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以下、リバーベンド・ブログ「バグダード・バーニング」より
現地から声を上げている24歳のイラク人女性の
貴重な文章です。
和訳をしていらっしゃる方々の心意気に感謝します。
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2004年4月11日日曜日
わたしたちは、ふたたびリビング・ルームで寝るようになった。きのう、厚手のカー
テンを吊り、E(弟)とわたしで、庭に面した窓にテープを貼った。去年のように。
今回は、透明なテープを使った。そうすれば、茶色のテープの縞模様がじゃまになっ
て外が見えないなんてことはないから。リビングルームで寝るのは、家中でここが一
番安全で家族全員入れる広さがあるから。
電気が通じている日は10時頃寝る支度を始める。停電の夜はもう少し早い。Eと
わたしがマットや毛布、枕を延べる役。それも工夫がいる。全員が、できるだけ窓か
ら遠くなるように、それでいて片隅に押し込められたというふうではないように。
バグダードは静かだ。ひっそりといっていいくらい。たびたびの爆音さえなければ
の話だけれど。ほんとのところ爆音が聞こえないと、少しばかり心配。この言い方は
へんだと思うでしょう? それはこういうこと__誰かが銃をかまえて、狙いをつけ
てたとする。いまにも発砲するばかり。”いま撃つか、いま撃つか”と待っていると
きの恐ろしさと緊張を想像してみて。爆音の聞こえない朝はちょうどこんなふう。と
もかく、いずれ爆発があるということは、”わかっている”のだから・・・ただ時間
の問題。爆音を聞くとほっとする。爆音の後では、気楽になって、これできょうの分
はおしまいだと思うことだってできる。
人質事件の数々はとてもひどい。テレビを見ていて、よその国の話ではないかとい
う感じがする。いっぽうで「とうとう”ああいう国”の仲間になったのだ」という思
いが頭を占領している。ほら、毎日のように人質が捕られていて、各国政府が国民に
渡航しないように警告しているような国々のこと。これはとくにこたえる。だって、
あの経済封鎖の長い年月の間でさえ、戦闘と爆撃の日々でさえ、外国人に向けた攻撃
はまったく起こったことがなかったのだから。イラク人は、もてなし好きで暖かい国
民、いつも外国からの客人を大切にしていた・・・いまやだれもが敵と怪しまれる。
なかでも日本人人質の事件は悲しい__家族と友人たちをほんとうにお気の毒に思
う。それに日本の人々のことも。人質のひとたちについて、あい反する話が流れてく
る。けさ、誘拐犯たちは解放に同意したと聞いた。が、そんなのうわさだと言う人も
いた・・・わからない。家族の人たちをテレビで見るのはほんとうにつらい。解決の
糸口があればと願うが、ありそうもない。日本政府は軍隊を撤兵するか? まったく
ありえない・・・日本政府にとって、3人のひとたちは問題ではないのだから。3人
が無事生きて解放されてほしい。そして、彼らがイラク人を恨みに思うようなことが
ありませんように。イラク人の間には日本に対する敵意がある。日本は兵隊を送りこ
んできたのだから・・・日本は、軍隊の派遣を決めたとき、’あの’国々のひとつに
なったのだ。その結果がこれだ。ほんとうにお気の毒・・・何十人ものイラク人が日々
殺され拉致されているという事実は別の問題だ。わたしはほんとうにお気の毒だと思っ
ている。
ファルージャでは600人ものイラク人が殺されたという__そのうちこども12
0人、女性200人・・・おそろしい暴虐、胸がつぶれそうだ。アメリカ軍は1、2
の輸送隊(食料、医薬品を運び込むための)はなかに入れたが、あとは引き返させた。
この地域から避難してくる人がバグダードに流れ込んでいる。かれらの姿を見るのは
とてもつらい。涙で汚れた顔の女性とこどもたち。ほとんど黒い服を着て衣類の包み
と水のびんを抱えている。モスクは、かれらのために食料と衣類を集めている・・・
アーダミヤの避難民のための物資の保管庫が、きょう、アメリカ軍の戦車に襲撃され
た。現場はいまも大混乱だ・・・食料、薬、包帯、毛布などがあたり一帯飛び散って
いる。
南部はいまほんの少し平穏になっている。イマーム・フセインを記念する’アルバ
イーン’(フセインの殉教から40日目、今年は、4月10、11日)が2、3日続
くからだ・・・このあと何が起こるか、まったくわからない。
(翻訳 / 池田真理・TUP)