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http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm
イラク復興を目指す国際社会にとり、いまが試練の時である。ブッシュ米大統領が苦境の中で、米兵増派による態勢立て直しの強い意思を示したことを評価する。
イラク内の激しい戦闘により、四月だけで米兵八十人以上の死者が出た。「戦時の大統領」ブッシュ氏には、戦死者への鎮魂と政治信念との狭間(はざま)で苦悩の日々であろうと推察する。しかし、テロと戦う政治指導者には、強靱(きょうじん)な精神と間断のない行動が求められる。
大統領は「必要な兵力はいつでも送る」と述べ、現地司令官の追加投入への要請に応じる意向を示した。その意味で、大統領の言葉は、静かな口調ながら揺るぎない姿勢を国民に語りかけたと判断できる。
現地から伝えられる戦闘場面の映像は、局所が拡大されてイラク全体が騒乱状態にあるように錯覚させる。しかし、実情は内戦でも民衆蜂起でもない。大統領が指摘するように、イラクの大半は安定している。従って、反戦論者のいう「ベトナム化」「レバノン化」などの扇動には惑わされまい。
とりわけ、イラク情勢をすべて「民衆の抵抗と鎮圧する占領軍の衝突」という対立軸で図式化することは誤りである。
イラク中部のファルージャの衝突は、米軍によるスンニ派中心の旧フセイン残存勢力と、そこに巣くう外国テロリストに対する掃討作戦だ。この地域で、日本人を含む外国の民間人が相次いで誘拐されているのも、米軍の掃討に追い込まれた武装勢力の焦りの証明である。しかし、多数派の南部シーア派地域の動向は、スンニ派と違ってもっと宗教色が強い。シーア派内の強硬派のサドル師が騒乱を起こしたが、ようやく沈静化した。
反テロで足並みをそろえるため、小泉純一郎首相が誘拐犯の求める自衛隊の撤退を拒否したことは適正な判断である。同じ条件のイタリアのベルルスコーニ首相による「軍の撤退は問題外」との表明にも敬意を表する。
ブッシュ大統領はイラク人への主権移譲を六月末までに完了することが、米国の信頼回復につながると語った。さらに、米国がイラク復興、テロとの戦いのために各国との協調に回帰しようとしていることを歓迎したい。