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【バグダッド=岡本道郎】イラク情勢は、ファルージャでの停戦がかろうじて維持されているものの、同市郊外では13日、輸送用の米軍ヘリコプターがロケット砲の攻撃を受けて墜落。シーア派反米指導者ムクタダ・サドル師が同日、テレビで米軍に対する「徹底抗戦」を改めて宣言するなど、緊迫した状況が続いている。これら不穏材料は、日本人人質事件の行方に直結するファルージャ情勢を左右する懸念がある。
サドル師はレバノンのアルマナル・テレビに出演し、米軍の占領を終わらせるため「命を差し出す準備ができている」と表明、イラクに駐留する米軍を除く外国軍に対し、「米軍と距離を置き、イラクの人々の側に立つよう」呼びかけた。
サドル師の民兵組織「マフディ軍」は12日以後、根拠地ナジャフ、カルバラなどから撤退の動きを見せている。これは、事態収拾を目指す統治評議会、スンニ、シーア両派の指導者による懸命の調停努力が一定の成果を上げたものだ。
既に数度にわたり沈静化を呼びかけていたシーア派最高権威アリ・シスタニ師が、息子のムハンマド・リダー師、同派の名家ハキム家の有力アヤトラ、ムハンマド・サイド・ハキム師をサドル師のもとに派遣、本格調停に乗り出したことが大きいとみられる。
シスタニ師側が調停で事態収拾へどのような条件を持ち出したかは不明だが、調停に関与する統治評議会シーア派組織は、サドル師にマフディ軍の武装解除を求める一方で、米国に対し、逮捕状が出されているサドル師への司法手続きを主権移譲が予定される6月末以降に先延ばしするよう求めていると伝えられており、「現状凍結」へ向けた何らかの妥協策が話し合われている可能性は高い。13日付イラク紙「アル・ムウタマル」は、サドル師が一連の調停で、イランへの国外脱出の打診を拒否したと報じたが、現段階では現実味は乏しい。
バグダッドでは、サドル師の側近ハゼム・アラジ師が13日、米軍により数時間にわたって身柄を拘束された。
アラジ師はバグダッド北部で影響力を持っており、市中心部のホテルで取材を受けた後、屋外に出ようとしたところ米兵に制止された。そのままホテルの上階に連行され、米軍の尋問を受けた。
サドル師のテレビでの強硬発言は、この拘束劇に対する抗議を示すものと見られる。
サドル師としても、ブッシュ大統領に「厳しい1週間だった」と言わせしめた騒乱を戦い抜き、その存在感を内外に十分にアピールしたという自負はあるはずで、これ以上の騒乱継続はいたずらに米軍のサドル師排除意思を刺激するだけとの判断はあろう。
米軍側も「今の事態をいったん収めたい」との思いが強まっている。アビザイド米中央軍司令官は12日、サドル師の「逮捕か殺害」方針を明言する一方で、「イラク流の解決に落ち着くだろう」とも述べ、政治解決に含みを残している。スンニ派三角地帯のファルージャで泥沼の掃討戦に引き込まれた結果、「無条件停戦」まで打診しながら、スンニ派主流の調停努力を見守っている米軍にとって、南部戦線再燃はこれに呼応したファルージャの武装勢力の活動激化を招きかねない上、外国人誘拐の頻発で内外に広まった治安悪化、ひいては占領統治の破たんという印象をさらに強めるという危機感があるからだ。イラク情勢は沈静化か騒乱再激化かの大きなヤマ場にさしかかった。
[4月14日0時0分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040413-00000112-yom-int