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13日付核心
人質事件のカギは『ファルージャ』?
反米派が誘拐戦術か
米軍は今月に入り、バグダッド西方五十キロの町ファルージャで、猛攻を開始。市民ら六百人以上が犠牲となったといわれる。「イラク邦人人質事件」の人質三人も七日、この周辺で誘拐された可能性が高く、今回の事件の背景として、このファルージャ攻撃が浮上。事件解決のカギもそこにありそうだ。
■スペイン総選挙後『世論通じ圧力』に変化
「サラヤ・ムジャヒディン(戦士旅団)」を名乗る武装グループは、八日にカタールの衛星テレビ・アルジャジーラが報じた声明でファルージャでの米軍などとの戦闘に触れている。
十一日には、真偽は不明だが、犯行グループとの仲介役を務めているというモズヘル・ドレイミ氏が同テレビに登場。「(逢沢一郎)外務副大臣のファルージャ訪問」などを要求する犯行グループから託されたとする声明を明らかにした。
日本人人質三人が拉致されたのはファルージャ周辺とみられ、犯行グループはファルージャを拠点とするスンニ派の反米組織の可能性が強い。
イラクの抵抗組織は、先月のスペイン総選挙でイラクからの軍撤退を公約に掲げた社会労働党が勝利したのを受け、連合国の世論を通じて各国政府に圧力をかけるため、兵士への直接攻撃から戦術を変化させている。
さらに、米軍が戦闘機などを投入してファルージャでの掃討作戦を強化したことも、抵抗勢力側の戦術に影響した。
バグダッド大のサルマン・ジュマイリ教授(政治学)は「ファルージャへの米軍攻撃を弱めさせようとして、誘拐がエスカレートしている。多くの聖職者が『あらゆる手だてで人々と町を守れ』と呼び掛けたことで、抵抗勢力は外国人の誘拐を思いついたのだろう」と話す。
イスラム聖職者協会幹部のアブダルサラーム・クバイシ氏は、本紙に「われわれは抵抗勢力に『民間人を傷つけるな』と呼び掛けた」としながら、「ファルージャで行われているのは(イラク市民による)攻撃でなく防衛だ。米軍は攻撃ヘリやミサイルで攻撃してくる。組織に関係なく、すべての市民が抵抗している」と強調した。
一般住民も巻き込んだ「抵抗」活動。人質事件が頻発し、解決が困難なのも、その辺りに理由がある。 (カイロ・嶋田昭浩)
■米国人襲撃映像きっかけに米軍猛攻
米海兵隊によるファルージャ猛攻撃の発端は、先月三十一日に米国人四人が反米武装勢力に襲撃、殺害されたことへの報復だった。
この襲撃では、群衆が黒こげになった米国人の遺体を車で引きずり回し、橋からつるした。その映像は全米に衝撃を与えた。
この映像をテレビで見たブッシュ米大統領は今月二日、「われわれは悪党や暗殺者たちに脅迫されることはない」と、反米武装勢力との対決姿勢を鮮明にしていた。
米海兵隊がファルージャに投入され、掃討作戦を開始したのは五日。町を戦車や装甲車で包囲し、市内に入る道路はすべて封鎖した。この道路封鎖で、今回人質となった邦人三人は迂回(うかい)を余儀なくされ、誘拐された。
米軍はジュネーブ条約で保護対象のモスク(イスラム教礼拝所)に対しても「宗教施設を軍事目的に使用した場合には保護対象とならない」(イラク駐留米軍のキミット准将)と、攻撃を加える徹底ぶりだ。
米軍は十二日、武装勢力との停戦交渉を続けているが、この交渉でも、四人を襲撃した犯人や、遺体を損傷した容疑者の身柄引き渡しを求めているとみられる。
ファルージャは、米国主導の占領統治への反発が強い「スンニ・トライアングル」の一角。米軍の執拗(しつよう)な攻撃には、この地域で手ぬるい対応をすれば、イラク全土で反米運動を勢いづかせ、ブッシュ政権が六月三十日に予定している主権移譲が困難になるとの危機感も背景にある。 (ワシントン・豊田洋一)
<メモ>イラクの部族
イラクの部族はイスラム教の宗派や地域、血族関係によって多数に分かれており、それぞれの結束が固い。部族内部の問題収拾では、部族長ら有力者が大きな影響力を発揮する。
日本政府が働き掛けを模索しているのは、イスラム教スンニ派に属し、旧フセイン政権時代以前から国軍の主要な軍閥を輩出するなど、政権中枢にも影響力を持っていた部族。中部ファルージャやラマディなどを居住地域とし、スンニ派反米勢力の中核部族の一つとみられており、イラク国内では統治評議会や連合国暫定当局(CPA)の統制が及ばないほど強い勢力を持つとされる。 (共同)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040413/mng_____kakushin000.shtml