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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040414ig90.htm
これでは、日本人を人質にした武装グループの要求に屈せよと言うに等しい。
民主党の菅代表は、党首討論で、イラク南部サマワに派遣されている陸上自衛隊の撤退検討を提起した。危うい主張である。
菅氏は、人質事件発生以来、「脅しに屈して自衛隊を撤退させることはできない」と言明し、党首討論でも同じ見解を繰り返した。当然である。
ところが、その言葉に続き、イラク南部もイラク特措法上の「非戦闘地域」とは言えなくなっていると主張し、「撤退も含めた検討をすべきだ」とした。
菅氏とすれば、イラク特措法上の「非戦闘地域」に現地の情勢が合致しなくなれば、撤退を検討するのは当然で、「脅迫に屈しての撤退」とは別の問題という理屈なのかもしれない。
三人の人質は今、武装グループの手中にある。家族や支援団体は、自衛隊を撤退させなければ人質を殺害するという脅迫に応じ、自衛隊撤退を求めている。武装勢力は、日本国内の動揺や分断を図る上で、人質の政治的な利用価値は大きいと考えている、という見方もある。
そのような局面の下で、どのような理由であれ、「自衛隊撤退」に言及すれば武装グループは自らの要求が実現すると受け取り、歓迎するに違いない。
首相は、「今の時点で、『撤退準備』と言えば、犯行グループの思うつぼだ」と反論した。その通りである。
菅氏は、なぜ人質の家族と会わないのかと、首相を批判した。
首相は、「会うことがよい結果に結びつくかどうか。いま会う状況にはない」と答えた。家族と会っても、首相には、言えないこともあるだろう。かえって無用な誤解を招く恐れもある。人質の早期解放にもマイナスになりかねない。
菅氏は従来、首相が家族などに説明責任を果たしていないと批判していた。だが、水面下での動きをいちいち表に出したのでは、問題解決を妨げるだけだ。
菅氏は、事件発生直後の九日の談話では、政府に全面協力する旨を表明していた。それが十二日の談話では、「政府への協力」の言葉はなく、小泉政権の責任は重大とし、対決姿勢を鮮明にした。
二十五日投票の衆院統一補選が、十三日告示された。菅氏には、選挙を意識して、小泉政権のイラク政策を争点にする狙いがあるのだろう。
今まさに国家としてのあり方が問われている。現時点で、自衛隊派遣という重要政策の変更を主張するのは事実上、武装勢力の脅迫に屈することになる。責任政党の指導者の姿勢ではない。
(2004/4/15/02:13 読売新聞 無断転載禁止)