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神浦氏HP メールにお返事 より 様々な「自己責任」論
http://www.asyura2.com/0403/war52/msg/427.html
投稿者 Q太郎 日時 2004 年 4 月 14 日 15:38:44:4V2zl9FyN7Ano
 

http://www.kamiura.com/mail.html より

届 い た メ ー ル と お返事
 日本人人質事件ですが、このようなメールが到着しました。 (4月14日)

届いたメール

 おひさしぶりです。東京の00です。

  金正日総書記、5月にも訪中と韓国紙 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040412i303.htm 韓国発の情報で弱いですが、待望のイベントですね。

  それと、今回の人質事件は混沌としていて、 日本国内の左右対立も酷い状況ですが、 さすがに、事件に便乗して自衛隊撤退運動している人たちは、 人質事件を純粋に考えれば、論外で非常識でしょう。 黙って、人質の解放を待つのが筋だと思うのですが。

  神浦さんも人間の盾を提案したりして、 無責任だな〜と思いますが、 そういう人気商売の政治的な評論活動(1)と、 政治的立場に関係ない科学的な軍事評論(2)の ページを分けたらすっきりするのではないでしょうか?

 (1)と(2)がごっちゃになっていて、どこまでが 「軍事常識」で、どこからが神浦さんの政治評論なのか わからないので読者としては困ります。 読者層の期待も(1)(2)に分かれているのではないでしょうか? (1)では、便乗デモや人間の盾も肯定されるでしょうが、 (2)では、人質の価値を高めて、その解放を遅らせて、 百害あって一利なしと推量するのですがどうでしょう?

届いたメール

 現在、ニュージーランドの大学院で交渉学を研究していますが、その観点から、この事件の交渉ポイントをまとめてみます。(したがって、感情論は抜きです)

 まず、交渉当事者としての政府の立場。人質の解放を最重要課題という以上、どうすれば解放されるかを考えることになりますね。韓国の人質が解放されたのを見てかどうか、人質は武装グループの敵ではないと言って説得しようとしていますが、それならば、自衛隊もイラクの人のために派遣されているということまで触れるべきではないと思います。むしろ、「日本政府の自衛隊派遣という方針に反対して、自己責任でボランティアに出向いた人たちだ」というコメントの方がよいことになります。「そんな冷たいことを」と考えるのでは、「問題解決手法という交渉はできません。結果が重要なのですから、相手との共通利益を見つけな いといけないのです。

 
 この場合の共通利益は、武装グループがイラク国民を代表していると考えている以上、人質になった日本人もイラク国民のために行動している、ということで成り立ちます。マッサージまでしてあげたという韓国人医師看護チームはそのパターンでした。

 そうだとすれば、日本国政府こそが共通の相手方ということになるのです。自作自演とかいう見解には賛成できませんが、ただ、解決法という意味では日本国政府 がそうした役回りを演じきることが必要です。しかし、残念ながら、日本政府からのメッセージは日本国内向けとしか映りません。一時の冷たい政府のイメージ を怖がったのでしょうか。家族に対しても冷たい態度をとって人質問題を韓国人人質ケースのように終わらせていたなら、私も外務省の交渉能力を評価していま した。

 ところで、自衛隊派遣の問題に焦点が移るということで家族に会わなかったという総理の態度が報道どおりだとすると、それは、交渉学でいう「問題回避」であって、「問題解決」の手法を駆使していることにはなりません。ファルージャの戦闘が停戦になっていた時期に解決できたかもしれない積極的な手があったはずですが。交渉相手を「テロ」と呼んでしまったことも問題解決手法からするとどうだったか、どういう結果を目指しているのか、あるいは結果に関知していないのか、今回の小泉総理の態度には多くの疑問が残ります。

 さて、日本政府が自衛隊のことに触れた以上は、自衛隊が誰のために派遣さ れているか、というテーマに問題が移ってきます。そうなると「日本は北朝鮮が怖い。北朝鮮から身を守るにはアメリカの助けが必要だ。そのアメリカのいいな りで自衛隊をイラクに派遣した」という論理をどの段階で反駁するのでしょうか。さらに、武装グループが「確かに自衛隊はイラクのために来たのだ」と納得す るには、「アメリカはイラクを侵略していない」と彼らに説得するか、「アメリカは侵略しているが、自衛隊は別だ」と説得するかしかありません。ファルー ジャでの激しい空爆の中、とても前者のようなことを言うわけにいかないのが現実だとしたら、可能性があるのは後者の場合ですが「それならば3人の人質と同 じ命を持つ無実のイラク市民を見殺しにしないで、自衛隊もイラクと一緒にアメリカと戦ってくれ」と言われたらどうするのでしょうか。

 結局、一主権国として「戦争状態がない地域に自衛隊を派遣した」という前提が間違っているということになりませんか。

 最後に、韓国との違いについて、一言。これは、交渉当事者能力が韓国人人質にはあって、日本人人質にはなかった、ということになります。語学力、判断力を含 めた人間力の全てにおいて、差が出たということになります。あの3人に限ってそんなはずはない、という考えからは、自衛隊撤退のための計画だと、いうよう な憶測も出てくるでしょう。しかし、その家族に対する嫌がらせは、旧態依然とした村社会の考えですから、3人人質の家族を自己責任に反すると批判している 人たちの考えも個人主義に立っていません。

 交渉学から見ると、結局、人質個人、政府、国民すべてのレベルで、国際社会を行きぬくための知恵が欠け ているという現状が見えてきて残念です。どこまで流れていってしまうのでしょうか。あっという間にファルージャの戦闘も再開されて、3人の人質の位置づけ も凍結されてしまいかねない状況になってきました。いまの日本を象徴しているようで、気が気でならなくなってきました。西部劇のアメリカと柔術の日本では やはり身の処し方が違うのですね。わが身にあった生き方を思い出すときがきたような気がします。

届いたメール

 神浦さん、こんにちは。

 お忙しい中、頻繁に更新を続けていただき、ありがとうございます。情報が氾濫する中、いつも碇をおろすつもりで、神浦さんのHPを参考にさせていただいております。私も今回の人質事件の反応に、びっくりしているひとりです。

 私は海外に住んでおりますので、日本での報道の様子や傾向はわかりかねますが、“事件報道後、高遠菜穂子さんのHPの掲示板にアクセスが殺到し、心配の声よりも批判や中傷が多かったため、1時間足らずで掲示板が閉鎖された”という記事を読んで、愕然としました。その後も事件に関するコメントや掲示板では、家族に謝罪や感謝の気持ちがない!とか、やっと家族が謝罪して安心しましたとか、勝手なことをして政府に迷惑をかけて!とか、何が地球人だ!とか、ワイドショー的な反応が多くて、驚いています。

 もちろん、それらの背景には、自衛隊派遣に対する賛成vs反対の意見があってのことと思いますが、日本のパスポートで渡航している以上、彼らには守られる「権利」があり、政府にはその「義務」があるのではないでしょうか?今回は、非常にリスクの高い戦地で起きた事件ですが、海外に住む私たち(3ヶ月以上滞在するもの)は、緊急時にお互いの「義務」と「権利」がスムーズに結びつくよう、「在留届」というものを大使館・領事館に提出することが、旅券法第16 条で義務付けられています。もちろん、日々の生活における責任は自分持ちですが、これにより事件や事故、災害に遭ったとき、安否の確認、緊急連絡、救援活動が受けられることになっています。まして、国家にかかわるポリティカルな問題に巻き込まれたときは、国家レベルのツールをお借りするしかなく、根性論、精神論で太刀打ちできるものではないと思います。

 いまや事件が起こるのは、戦地だけとはかぎりません。マドリードの方たちが狙われたように、いつもの時間に起きて、いつもの電車にのって、いつもの車両にのっているだけでも、標的になる時代です。自分だけは Political Game の餌食にはならないと過信して、怒りや不安の矛先を人質やその家族の方たちに持って行っては、ゲリラやテロリスト、侵略戦争を正当化して戦争ビジネスで生きている人たちの思うツボなのではないでしょうか?

 自己の責任論は、すべてが解決した後に、同じような事件が起こらないよう話し合われてこそ、効果があるものだと思います。

 神浦さんのHPでは、いつも感情論ではなく、方法論が提示してあるので、心強いです。これからも、更新たのしみにしております。よろしくご指導ください。

 どうぞ、お身体にお気をつけて。
届いたメール

 いつも J−RCOMを拝見させて頂いております。

 今回のイラク人質三人の件では、いろんな方のご意見を拝読出来、とても勉強になります。 たくさんの方からご意見が、送信されるのもJ−RCOMが愛されているからだと思います。その分、神浦さんのご努力が大変な事だとお察しいたします。 お身体には、どうぞお気を付け下さいませ。 ご自分と愛読者の為にも頑張って下さいませ。

  一息ついて頂こうと思いまして、こんなメールさせて頂きました。 失礼しました。<(_ _)>

届いたメール

 都内在住30代OLです。 今回の人質事件の原因は自衛隊の派遣なのでしょうか。派遣しなければこんなことは起きなかったのでしょうか。 私はそうは思いません。

 今回犯行グループがその撤退を要求しているからといってそれが原因とは思いません。 なぜなら、あらゆるイスラム武装勢力の行動は、反米にその根があるからです。 9.11テロはもちろん、米英と手を携えてイラク攻撃に積極的だったスペインでの列車テロ、 そして先月末の米国民間人殺害がヤシン師殺害の報復としてなされたこと、その後のサドル師の突然の台頭、 シーア派とスンニ派の反米共闘・・ それらすべてが、米国への抵抗、不満、憎悪、怨嗟を示しています。 (事実9.11テロの際、米国の中東政策の失敗が指摘されたかと思いますが、米国はその後バランスを取り戻すどころかイスラエルをサポートすることでますますイスラム勢力との対立を深め 自らの首をしめていると思います)

 そして、彼らから見て日本は米国の最大ではないにしろ重要なパートナーであり自衛隊派遣はそれを端的に示したいわば象徴として、今回取引対象になっているに過ぎないと思うのです。自衛隊派遣という形でないにしろ、安全保障を米国に負い米国追従を決め込んでいる現政府が、米国の満足するような何らかの対応を取るならば、それがなんであれけっきょくはアラブ・イスラム勢力から米国と同一視され標的にされる結果を招いたと思います。ですから日本がしなければならないことは、アメリカと距離を置くか、それができないならイスラム武装勢力は敵に回さず、対米的にも言い訳の立つ対応を取ることではないでしょうか。

  今回の事件に対しては、自衛隊派遣の目的と日本の米国とは違う対中東関係とを最大限アピールするしかないのではないでしょうか。 (見事に説得力ゼロですが… しかし今回の事件はそれができていないために起こった、 こちらもあちらを知らず、あちらもこちらを知らないために起こった、ということは言えないでしょうか?)

 そして今後、このようなことをされないためには、イスラム諸国との人的、経済的、文化的、あらゆるパイプを日本独自に築いて、 いや今以上に多彩にかつ太くしていくことが、絶対的に必要だと思います。 と同時にゆくゆくは、安全保障政策・外交政策そのものの方向転換も考えるべきだと思いますが、 アメリカの傘の下から離れることがそう容易であるとも思えず (といってもいざというときアメリカは日本を本当に守ってくれるのかどうか、そんなことは冷戦時代の幻想であり 日本は一刻も早く独自外交・独自安全保障政策を取るべきだとの論もはもちろん(たくさん)あるようですが) その間にもアメリカの行動がイスラム勢力との対立を激化させるばかりである現状では、日本としては その間をぬって少しでも保身を図るしかありません。 アメリカのご機嫌を損ねず、イスラム諸国からはアメリカと同一視されない独自の道を築くしかありません。 (しかしそのような行動をアメリカの機嫌を損ねずとることが可能なのかどうか・・ アメリカはイスラム国家樹立絶対阻止とのことですので(不勉強でその理由・背景は認識しておりません) アメリカ傘下にある限りイスラム勢力と仲良くという余地はあるのでしょうか。 それが無理ならアメリカと距離をおくか、それとも腹をくくってアメリカと一体化しテロに身を晒す覚悟をするのでしょうか)

  なお昨夜さる番組で中東調査会客員研究員 大野元裕氏が「24時間以内に解放」の声明文につき、 いくつかの点を上げてこのグループが規律の取れた組織ではなくまた学もない可能性があることを指摘していらっしゃいました。 そのひとつが、アメリカの蛮行を示すものとして広島・長崎への原爆投下を挙げているが、そのスペルが間違っていること。 広島はホロシマに、長崎はナザキになっている(間違え方はうろ覚えですので不正確です)ということ。 それを聞いた瞬間は、「そんなこと無理ないのではないか? 言語の違う国の固有名詞なんてよく間違うのでは」 と思いましたが、続いて広島・長崎(への原爆投下)というのは反米イスラム勢力内では常套句のように使われる、との解説を伺い合点が行きました。つまり彼らにとって日本はそういうイメージだったのです。

 であれば、 今回の自衛隊派遣がとりわけ目立ち、裏切り行為のように受けと取られても不思議はなかったのかもしれないなどと思った次第です。 身辺であまり意見交換が出来ず投稿させていただくことにしました。 以上、長々と失礼致しました。

所長コメント

 今の世の中には大きな事件が起きると、偽のメディアなどに犯行声明を送る犯行声明マニアがいます。そのため捜査当局では人質事件などのときは、脅迫文や声明文を公表しないことが原則になっています。声明文の書式などを真似て、偽の声明文を声明マニアが作って送ってくるからです。本物と偽物を区別するために最初の脅迫文を公表しません。しかし今回はアルジャジーラが人質の映像とともに、その脅迫文を映像で公表してしまいました。これは絶対にやってはいけないことだったのです。別な言い方をすれば、アルジャジーラの報道は、偽の脅迫文が殺到することを招くことになります。ですから24時間以内に解放という2回目の声明文は、事件の本質を知るための証拠能力は低いということになります。たとえ本物であっても、その信憑性は極めて低くなります。

 このように本物と偽物の区別がつかないのに、それに関する報道だけが肥大していき、それに振り回されているような状況です。記者用語に「書き飛ばし」「書き放題」という言葉があります。事実が確認できないのに、とにかく記事をつくるために思いついたことを記事にするという意味があります。2回目の声明文が出たとき、警察など犯罪捜査の関係者に聞けば、1回目の本物が公表された声明文は、2回目にTV局にファックスで送られた声明文は信頼できないと答えるでしょう。誤字があるとか、西暦が直されているといった問題ではないのです。

 とにかく今は冷静に考えるときです。何が事実かよく考えるときです。私は3人が乗ったタクシーとコンボイを組み、アンマンから一緒に出発した別のタクシーの運転手の証言に注目しています。出発当初は一緒に走っていたが、途中で前を走る日本人の乗ったタクシーと段々に間隔が開いた。追いついたときは、タクシーののそばで運転手を含め4人が地面に寝かされていた。その周辺に100人ぐらいの武装した民兵が取り囲んでいた。そのまま加速して現場を通過した。翌日、そのタクシーの運転手とバグダッドで出会って聞いたら、お前は行けと言われてバグダッドに着いたと話したという証言です。民兵100人という人数はかなり組織的です。通行人を狙う物取り、強盗なら、10人も必要ありません。

 もし2通目の声明文が偽物で、犯行グループとの交渉人を自称するドレイミ氏が本物の可能性はないでしょうか。ドレイミ氏を否定する前に、彼と人質との結びつきを確認するため、人質の持ち物など確認を求めるべきだったと思います。もし彼が人質の持ち物や新しい映像などを提出すれば、それで貴重な交渉ルートが開かれます。もしそれを提出できなければ、偽物として判断することになります。

 とにかく今は冷静に、冷静に、対応する必要があります。
 イラクの日本人誘拐事件で言いたいことがあります。 (4月13日)

届いたメール

 神浦 元彰さん。 貴兄の覚悟については拝読させていただきました。大変立派な判断と覚悟だと感心しております。

  それにしても今回の人質事件の反応について、余りにも感情的 な反応が多いのでびっくりしております。昨日、「たけしのT Vタックル」という番組で高名な政治評論家が、「日本政府が危険だと言ってる場所に勝手に行き、テロ集団に拉致され、日本国家の政策を危機に落し入れるのはトンでもないことだ」と 感情的に発言されておりました。この「 」内は必ずしも発言そのものではありませんが、主旨は間違いはないと思います。

 この論理は、今回人質になった人達を攻撃する一般的な手法の ように思われます。小生にはこの論旨ほど非合理的、非論理的 なものはないと考えています。小生も多少感情的に言いますと 、劇場国家になれ、ぬくぬくとした場所で、一生懸命に汗を掻 く人を非合理的な手法で誹謗、中傷し、攻撃する日本人がこれほど多くなってしまったかということに恐怖を感じます。勿論 、彼等の行動が100%正しかったとは思いませんし、もっと 慎重に行動することが求められたのは当然のことですが、上記のような卑劣な人間に比較すれば数百倍も大きい志をもって汗を流していると思います。

 それでは上記の発言のどこが非合理的かを考えてみましょう。まず日本は民主国家であり、国家によりその旅行の自由を奪われていません。したがって法律で禁止されていなければ基本的にはどこの国にも自由に渡航できると言うことです。この意味で彼等の責任を問うことは出来ません(何事についても国家に統制されたいと望む国家主議者は別としてですが)。責められるとすれば、危険な場所に好んで入った?その道義的責任とその判断力でしょう。警察官や自衛官、また消防士など時により命を賭けた判断が求められる事業を行いますが、国家から庇護されているので手厚く処置されます。残念がらボランティア活動は現在そこまで認められておりませんので、事業として極めて危険度が高いものでありながら、個人の犠牲の上に成り立っているのが現状です。また個人であるからこそ高遠菜穂子さんのように極めの細かい仕事が出来るというのも事実でしょう。

 その様な中で個人の判断に誤りがあったとしても誹謗、中傷を 持って感情的に攻撃することは合理的なことなのでしょうか。 ましてや国家の政策をあやまらせるなどと攻撃するのは政治的 発言以外のなにものでもありません。このことにより国家意志がぐらつくほど軟弱であるとすればそれは政治家の責任であり 、拉致被害者の責任ではありません。高名な政治評論家が発言するにはお粗末過ぎます。 ここでの課題は、危険の中に身を挺してボランティア活動をする人の覚悟を示す、貴兄が書かれたようなマニュアルが今後必 要になるかもしれないということです。

 近代国家は徴兵という形で国民に命を提供するよう命ずることが出来ます。幸い日本には徴兵制がありませんが、有事法制により一旦緩急のあれば、土地、建物、役務など国民の義務として提供しなければなりません。また我々は国民の義務として税金を納めています。これらの代償として国家はその法律の範囲で国民を守る義務があります。それが国民と国家の間の契約です。それがなければ協同体としての国家の意味がないと思います。したがって外国に行き、いかなる理由によろうが邦人が危機にさらされた時、命のある限り同胞として救援するのは当然 のことだと考えますがいかがでしょうか。

  最後に家族の問題を考えてみます。 家族の心情としてなににもすがりたいという気持ちは理解できますが、彼らは一人前の人間として判断し、行動しているので すから、その名誉を重んじる態度を示して欲しかったと思います。また、家族の意志に関係なく政治的に利用しようとする集 団(マスコミを含む)が数多くありますので、その術策に乗らない大人の態度が要求されます。これがないと諸外国からも理 解されないのではないでしょうか。注意を喚起したくあえて一 言書き添えました。 貴兄のご意見をいただければ幸いです。

届いたメール

 00と申します。 4/12のwhat's newを読みました。 イラクで拘束されている3人について サイト内で書いておられる神浦さんのお考えを私は支持します。

 報道から想像するに拘束されている3人はそれなりの覚悟の上のイラク行きです。 それぞれ人道上の目的であり、物見遊山や傭兵として行ったのではありません。 いざというときに本人たちが国をアテにしていたと考える方が不自然です。 また残された家族が、まわりにどう言われようと命を助けようと様々働きかけるのはごく当りまえのことです。 政府にはできない形の現地支援を実績としてやってきた人を 「彼らが危険になったり、負担になったから切り捨てない」のは当然だと思います。 それは、自衛隊派兵に賛成だろうが反対だろうが関係ないだろうと思います。

届いたメール

 いつもご意見を参考にさせて貰っております

 私は、人質三人が自作自演だったかどうかはここでは問いませんが、極めて命が危ない状態だと思っています。  なぜならば、彼らの死が米軍の利益に直結しているからです。

 1.彼らがテロに殺されて死ぬと、日本国内の反テロ世論が盛り上がり反米感情が薄れます。

 2.彼らが死ぬと自衛隊の撤退がテロに屈する形となり、早期に撤退困難になるばかりでなく、撤退が絶望的になり自衛隊をイラクに釘付けしたいアメリカ軍の思う壺 になります。

 彼らが無事に日本政府か自衛隊、マスコミの庇護下に逃げ込めれば良いのですが、 当然日本政府への協力の建前で、米軍が彼らの現れそうなところは監視網を固めていま す。

 人質3人が米軍の手に落ちれば間違いなく、テロの仕業に偽装されて殺されます。アメリカのエリート達は日本人の命などよりも自分たちの利益を優先します。日本政府及び自衛隊は米軍から独立した救出チームを作りどんなに金が掛かっても 情報を収集し米軍より先に彼らを保護しないと自衛隊の撤退のチャンスが半永久的に 失われます。

 しかし首相は米軍に人質救出の協力を要請しているようです。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040412-00000011-yom-pol  どうしたら軍事素人達が、米軍の警戒網を避けて日本政府の保護下に逃げ込めるの でしょうか?頼りなくても唯一日本人を守れるのは日本の軍隊(自衛隊)しかありま せん。

届いたメール

 再びL.A.の00です。

 神浦さんの 「今日は私が紛争地に行くときの覚悟を書きます。」 を読ませて頂きました。さすがプロの覚悟です。せめて、この神浦さんの「覚悟」を、今回誘拐された方々に「出発前」に読んでいただきたかったです。 本当に残念です。


 さて前回の私の文面、どうも神浦さんに上手く真意が伝わらなかったようですので、追加説明です。

*海外の日本企業の駐在員が、誘拐されたときに「危険を承知した自己責任だ」と、日本人に切り捨てられれば腹が立つと思います。

 駐在員や報道関係者の場合はあくまでも社命ですから、今回のケースとは違うと思います。

*今まで多くの日本人市民が、危険な国や地域でNGOなどの人道支援や取材活動をやってきました。そのことで日本は多くのことを知ったり、尊敬を集めて きました。彼らが危険になったり、負担になったから切り捨てないでください。

 今回事件発生当初より、政府もそして私も含め多くの日本人は誘拐された方々を決して切り捨ててはいません。今回、政府は結構がんばっていると思います。 かつて、日本国内で何ら自己責任もなく北朝鮮に誘拐された方々に比べ、政府の対応は天と地の差があります。

 誘拐された御家族の方々のお気持ちは察しますが、今回の誘拐に関して云えば一次責任は政府にはありません。自衛隊がイラクに派遣されたから、イラクで誘拐されたのではなく、あくまでも戦場であるイラクに行ったから、イラクで誘拐されたのです。 この事は、イラクに軍隊を派遣していない中国の人が誘拐された事でわかると思います。
戦場では誘拐の理由なんて何でもアリです。


 僕が云いたいのは、今回の彼等の行動は無謀であり、日本側の家族の方々の政府に対する言動には甘えがある、というただその事だけなのです。

 個別には高遠菜穂子さんの危険地域でのボランティア活動には頭が下がる思いです。 しかしそれも程度モンです。戦闘地域での社会奉仕はハッキリと「無謀」と云うべき、と思うのです。 それを尊敬したり美談にする傾向はよくないと思うのです。

 僕はジャーナリストの「真実を伝えたい」という姿勢を最大限尊敬します。真実の報道の為には、危険を返りみず、時に法を破ってでも行動するジャーナリストを尊敬します。しかし取材行為が「真実を伝える」ことよりも、「事件」になった瞬間、非情にもジャーナリストは失格となる、と思っています。ですから危険地帯に赴くプロのジャーナリストは取材行為が「事件」にならないように最大限務めます。災難に巻き込まれても「日本国政府はいかなる妥協にも応じるな。見捨てよ」と伝言して出発したジャーナリストもいます。きっと郡山総一郎さんもプロとしてきちんと準備して出発されたと思いますが、不運にも同行者がいたために「事件になって」しまったと思います。お気の毒です。

 そして今井紀明さんに関しては、「親」が社会に甘えていると思います。いつの間にこんな身勝手な親がいるようになったのか、と思うと憂鬱です。 しかし、無事救出された後はきっと常識的な親に戻ると思います。今は気が動転しているのでしょう。

 お忙しいところ長々と書いて申し訳ないです。 神浦さんのご活躍を遠くL.A.よりお祈りしています。
またこちらにも遊びに来て下さい。

届いたメール

 先日からサイト拝見させて頂いております。 自分も素人ながら幼少より軍事に興味ある者として色々勉強 していましたが、神浦さんの高いご見識と明瞭なご意見には 恐れ入りました。

  今回の人質事件に関して、自己責任論というものがにわかに クローズアップされています。 私は投資関係に関わっていますので、そちらの業界では昔から 馴染みの深い言葉です。 ただ、自己責任だから、意見の違っていた政府に頼るなという 結び付けはあまりに飛躍のありすぎる暴論でしょう。

  まず、政府は何のためにあるのかということ。 意見が違うというのは個々の人々「私」の問題です。政府の役割 というのは、個人では対応出来ない大きな問題に対処することで、 そのために権力機構として大きい力を有しています。 個人のために「無私」として存在する上部システムが「公」であり その機能を使うにあたり意見が違うとかいうのは関係ないはずです。 どちらの意見も同じ「公」が包含する「私」のものですから。

  だいたい、批判した政府に頼るなというなら、警察組織を批判した 人は犯罪に対して警察に保護を求めるのは間違いでしょうか? お役所に批判をした人は、その役所の行政サービスを要求したら いけないのか? 裁判所を批判したら、公平な判決を出されなくても文句が言えない? 単純に自己責任で個人を責めることは、少しでもオカミを批判する なら国民の権利が無い、という話に繋がります。 これは民主政治の否定です。国民が主権者であるという以上、政府の 方針が誤りと思えばこれを正すのは、権利のみならず重要な義務です。

  それから、自己責任というのは、使い慣れない人は無限に適用を拡大 してしまいがちですが、これはあくまで正常なシステム、正当な環境 の元において機能する言葉です。 無限責任ではなく有限責任ということです。 今回の場合、テロ組織に拉致されるといった事態の大きさや突発性・ 偶然性は個人で対処できる範囲を大きく逸脱しています。 (彼らが被害者となったのは只の偶然で、自衛隊への攻撃だったかもしれ ませんし、国内や他国へのテロだった可能性も同等です) またその背景となっている政府や米国の問題ある政策など、個人の責に 帰するには、多くの面で余りある部分が多過ぎます。

  官房長官は記者の質問に逆ギレし「じゃ自衛隊派遣しなければテロは 起こらなかったんですか?!」と述べました。 この件、100%でなくともまず8割以上「その通り!」ではないかと思う のですが。 自己責任論は、そういう政府責任を誤魔化す意図も相当含んでいるの ではないでしょうか。 国民が選択した政治家だから、決まったことには従え、彼らだけの責任 を問うな、という人もいます。 しかし、彼らは国家の「責任者」です。 全体の総意を公平に汲んで、それによって判断を下す、そして判断した 結果に「責任を持つ」のが彼らの仕事です。 結果責任が負えないというなら、トップの資格なぞありません。 まして、総意を公平に汲んだかといえば疑問も大きく、そうなら背任というやつで、検証が必要でしょう。

所長コメント

 昨日もまだまだ多くのメールが届いています。すごいと思うのはメールの発信地が世界中であるということです。世界各地でこの日本人誘拐事件が大きく報道されているからでしょう。それに届いたメールは賛否両論というか、支持、不支持、賛成、反対など、いろいろな考え方の人がメールを送ってくれています。それも互いの異なる意見や立場に理解をしながら、自分の主張をする人が多いということです。そんなサイトは多くないと思います。私もいろいろ勉強させてもらっています。

 マスコミではこの事件を「小泉首相、最大の危機」と報じるものがありますが、私はこれが小泉首相の政局にはならないと思います。仮に最悪の結果が出ても、首相の責任よりも犯人への怒りが高まると思うからです。このことは米軍が強行的な救出作戦を行って、その結果、作戦の失敗で人質の生還ができなかった場合でも、小泉首相の責任論はでないでしょう。日本国内と違って誘拐現場がイラクの戦場だからです。このようにそろそろ日本人も戦場の特殊性に気がつきだしたのではないでしょうか。

 以前にも書いたことがありますが、防衛庁で事務次官をされた久保卓也さんが25年前に私に話された言葉を覚えています。「君は人間一人の命は地球より重いと思っていないか。軍事ではそんは通用しない。国民が何人死んでも国家や民族を守るのが軍事思考だ」と。イラクは戦場です。ファルージャでは激戦が行われ、600人を越えるイラク市民が死亡しました。ファルージャで停戦が成立したとはいえ、米軍は3月31日に米国人4人を殺した犯人を差し出すように要求し、ファルージャを包囲しています。このまま事態が悪化すれば、ファルージャで大虐殺が起こることは必至だと思います。攻撃ヘリや航空機や戦車で攻撃する米軍に、ファルージャの反米民兵は勝つことができないからです。外国人誘拐作戦はそのためのゲリラ戦術だったのです。今は米軍のファルージャ総攻撃を中止させることが、日本人人質を救い出し、ファルージャと米兵を救う方法と確信するようになりました。 

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