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民間契約企業で働く何千人ものスタッフが、グリーンゾーン一帯に監禁同然にされた:ワシントン・ポスト(山本史郎 訳)
http://www.asyura2.com/0403/war53/msg/332.html
投稿者 木田貴常 日時 2004 年 4 月 20 日 11:53:22:RlhpPT16qKgB2
 

●Revolts in Iraq Deepen Crisis In Occupation
イラクの反乱で占領体制の危機深刻
ワシントン・ポスト 4月18日 
      By Rajiv Chandrasekaran and Karl Vick (ポスト記者)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A20690-2004Apr17.html

 バグダッド発/この2週間、イラクの激しい反乱はアメリカが任命し
た文民行政府を孤立させ、アメリカが計画する再建活動をストップさ
せた。アメリカ及びイラクの当局者によれば、待ち伏せ攻撃と誘拐に
CPAの契約企業が立ちすくんだからだ。こうした反乱はイラクでの作
戦地域をひじょうに拡大させるようアメリカ軍に圧力をかける一方、
米軍の替わりに配置される予定だったイラク人治安部隊を部分的に
崩壊させる引き金にもなった。

 そのような危機はスンニとシーア双方におよぶ反乱への支持を喚
起しており、アラブとクルドの間の緊張をも高めてきた。

 米当局者は、民衆蜂起は基本的にファルージャとナジャフにおける
軍事衝突として抑制できるだろうとみていた最初の評価を、見直して
いるところだと述べた。ファルージャは日常的に不安定な都市として
米海兵隊が包囲しており、ナジャフはシーア派聖職者サドル師の民
兵組織がモスクの陰に避難している。

 イラク政策にかかわるアメリカ高官は、「ファルージャ問題とサドル
問題はわれわれが予期していたよりももっと広い衝撃を走らせた」
と指摘した。

 バグダッドとワシントンでは、関係当局者がこの二つの問題への処
置は普通のイラク国民には大きな憤りを生じさせないだろうと判断し
ていた。「サドル支持者とファルージャ住民は別個のものと見られ、イ
ラク人のあいだに幅広い支持はないと考えていたのだ」とこの高官
は述べた。彼が言うには、だがそうではなくて、「影響は深刻なもの
があった」という。

 アメリカ高官と契約を請け負った民間企業によると、事件はアメリ
カが立案したイラク復興をほぼ停止に近い状態にしたという。

 民間契約企業で働く何千人ものスタッフが、アメリカ占領当局も本
部を置く要塞化されたグリーンゾーン一帯に監禁同然にされたの
だ。発電所や水道施設、その他イラクの崩壊した社会基盤を修理す
るための定期点検でさえ、武装した護衛に守られるとしても、ゾーン
から出るのは余りに危険すぎると思われている。

 問題を複雑にしているのは、反乱した人々が占領当局や契約企業
で働くイラク人に対して報復しようとしているのではないかという恐れ
が強まっていることだ。たとえ他の場所に有利な仕事がないとして
も、何十人ものイラク人がグリーンゾーンのメンテナンス要員とか補
助要員、あるいは通訳として仕事に姿を現すことを止めてしまった。

 バグダッドにいる別のアメリカ高官は、治安状態が「復興事業に劇
的なくらいの影響を及ぼした」と指摘した。「イラク人スタッフが働く予
定の日にわずかな少人数しか出てこないもとで、ゾーンに閉じこめら
れたままの者にどうして国の再建ができるだろうか?

 従業員の仕事を縮小した企業のなかには、イラクの民間契約企業
の最大手2社もある。すなわちベクテル社とケロッグ・ブラウン&
ルート社(ハリバートンの子会社)である。

 イラク各地に市評議会を設置するのを手助けしてきたリサーチ・ト
ライアングル研究所は、イラク人以外の従業員の約40%にあたる
80人のスタッフを、危険予防措置としてクウェートに移送した。

 安全上の懸念は60億ドルの事業を妨害したことになった。それは
アメリカのテコ入れを受けて、大勢の失業した若者を仕事に就けるこ
とで治安の改善に役立つつもりだった一連の建設事業である。ある
アメリカ高官は、「われわれは(反乱指導者から)彼らが得ている金
銭的誘いに負けない厚遇をイラクの人々に提供するつもりだった」と
説明した。「しかし八方ふさがりだ。治安改善まではそれを手助けし
ようと思ったのに、肝心の仕事を始めることができない」。

 反乱勢力もイラクの主要な宗派と民族グループのなかで新しい同
盟(と緊張)を生じさせているようにみえる。レジスタンスの最も目立
つ指導者はサドルであり、長い間、彼のアピールは失業している若
者に限られていたと思われた。そのようなシーア派の若者が彼の民
兵組織マフディ軍を作った。しかし、驚くべき事態の進展のなかで、
彼のポスターが以前には彼にほとんど興味を示さなかったスンニ派
のモスクに登場しはじめたのだ。

 このような連携現象は、比較少数派であるスンニ派教徒と、多数派
であるシーア派コミュニティーが衝突する可能性を低下させてしまっ
た。しかし、それと別の内戦への懸念が生じたのは、イラクのクルド
族が米海兵隊の側に立って反乱勢力と戦っているという報道によっ
てだった。ファルージャから出てきたゲリラは、クルドの民兵組織が
配備されたとひどく不満を言った。

 クルド人はイラク民間防衛軍第36大隊のメンバーである、それは
サダム・フセインと戦ったアメリカの作戦に協力した亡命者の民兵組
織から作られた。圧倒的にアラブ人であるもう一つのイラク軍の大隊
司令官は、米海兵隊の側にたって戦うことを拒否した。

 「ブタよりも、盗賊や放浪よりも悪いことだ」という詩の数行が、キル
クークでチラシになって出回っている。イラク北部のこの街では、クル
ドはアラブ人家族を土地から追い立てていると告発されている。この
チラシはイラクの二つのクルド政党指導者を非難したものである。誰
がこのチラシを作ったかは判らないが、それはバグダッドでもまた見
かけられた。

 クルド族の指導者は、バグダッドの主要なスンニ派モスクの金曜礼
拝に続く詠唱でも非難された。

 アブ・タイフ・マシュハダニと名乗るレジスタンス戦士は、「ファルー
ジャでの戦闘が終わったら、私は持ち物を売り払うつもりなんだ」と
言った。彼は2週間前、ファルージャで米狙撃兵から撃たれて死んだ
8歳の娘を思いだして泣いた。「クルド人と戦うために兄弟を北に送
り、私はアメリカに行って市民を標的にしようじゃないか。目には目
を、歯には歯をだ。そして、それを最初に始めた者が非難されるべ
きだ」。

 サドルとの、そしてファルージャでのアメリカの衝突は、アメリカが
任命したイラク統治評議会をイラク人自身からいっそう孤立させたと
いう点でも、政治状況を混濁させてしまった。

 米軍がサドルの民兵と衝突し、海兵隊がファルージャを包囲した直
後の2、3日は、評議会メンバーは公式にはほとんど発言しなかっ
た。彼らのほとんどは反乱と民兵組織に注目しているにもかかわら
ず、聖職者を非難したり強硬な反乱対策を支持したりして思いがけ
ない危険を冒したくなかったのだ。

 ところがバグダッドの路上でも、多くのイラク人が、沈黙はアメリカ
の方針への暗黙の了解と同じだと言い始めた。彼らの説教におい
て、聖職者たちはブッシュ政府がイラクの新しいリーダーと期待する
統治評議会メンバーを叱責した。

 バグダッドのサドル・シティーにあるモスクでは、国防省顧問に最近
指名されたシーア派の医者で統治評議会メンバーであるモワファク・
ルバイエが、裏切り者、「汚水溝担当大臣」と嘲笑された。

 危機は、より急進的なシーア、スンニ両派の政治指導者の地位を
押し上げるのを助けた。

 1980年代から90年代に南部の湿地帯でフセイン軍へのゲリラ攻
撃を指揮したことのあるシーア派の部族長アブドル・カリム・ムハンマ
ダウィは、アメリカの政策に同意しなかったことを理由に統治評議会
入りを保留にされたあと、多くのシーア派教徒から信望を得ることに
なった。アメリカ高官はムハンマダウィを昨夏評議会に選出したが、
ここ数ヶ月は彼がイラク南部の武装民兵を支持したことで愉快では
おれなくなった。

 イラク・イスラム政党指導者のモフセン・アブドル・ハミドは、ファ
ルージャの和平交渉を仲介しようと努力したことで、評議会内の最も
影響力アルスンニ派メンバーとして登場することになった。しかしハミ
ドは、アラブの数カ国で禁じられているムスリム同胞団(スンニ派の
原理主義運動)に関係しているとして、ここ数ヶ月はアメリカから評価
を落とされていた。

 イラク人の占領当局アドバイザーは、「評判を得るようアメリカが期
待した政治家は、アメリカが評判を得させまいとした人物に負けてし
まった」と表現してみせた。「それはまさしく彼らが望まなかった結果
に終わった」。明らかに、戦闘がイラク人社会と米国人行政官に任命
された行政当局との隔たりを広げてしまった。

 バグダッドでは、複数の救急車と病院がファルージャからの負傷者
を受け入れたが、アメリカ兵が大きな医療センターから負傷者を逮
捕していっているというウワサのなかで、人々はファルージャからの
患者をより小さな個人病院や民家に隠した。

 バグダッドのヤルムーク地区にある公共病院で受付をするリアド・
モハンメド・サレフさんは、「私たちは彼らを保護しなければならない
−−そうしなくては」と話した。「私たちは彼らが普通の市民だと判断
している」と。

 レジスタンスを支持する人々の広がりは明確ではない。しかし、ファ
ルージャとナジャフの包囲前におこなわれた全国的な調査では、ま
すます多くのイラク人が米軍を解放者ではなく占領者と見なしてい
る。アメリカ軍の信望はファルージャとラマディの街では特に低い。

 独立系の調査機関であるイラク戦略研究・リサーチ・センターのサ
ドゥーン・デュラム所長は、「アメリカ軍がこうした地域への攻撃を強
めると、いつでも、そこの住民はますます強硬になり、さらには戦闘
に駆りたてられる」と話した。「もし米軍がナジャフに侵攻すれば、そ
れこそ深刻な問題が生じるだろう。なぜなら彼らはファルージャ住民
からの影響を受けるだろうから」。

 さらに広範な反乱があると米兵はいっそう試されることになる。そ
れは先週、バグダッド南部から名目上はポーランド軍指揮下の国際
部隊が管轄する地域に広がったことによって、作戦地域をひじょうに
拡大せざるを得なくさせた。

 祖国に帰還する準備をしていた幾つかの部隊が、クウェートから
呼び戻された。司令官たちは、反乱者によるハイウェイ通行中の武
装車列への攻撃が精度を上げ、連携をとりながら展開されているこ
とに驚いている。

 金曜日には、合同軍の飛行機が対空砲火による攻撃を受けたと
報告した。それは尋常のことではなかった。同じように酔いを醒まさ
れたことは、ゲリラ攻撃に子どもたちが役割を演じているという報告
だった、と司令官は話した。バグダッドで、13日、6〜7歳の女の子
がハイウェイをまたぐ陸橋から爆破物を投下したという。

 一人の司令官はファルージャ市外で同様の攻撃を受けて死んだ。
その時、彼の車列は牛を引く女の子がハイウェイを横切っていたの
で速度を落としたところ、待ち伏せ攻撃を受けたのだ。

 (バグダッドからトーマス・リックス記者がこの記事に協力)

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