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日本アラブ通信 編集長
日本ペンクラブ国際委員
元東海大学国際学科講師(中東)
2004年4月20日
真の中東外交を築くために 6
「自己責任]を問われる筆頭はーー小泉首相
人質となって解放され,昨日帰国した5人の方々に本当にご苦労さまとねぎらいの
言葉を贈りたい.
あまり文章が長くなるとお疲れでしょうから,箇条書きにします.
1)まず,5人の方々に心からのお例を申し上げてたい。皆さんの働きは,日本とア
ラブの人々の心と心を結ぶ意味で,歴史に残るそうお仕事をされた。アルジャジーラ
を通じてアラブや異スラムの人ビとに伝えられたばかりか、イラクの聖職者協会の人
びとびとがどんなに,正義を愛し,また日本への暖かい親愛の情をい大ていることが
日本のマスコミの中で吐露されたことの意義も大きい.
今度の事件で,初めてイラクの人の生(なま)の声を聞くことが出来たと2,3の
知りあいのかなり高齢な方から,丁重なお礼の電話を頂いたた。イラク人の心に触れ
たと深く感激されておられ,手段があったら感謝の気持を伝えたとのとのことであっ
た.筆者は、あれは平均的なイラク人の知識人や、良識を持っている大多数のイラク
人の心情で,筆者が過去アラブに半世紀も携わってきたのもその友情にささやかでも
こたえたいためだったとお話しした。
2) このように、今回人質にされた方々は,コリン・パウエル米国務長官の言葉の
ように「危険を知りながら良い目的のためにイラクに入る市民がいることを日本人は
誇りに思うべき]だと思う.そして今度マスメディアに現われていないが,実に頼も
しい若い日本人が育ってきたことに何か新しい日本が生まれようとする胎動を聞く思
いして嬉しい.
3)現在の日本の政府が真っ当政府ならば(つまり憲法の精神が判っている政権なら
ば)、こうしたボランティアの人々を国家で表彰し,感謝しても可笑しくないし,日
本政府が礼にかなった対応をしていれば、世界の多くの国ぐに,特にアラブ、イスラ
ム諸国はこれだけ素晴らしい素質を持っている日本人を代表する日本政府だけのこと
はあるわいと見直す好機となったはずであった。しかし、現実は,日本のいいとこを
保持しているのは日本人で,恥ずかしくてこれが日本の首相での,外相だと胸を張っ
て威張る人は今はない.もっとも永田町の界隈や霞ヶ関の一部には,[蓼食う虫も好
き好き]「藪(ブッシュ)こそ楽しい我が家]と思っている御人もいるのだから世話
はない。しかし,首相だの,大臣だなどと大見得を切る以上,日本の名誉にかけて,
もう少し,その官職に溥さわしい言動をしてしてほしい。とにかく、今回の日本政府
の対応ぶりは,早晩日本の外交史上の汚点となることだろう.
4)さて「自己責任]の問題。これがもっと肝心なことだが,「丸投げ名人」のタイ
トルホルダーの稀代の首相,小泉氏はまだあの「正義なきイラク戦争」に対して早々
とブッシュ大統領に「全面協力」を誓約したが、一体全体その根拠の「説明責任]を
なんら果していない。この誓約のために、国論が沸騰し、国会が荒れ,ろくな審議も
せずに自衛隊を派遣した.その費用も桁外れの国民の血税である.福祉、教育予算も
随分犠牲にされたと聞く。
ははあん、高遠さんたちに「自己責任論」を声高に持ち出して,この問題に火の粉
が飛んでくるのを先生攻撃をかけて目くらましと言う手段だなと勘ぐりたくなる.
こんな弱い者(しかも国の誇りとも言うべきことをやっている人ビと)に不当な費
用を払わせようと言うのなら,まず説明責任を果せ,その上で国民と政府で対等に
(といっても本来国民の方が主人公だことも忘れて困る)話し合おうではないか。
文部文化大臣殿,一体,今の国会議員の中で,憲法が分るだけの教養人が何%いる
貸し急調べて公表してほしい.これは貴方の義務ですよ。失礼ですが、憲法精神分り
ますか。
汚職の伏摩殿,外務省、禿鷹の跋扈し,魑魅魍魎の巣くう永田町(全部などはいい
ませんよ)の誰の入れ知恵か知らないが、「自己責任論」を大上段に振りかざし姿は
まるでブラックジョークである.世界に分ればお笑い草である。
この一週間ぐらい,皆さん熱心だから。一日300通,ときには400通もメール
が入るので,仕事を抱えて,図書館にいって調べる時間がないのが残念なのだが,何
時かメールで誰が書いていた小泉首相が慶大生当時、レ−プ事件を起こし葉山署あた
りに記録が残っていると言うじゃないか.ロンドン留学もそのほとぼりを冷ますため
とも書いてあった.それをネオコンに握れているため貴方はブッシュの言うままにさ
れていると言う.これも日本人として義憤にたえない.小泉さんに「そんなことはデ
マだ。謝れといってほしい」。そうそう忘れていたが「靖国参拝]も違憲判決をせさ
れたっけ。やれやれ、これの「自己責任]も果してほしい。
いやはや世話の焼ける宰相だこと。決して政治家たるもの「修身斎家治国平天下]
たれなのなどむつかしいことは言わないけれど.攻めて人なみの温かい人情をもって
ほしい。
われわれ日本人は,「今日も暮いくサマワの駐屯地」に不安な毎日に送る自衛隊の
退院や家族のことがきがかりだ,何時の日か訪れるアメリカとイラク国民の一大争乱
の中にが巻き込まれるようなことのないよう,早急な自衛隊の撤退を真剣に考えるべ
きである.
こんなことをあれこれ考えていたら、18日のテレビ朝日の番組で、自民党の久間章
生幹事長代理は、イラクの治安情勢悪化に関し、「自衛隊は(イラク人勢力に)銃を
向けることはない。相手が銃を撃ってくれば撤退する以外にない」と述べたという。
サマワで活動中の自衛隊員が直接銃撃されるような事態になれば、即座に撤退すべき
だとの考えを示したものだが,この見解は立派だと思う.自衛隊の撤退については、
加藤紘一、亀井静香、古賀誠氏らの指導者や河野洋平衆議院議長も憂慮の発言をして
いる.
民主党中にも生方幸夫議員を始め,小沢,横路の指導者も含めて73名の衆参両議
員が「自衛隊の撤退]を求めたと言う。共産,社民の両党ももちろん撤退を求めて行
くだろうし,「国乱れて忠臣あらわれ」の例えの如く,与党内でももっともっとこの
声は広がっていくのではないか.またそれが国民の声と一体化するするのを切に望み
たいし,そのための努力すべきと思う.
言いたいことは山ほどあるが,次回に譲ることにして,最後に如何に一国の大統領が、
自分の医者の忠告まで退けて,他国の内戦終結に命がけで働いたかのエピソードをご
紹介したい.筆者一人が胸にしまっているだけではあまりに勿体ない。
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「こうしている時にもアンマンでは人が死んでいるのです.私が死と競争している
のが判らないのですか.]ナセル大統領はこう言って医者のすすめを退け,ヨルダン
停戦の実現に文字どおり命をかけたというヘイカル氏の追憶の一節を私は深い感動を
もって読みました。
最高責任者としてのたくましくも,また悲しきこの高貴なるナセル精神はすべての
政治家の導きであります.
ナセル精神は死なず,世界に真の平和が到来するまでそれは生き続けなければなり
ません。
ここに慎んで哀悼の意を捧げます.
1970年10月 元外務大臣 三木武夫
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(アラブ連盟東京事務所月刊誌『アラブ・レビュー』(ナセル大統領追悼号ー19
70年10月15日号)
この哀悼の辞は,1970年9月29日にヨルダン内戦の終息のために昼夜を分た
ず奔走し,その停戦協定が成立したのを見届けて,52才の若さで急逝したナセル大
統領(当時はアラブ連合共和国)の追悼号によせられたものであった。
「こうしている時にもアンマンでは人が死んでいるのです.私が死と競争している
のが判らないのですか.」というナセル大統領の言葉にも、人命をの喪失を命がけで
食い止めようとした崇高なヒューマニズムに魂を揺さぶられる思いをする。
同時にまた「最高責任者としてのたくましくも,また悲しきこの高貴なるナセル精
神はすべての政治家の導きであります]という故三木武夫首相の真摯な弔辞も胸を打
つ。
筆者は現在,「こうしている時にも,ファルージャでも,イラクの全土でも,パレ
スチナでも、無慈悲な爆撃,銃弾によって、その最高指導者の暗殺ばかりか罪のない
多くの人びとの命が奪われていること」を考えると、日本が向米一辺倒の政策を続け
るとき、アメリカの共犯者として,多くの無辜の人びとを死いたらしめている罪の深
さに戦慄する.
対中東戦略の構築をめざして(4) にかいたように「本当の戦場は日本]だとつ
ぐつぐ思う.
阿部拝
転送大歓迎 ご意見の程おまちしております.誤記ありましたらご容赦下さい
http://www1.jca.apc.org/aml/200404/39143.html