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(回答先: イラク人質件『週刊ポスト』2004.05.7/14に記事があるらしい。 投稿者 木村愛二 日時 2004 年 4 月 26 日 10:12:41)
さっき更新されたらしい。
Welcome to Weekly post homepage
2004年
5月7・14日号
http://www.weeklypost.com/jp/040514jp/index/index1.html
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<エディトリアル>
イラク人質事件7つの疑問
Q1 武装組織「サラヤ・ムジャヒディン」の正体は?
A 人質解放を実現させたイラク・イスラム聖職者協会は、イスラム教スンニ派の組織。「サラヤ・ムジャヒディン」がスンニ派であることは間違いないが、「そもそも、武装組織などではない」と語るのは、イラク情勢に詳しいジャーナリスト・惠谷治氏だ。
「ファルージャ周辺にいるのは、“武装した住民”に過ぎない。『武装組織』というとアルカイダなどによって訓練されたテロ組織のように聞こえるが、ムジャヒディン=聖戦士も、サラヤ=団も、一般名詞に近く、犯行声明を出すにあたって便宜的に自分たちをそう呼んだのでしょう」
米国を敵視してはいるものの、組織だった活動をしているわけではないのだという。
「彼らは自分たちの村を米軍から守ろうとして武装している。そのため常にスパイの潜入を警戒しており、近くを通った外国人を拘束して調べる。今回のように自衛隊撤退を求めるのは不可解だが、村を守るのが目的だから、スパイの嫌疑が晴れれば解放するのは当たり前です」(惠谷氏)
Q2 解放された5人はいずれイラクに再入国するのではないか?
A 5人のうち先に拘束↓解放されたカメラマン・郡山総一郎さん(32)、ボランティア活動家・高遠菜穂子さん(34)、フリーライター・今井紀明さん(18)の3人について、今井さんの知人でもある翻訳家、菅原秀氏が語る。
「今井君は道警公安部の厳重な監視下に置かれておりイラクに戻るのはおろか、取材に応じたり我々と連絡をとったりすることもままならない状況。他の2人も同様でしょう。体調が戻ったとしても、解放費用の請求までちらつかされては黙り込むしかない」
だが、「高遠さんはいずれまたイラクに行くだろう」と語るのはさるNGO関係者。
「彼女は援助を続けてきた現地の子どもたちにはよく知られた存在。子どもたちの“戻ってきてほしい”という言葉も本人に伝わっている。落ち着いたら行くでしょう」
後に解放されたジャーナリスト・安田純平さん(30)、市民団体メンバー・渡辺修孝さん(36)はどうか。外務省幹部はこう見る。
「これだけ問題化した安田氏にイラクのリポートを新たに依頼するメディアはないだろう。一方の渡辺氏は、みずから『共産党』と語るなど政府への反発が強いから、再入国の可能性が高い。家族を通じてあきらめるよう説得する」
Q3 人質が朝日新聞、NHKほか大マスコミの記者だったら?
A 人質の「自己責任」を問う報道に終始した日本の大マスコミだが、「もし拘束されたのが新聞やテレビの記者だったら論調はまったく違っていただろう」と推測するのは、立教大学社会学部の服部孝章教授(メディア論)である。
「そもそも拘束された5人は事実を伝えようとするジャーナリストや人道支援に携わるNGO活動家なわけで、現地に入る目的は大マスコミの記者とそう変わらない。にもかかわらず思想的な背景などにバッシングが吹き荒れたのは、自衛隊派遣の不備に触れられたくない政府の情報リークによるものでしょう。もし大マスコミの記者が拘束されていたら、法的整備も国民への十分な説明もないまま派遣を決めた政府への批判が巻き起こったに違いない」
さらに、今回の人質報道では、先に拘束された3人とその後の2人に関して明確な違いが見られた。服部氏。
「先の3人には“自衛隊撤退”が条件になったから、政府が懸命に人質のネガティブな情報を流した。後の2人は犯行声明がなかったからリークもなく、結果的にメディアの扱いも小さくなった。つまり、日本の大マスコミは、“お上”のなすがままということがまたしても証明された」
Q4 人質事件で誰が得をし、誰が損をしたのか。
A もっとも得をしたのは小泉純一郎首相、次いでイラク・イスラム聖職者協会のクバイシ師――というのが衆目の一致するところか。評論家の屋山太郎氏が語る。
「人質が全員、無事だったことで小泉首相の自衛隊を撤退させない方針が評価され、支持率も上がった(朝日新聞の世論調査では7割が小泉首相の続投を支持)。官邸筋は『交渉では表に出せない動きがあった』などと思わせぶりな言い方で、実は政府が水面下で様々なことをやっていたという印象を持たせているが、実態はアメリカに協力を求めただけだろう。一夜漬け外交でまたしても結果オーライなのだから、何とも小泉は運がいい」
一方のクバイシ師だが、中東調査会研究員の高岡豊氏。
「イラクのスンニ派の指導者として、クバイシ師が今後、影響力を高めるのは間違いない。日本人ばかりか他の外国人の人質解放でも前面に出ており、イラク国内だけでなく、外国が彼を頼らざるを得ない状況ができはじめている。占領後の新政権を左右する存在にもなり得る」
他方、損をしたのは米国のブッシュ大統領だという。
Q5 人質事件発生から解放に至るまでの小泉政権中枢の本音とは?
A それを知る材料として、福田官房長官のオフレコ発言を紹介したい。まず、3人が解放された翌4月16日夜の記者懇。「完オフ」が前提だった。
記者「3人の中には再度イラクに行きたいという人もいて、総理も怒っていた」
福田「いってわかる連中じゃないかもしれないしね」
記者「家族も“説得できないかもしれない”と」
福田「親の問題ですよ。つまり教育の問題でしょ。君たち(マスコミ)の教育レベルも上げないと」
記者「3人解放で一段落か」
福田「そうはいえない。まだ2人残っている。2人の事件が(誘拐か行方不明かはっきりしないまま)表面化しないでいてくれると楽だけどね」
3人については「親の問題」、2人については「表面化しないほうがいい」では無責任きわまりない。残る2人も解放された後の4月19日朝。
記者「人質となっていた5人に総理は会うか」
福田「会う意味あるのかね」
米国のパウエル国務長官は事件に触れて、「危険を冒す人がいなければ社会は進歩しない」と人質を労った。自国の若者たちの行動を、他人事のように語るだけの政治家が、この国を統べている。
Q6 アラブ社会に身代金の“相場”はあるか。
A 中東の日本大使館でアドバイザーを務めていたシンクタンク幹部の話。
「身代金に相場などあり得ないが、私なら仲介役になったクバイシ師に500万円渡して話をまとめる。ただ先方は言い値の5倍か10倍の金額を吹っかけてくるでしょう。それがアラブとの交渉です」
クバイシ師は表向き、日本政府と交渉はしていないとしている。
「アラブの聖職者は文字通りの聖人ではなく、カネで支配下の部族を動かしている人です。聖職者は表向き、カネの話はしない。必ず、秘書的人物がいて、カネの話はそちらとする。いずれにしても、彼らは数千万円から数億円を要求するのが常です。相場は彼らではなく、逆に日本の政府が落としどころを決めるべきものです」
小泉首相はアラブとの交渉を乗り切っただろうか。
Q7 サマワの自衛隊員への拉致・攻撃は起きるか?
A 「可能性はある」と語るのは前出の惠谷氏。
「ただしアルカイダがサマワのようなシーア派支配地域でも活動を始めた場合、というのが前提です」
アルカイダが関与したとされるイラク国内のテロは、バグダッドの国連本部爆破事件や占領政策に協力するイラク警察への同時爆破テロに象徴されるが、これまでは米軍が展開するスンニ派支配地域での活動に限られている。
「アルカイダはスンニ派とのつながりが太いが、シーア派が支配するイランの支援を受けているなどそれなりの関係は持っている。南部シーア派地域にも活動を広げたいと思っていることは間違いない」
アルカイダがサマワに侵入した場合は、宿営地へのロケット砲攻撃や爆弾テロなども想定しなければならない。
そうした事態に立ち至ったときこそ、小泉首相の判断が真に問われる。
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http://www.weeklypost.com/jp/040514jp/index/index1.html