憤激したイラクの人々が、この事態をなんとかしないと評議会メンバーを叩きのめしてやるという姿勢を見せてのちのことだった・・
チャラビはごく最近になって自分の安全な場所からあえて出てきて(いつものけばいネクタイで)、選挙の可能性を探るためにコフィ(国連事務総長)から送り込まれた国連特使ブラヒミは、全面的に反シーア派で偏向していると叫んでいる。それで、チャラビはいまや自分がイラク中のシーア派の擁護者であると思っているらしい。この構図の愉快な点は、誰もチャラビに、シーア派の間ではおまえはジョークになってるよと教えてやってないらしいことだ。イラク人(スンニ派とシーア派)はこんなふうにからかいあっている。「じゃ、‘シーア派、時の人’、チャラビってわけだ、なるほど」。すると、言われたほうは憤然として、そんなんじゃない、チャラビはたとえばイラクの・・・ブリットニー・スピアーズだ。
テレビで演説しているチャラビをじっと見る。そして、彼がイラク社会のなんらかの党派を代表していると考える人がどこかにいるなんてことがあるんだと思ってつくづくいやになる。チャラビがイラクの知識人と非宗教主義者の旗手だと思われているなんて信じられない。彼はブッシュ株式会社が、民主主義推進のためといって、兵士や戦車と一緒にイラクに送り込んだおもしろくもないジョークだ――17、8の男の子が卒業記念ダンスパーティのためにダンスを練習するときの、プラスチック人形のお相手みたい。
今日はまたこんなニュースもある。操り人形たちが国旗を変えるんだって。前のとはちっとも似ていなくて、初めはすごく不愉快だった。しかし、関係ないんだと気がついた。操り人形評議会には法的根拠はなく、よってそこで制定した憲法は無効で、そこで決定した旗はそこだけのものだ。その旗は、評議会がイラクを代表している程度に、イラクを代表している、その程度のものだ――内側の縫い目にそって“メイド・イン・アメリカ”と縫いとりがしてあるんだろう。あれは操り人形評議会の旗で、見るたび、その青白い地色にチャラビたちの顔を見るわけだ。
アメリカにいるメール友だちで同業イラク人のシステム・アナリストは、こんなことを言ってきた。彼女のメール中の傑作。「イラク人のみんなさんは、まったく法的根拠のないイラク操り人形評議会の手によって、輝かしい色合いの国家的布きれが制定されたことの著しい重要性にきっとひじょうに興奮していることと思います。もちろん新国旗のデザインは、いつも趣味のよい着こなしの自称対テロ専門家イラク総督、ポール・ブレマーが承認したもので、彼は、手縫いの戦闘用ブーツ、何千ドルの特注スーツ、シルクのデザイナー・タイを着用していることで有名です。次回の大ニュースは、国旗と国旗が代表する帝国に対して斉唱される’忠誠の誓い’となります。忠誠の誓いのアメリカ人作者の名前はまだ発表されていません。」
近々制定される国歌の歌い手として、イラク版“レディ・ママレード”の豪華メンバー、チャラビ、アラウィ、ハキム、タラバニを提案させてください。
リバーによって掲示 午後11時37分
(翻訳 池田真里)
http://www.geocities.jp/riverbendblog/