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4月20日付・読売社説(1)
[スペイン撤退]「イラク復興の国際連帯を崩すな」
スペインのサパテロ首相が、イラクに派遣しているスペイン軍の早期撤退を指示した。予想されていたことではあるが、イラク再建にとって足かせとなりはしないか、と懸念される。
イラクの治安回復や復興支援を目指す国々は、“隊列”を乱すことによってもたらされる悪影響から、目をそらしてはなるまい。スペイン政府の決定に動揺しないことが、何より重要だ。
イラクでは、米軍など連合軍と、イスラム武装勢力や外国人テロリストとの間で、武力衝突が続いている。外国人を対象とした誘拐人質事件も、多くが未解決のままだ。イラクにとって今ほど、国際社会の強力な後押しが必要とされているときはない。
スペインは、米英軍によるイラク戦争を当初から支持し、戦後も、イラク南部に約千四百人の部隊を派遣している。米英などに次いで、連合軍の中核の一角を占める。
しかしサパテロ新政権は、先月の総選挙で、六月三十日までに国連がイラクの政治・軍事的な主導権を握らない限り、軍を撤退させると公約していた。
首相は、この期限までに、スペイン軍の駐留続行を可能とするような国連安保理決議が採択されそうにないことを、早期撤退の判断理由として挙げた。
だが、約二百人の犠牲者を出した選挙直前の列車爆破テロが、選挙結果に大きな影響を与えた。今回の決定が、結果的に、テロに屈したため、と受け取られはしまいか。
連合軍に対して武力抵抗を続けているイスラム教シーア派のサドル師は、スペイン軍に対する攻撃をやめるよう指示した。明らかに、サパテロ首相の決定が誤ったメッセージとなり、分断工作に利用されている。
米英首脳は、六月末に予定されるイラク人への主権移譲に際し、受け皿となる暫定政権の人選などで、国連が主導権を発揮することを認める方針に転じた。
イラク情勢は、重大な局面に差し掛かっている。イラクの再建が進まず、結局、破綻(はたん)国家への道を歩めば、国際テロ組織の思うつぼである。そうした事態を望んでいる国などないはずだ。
スペイン政府の決定とは別に、タイなど一部の国々も、軍の撤退を検討しているという。自衛隊の撤退に言及する声が出てくることも予想される。
これらの動きに惑わされてはならない。自衛隊が、サマワでの人道復興支援活動を続けることが、イラク復興につながる道である。国際連帯の毅然(きぜん)とした意思を示したい。
(2004/4/20/02:25 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040419ig90.htm