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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040412ig90.htm
今なお人質が解放されないのは、極めて残念だ。イラクの日本人三人人質事件の発生から、既に四日が過ぎた。
いったんは人質解放の情報も流れたが、その後は解放に向けた動きもない。情報も錯綜(さくそう)し、こう着状態のままだ。
小泉首相は、来日中のチェイニー米副大統領と会談し、事態の早期解決に向けて、日米が協力することで一致した。
日本政府は、米国やイラクの連合国暫定当局(CPA)、宗教指導者、地元有力者らに協力を求めつつ、人質解放へ、粘り強い努力を重ねる必要がある。
日本政府は、武装グループの「自衛隊撤退」要求を一貫して拒否している。当然である。
イラクでは、六月の政権移譲に向け、国際社会が結束し、イラクの新国家建設に全力を挙げている。自衛隊はその一環として、サマワで浄水・給水、医療などの人道復興支援に努めている。
日本が今、自衛隊を撤退させるようなことがあれば、国際社会の結束が瓦解(がかい)する引き金にもなりかねない。国際的に大きな衝撃が走るだろう。日本には、自衛隊撤退という選択肢はない。
「自衛隊が派遣されたから、人質事件が起きた」「日本は米国に政策転換を求めるべきだ」という声がある。「自衛隊撤退をためらうべきではない」という主張もある。それ自体が、テロの要求に屈する論理である。
三人の人質解放問題と、日本のイラク政策は、峻別(しゅんべつ)する必要がある。人質解放問題によって、日本の国益にかかわる重要な政策が損なわれるような事態は避けなければならない。
人質の家族の言動にも、いささか疑問がある。記者会見で、公然と自衛隊の撤退を求めていることだ。
人質の安全を望むのは、家族として、当然だ。だが、武装グループの脅しに応じ、政府の重要政策の変更まで求めることが、適切と言えるだろうか。
日本は容易に脅迫に屈すると見られ、日本人へのテロや誘拐を誘発する危険がかえって増大する。
事件の再発防止にも努めたい。
政府は、昨年来のイラクからの「退避勧告」に加え、今年だけで十三回も注意喚起の情報を出し、民間人の退去を求めている。三人は事件に巻き込まれたのではなく、自ら危険な地域に飛び込み、今回の事件を招いたのである。
自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任な行動が、政府や関係機関などに、大きな無用の負担をかけている。深刻に反省すべき問題である。
(2004/4/13/01:43 読売新聞 無断転載禁止)