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笹山登生の雑感&情報の日記http://www.sasayama.or.jp/akiary051/200404.html#20040424
より転載
「日本人人質は、イラクから、敵意に満ちた、そして、決して英雄視されない日本に帰ってきた。」
(Japanese Hostages Return From Iraq to Hostility, Not Hero Status)
副題−これら5人の日本の人質たちは、多くの日本の大衆から、危険な状況にあったことを非難されている。-
記 Bruce Wallace(Times のスタッフライター)
些細な違反に対しても、儀礼的な謝罪を要求される、この日本という国において、渡辺修孝氏は、何の謝罪もなかった。
日本の世論の多くは、日本人人質であった渡辺氏とイラクで解放された他の4人の人質について、彼ら自身にもたらされたトラブルについて非難するとともに、はやくも日本国の精神的な外傷にまで矛先を向けられかねない誘拐事件に対して、人質の彼らから「申し訳ない」の一言を聞きたがっていた。
「日本人に謝罪する何の正当な理由もない。」と、36歳の人権擁護活動家の渡辺氏は、水曜日に言った。
「もし、私が、誰かに謝罪をするとするならば、それは、イラクの人々に謝罪したい。なぜなら、イラクの人々の国に軍人を派遣したのは、日本の政府だからだ。」と、渡辺氏は、いう。
この日本という国においては、イラクの占領に関して、いかなる役割を日本が果たすのかについては、鋭く、二つの意見が分かれている。
この論争は、日本語で言う「自己責任」いわゆる個人の責任論に集中している。
小泉首相は、この自己責任という言葉を、解放された人質たち−これらはいずれも一般市民であるが-に対し振り上げる握りこぶしのように使い、政府の交戦地域での旅行制限警告を無視して、人質自らの生命の危険以上のものを国にもたらしたことを非難した。
しかし、一部評論家は、小泉首相が、これら日本の人質たちを罰するのは、単に、小泉首相が、イラクへの自衛隊派遣を決定したことから、世間の目をそらすためのものでしかないと、批判する。
「これら人質に対する日本の人々の態度は、非常に奇妙なものである。」と、渡辺氏のイラク行きをサポートした人権擁護NPOである「米兵・自衛官人権ホットライン」事務局次長の片岡顕二氏は、言う。
「政府の責任とはなんだろう?政府は、ただ、政府の軽率な行動を隠蔽しようとしているだけだ。」と、片岡氏は言う。
しかし、今回の人質事件に関しての小泉首相の扱いに関して、世論調査では、その三分の二が、小泉首相を支持し、政府は、これまでの方針を変更する兆候は、さらさらない。
水曜日に、政府当局は、解放された5人の人質に対して、「その日本までの帰還費用を請求することを考えている」と発表した。
政府のいうに、中東への交渉者の飛行機代として、およそ一千八百万ドルかかり、身代金は支払われていないという。
また、政府は、人質たちが、同義的責任を果たす証として、すくなくとも、航空運賃の一部を人質たちが負担するだけでもさせたいといった。
この日本人のおかれた立場は、西洋諸国の人質の、メディアのヒーローとして取り込まれそうな、国から歓迎された立場とは、かなりの隔たりがある。
たとえば、カナダの解放された人質である Fadi Fadel氏は、火曜日夜にイラクからモントリオールに帰還したが、空港では、彼を元気付けるために集まった友達や親戚の出迎えを受けた。
地方の菓子屋さんが、カナダ国旗で飾られたケーキを、彼にプレゼントした。
日本の人質にとって、Jessica Lynch さん(イラク戦争で捕虜となり、無事救出された、『私は英雄じゃない』の作者元米兵ジェシカ・リンチさん(20))のような瞬間は、なかった。
日本政府は、彼ら人質やその家族たちを、どちらかといえば、「トラブル・メーカー」として扱った。
これらの敵意のいくつかは、人質家族が、当初、人質拘束者が要求する「イラク撤退」を受け入れるよう、政府に要求したことに対する反応から、派生したものとみえる。
しかし、政府当局者たちは、交渉が難航し、人質の生命さえ危ぶまれる、気が気でない数日間の間でも、人質たちをしかっていた。
「彼らは、自分の責任で、イラク行きをした。しかし、いかに多くの人々が、彼らの行動のために迷惑をかけたか、考えるべきだ。」と、福田官房長官は、言った。
これらの意見は、保守的なメディアを表現手段として、膨れ上がっていった。
それらメディアの中には、二大週刊誌も含まれていた。
これら週刊誌では、人質たちの私生活についての、あからさまな話題に重点を置いて、書かれていた。
週刊新潮の見出しには、誘拐された34歳の高遠菜穂子さんが、12歳でタバコを吸い、15歳でドラッグをしていたと言うことを含む話を取り上げ、その「グレート・ライフ」について、風刺的に言及していた。
他のメディアは、ひとじちたちが、反戦派であることをほのめかし、18歳の今井紀明山さんが、「マルキストの家庭に育てられた。」と、報道した。
「加害者でなく、被害者が、告発されることは、日本では異常なことではありません。」と、京都の同志社大学の浅野健一教授(新聞学専攻)は、いう。
浅野教授は、日本では、婦女暴行の女性被害者に対して、しばしば、メディアの粗雑な扱いがなされている事実を示しながら、「しかし、今回の日本人人質問題については、信じられないほど厳しいメディアの扱いのように見えます。日本のメディアは、ただ、発行部数拡大のためのみで、被害者やその家族についての、何か、特別な、そして、気に障ることのみを取り上げています。」
浅野教授が、つけ加えていうに「彼ら人質たちは、日本で再び人質になって帰ってくるために、イラクで解放されたのです。」という。
人質たちの家族たちは、彼らに対する世論の態度の硬化を感じたようにみえる。
彼らは、当初の「無作法な態度」について、謝罪した。
そして、4月15日に、最初の三人の人質が解放されたときの記者会見で、日本国と政府に迷惑をかけたとして、平謝りした。
同じ日、イラクのファルージァで人質となった30歳のフリーランサー・ジャーナリストである安田純平氏の父、安田英明氏は、レポーターに対して、「私は、息子をひっぱたきたい。そして、、大ばか者といいたい。」といった。
渡辺氏は、安全に帰れたのだから、両親はほっとしただろうという。
そして、渡辺氏は、「私は、もう36歳なんだから、私の両親は、私をそんなに強く起こることはできない。」といった。
以上