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4月11日
さて、日本人3名の運命は如何になるのやらと心配して、9日当初は思い当
たるところなどを「聞き込み調査」まがいの取材をしていたのですが、10日の夜
から米軍のヘリコプターがバラバラと引っ切り無しに飛び回り、11日の日没まで
市内上空を飛行していました。その晩、「ああ、ヘリコプターの音が止んでいる。
人質はどうなったのか・・・?!」と、気が気じゃなくて眠れぬ夜を過ごしたのでした
が、それでも友人のスラーヤ回線からメールを開いて日本の報道を検索すると、
なんと国内では自衛隊撤退を求める運動や、3人の拘束に対して「関係ないこと」
発言をした小泉首相に抗議の声をあげる人々の運動がビシビシと伝わってきます。
「おお、日本ではみんな頑張っているんだなあ」と感心しているだけではダメなの
だけど、周囲の状況もあって、なかなか思うように身動きが取れなくなったのです。
というのも、この間、3人の誘拐が起こる前から、イラクではスンニとシーア両
レジスタンスによる全国的な反米攻勢が展開し、ここ首都バグダッドでも軒並み厳
戒態勢に突入したのです。
友人の話しによると「まるで、戦争前の雰囲気にそっくりになってきた!」などと
言うもので、私など「戦争前・・・」という単語すらイメージできない状態なのに、突然
目の前の道路に広がるバリケードの封鎖線や列を成して走り過ぎる戦車部隊、夜
間もひっきりなく響く砲撃の音と銃声・・・。数キロはなれたサドル・シティーやCPA
本部の方角から名のですが、首都でさえこの状態です。住民だってさすがにビビリ
ます。
翌朝、私はいつものインターネットカフェに出掛けたところ、門の前にいつもは
にっこり笑顔で挨拶してくれるガードマンが、その日から厳つい顔になって手に自動
小銃なんか持っていました。入り口が閉まっているようなので、どうしたのか聞いて
みたら「昨日から3日間、店を閉めた」と言うのです。私は一瞬、「もしかしたら店の
女の子にちょっかい出したのがまずかったのかな」などと思ったのですが、どうやら
違うようでなんと、この3日間はバグダッド市内でファルージャの攻撃に反対してゼ
ネラル・ストライキに入ったようなのです。これもまたある意味、レジスタンス運動な
のでしょう。
4月12日
そんな事態なので、日本との連絡も思うようにままならないまま、イラク現地にい
ながらにして、3名の人質解放に向けた一連の動きに関する情報から取り残された
感じに焦りを覚えつつ、私は街じゅうのインターネットカフェを探しまくりました。ようや
く見つけたところも、停電になるとすぐ使えなくなるところや、店を開けているのは午前
中だけだったり、という具合に肝心な時に使い物にならない有様です。そんな時友人
が「グリーンゾーン(CPA管理地帯)の中にあるホテルにインターネットを使わせる場
所があるらしい」と言うので私もそこに行ってみました。そこは、『アル・サフィール』
というホテルでロビーにはタイル張りの日本画を掲げている、小さいながら結構洒
落たホテルです。そこのインターネットを使ったのですが、これが立ち上がりが遅い
のなんのってものではありません。しかも、1時間で2ドルもかかるので、「こんな時で
もなかったら絶対に使わないぞ」と思うくらいでした。その頃、人権ホットラインの掲示
板から、『荒らしメール』が殺到しているとの連絡が入って来ているとの報告があり、
24時間で3万5千件ほどのアクセス数だったようです。
ネットチェックも終わり、ホテルからの帰り道でちょうどチグリス河沿いの道端に
屯していた少年たちがティッシュ・ボックスを売っていたので近寄ってみると、彼らは、
高遠菜緒子さんがお世話をしていた少年たちでした。彼らは高遠さんが誘拐された
ことを人づてに知ったのか、すごく彼女のことを心配しています。彼らが「ナオコ・キー
フ?」と聞いてくるので、「ナオコ、マーク・ムシケラ」と私が伝えると少しは安心したよ
うな顔をしていたのですが、まだどうも不安が残ったような感じです。
「俺だって本当のところはまだ何も判っていないんだ!」と内心思いつつも、
そんなことはおくびにも出さずに、ただ笑顔でうなずくしかありませんでした。その
日の夜から、また遠くの市街地で響いていた爆破音が段々と近くで聞こえるように
なって、もうその頃は私たちなど慣れっこになってしまい、まるで花火の音でも聞い
ているような感覚でした。
銃声も夜だけでなく夕方になると近くで、「タァーン」、「ズドンッ」などと鼓膜に
響くくらいの勢いで聞こえる時もあります。
日本は今頃、どんな様子ですか?桜の花も散ってしまい、これからは新しい木
の芽が吹いてくる頃でしょうか?盛夏を見るのが待ち遠しいです。こちらイラクは
今もうすでに暑さが増しています。しかし、まだまださらに熱くなっていきます。
みなさん、共に頑張りましょう!
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