私たちはいま多くの市民がインターネットなどでつながったグローバルな市民社会に生きています。ここでは日本の一個人が発信したメッセージは瞬時に世界へと発信され、何らかの影響を与えます。ましてや日本でデモなどの何らかの集団行動を行えば、それはネットを含めたあらゆるマスメディアを通して世界へと配信され、その行動の意味はグローバルな価値観と解釈の枠組みで理解されます。こうした状況では、私たちが日本国内で行っている自業自得論も国内だけの論争に止まるものではなく、当然、厳しい国際的な評価と審判の対象になります。

一方、グローバルな市民社会では、先の米国務長官・コリン・パウエルがインタビューで「誰もリスクを引き受けようとしなかったら、私たちには前進はなくなります。私は、あの日本市民たちが、より大いなる善のため、よりよき目的のために、すすんで自分の身を危険のなかに置いたことを、嬉しく思っています。日本の人たちは、こういう人たちがすすんでああいう行動をとったことを誇りに思うべきです。」と発言したように、その個人の行動に高い価値があるかどうかは、その行動の目的で評価されます。

この点では、人質となった3人はイラクという身の安全の保証がかならずしも保証されない国で人道援助を行うというリスクの高い仕事を引き受けた個人です。こうした個人は、多くの日本人が引き受けられないリスクを自ら引き受け、その社会的な価値の高い仕事を実現しようと努力しているのです。他の社会であれば、こうした個人が危険にさらされた場合、彼らが引き受けたリスクの何分の一かでも社会が肩代わりすることでしょう。ましてや自業自得だと称して費用負担を求めることなどありえません。米軍攻撃下のファルージャで人道支援中に人質となり、無事に解放されたのち、いまもイラクにとどまって支援活動を続ける英国女性ジョー・ワイルディングさんという勇気ある女性がおりますが、彼女を英国社会が非難することなどないでしょう。

日本国内の「自業自得論」は、「日本国民はイラクの人々を援助するという行動には一切価値を認めない。これを実践する個人にはそれ相当の報いを与えてやる。」というメッセージを全世界に送ったことになるのです。今後、これは大変な反動となって日本や日本国民の身の上に降りかかることは間違いないでしょう。そこにあるのは国際的な世論からの凄まじい孤立化です。

さらにこれは自らテロの目標となることを宣言したようなものなのです。「日本国民はイラクの人々を援助するという行動には一切価値を認めない。これを実践する個人にはそれ相当の報いを与えてやる。」とはイスラム原理主義者のテロリストを激怒させるには十分な論理のはずです。

自業自得論に賛同する人たちは、この論理がもたらすリスクを負うことが出来るのでしょうか？「テロには屈しない」と日本政府は言います。では自業自得論に賛同する人たちは自分たちがテロの標的になるリスクを積極的に負うことが出来るのでしょうか？こうした結果は、まさに日本国民とその政府が全世界に送ってしまったメッセージの反動なのです。リスクを負う以外の選択はもはやないのです。それこそ自業自得なのです。

もはや自衛隊に最初の犠牲者が出ることは避けられないでしょう。日本政府とその国民の自己責任です。

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• 村八分 ももたろ 2004/4/23 04:53:46 (0)

　

　

　

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