現在地 HOME > 掲示板 > 戦争52 > 1109.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
社説:米英首脳会談 「国連主導」の約束は重い
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040418k0000m070117000c.html
ブッシュ米大統領は16日、ブレア英首相と会談、イラク主権移譲の受け皿となる暫定政権づくりについてブラヒミ国連事務総長特別顧問がまとめた構想を「広範なイラク人に受け入れられる案として歓迎する」と述べた。
大統領は「アナン国連事務総長の協力とブラヒミ氏の重要な任務に感謝する」とも語った。ブレア首相も「日程を厳守し、自立と復興へ国連が中心的役割を担う」など主権移譲へ向けた五つの戦略を明示した。
ブッシュ大統領は今年1月、現地情勢が緊迫化し始めたことからアナン事務総長と懇談し、主権移譲プロセスに国連が主導権を発揮するよう要請していた。
14日公表されたブラヒミ案は2月の現地調査と今月4日以降のイラク人の意見聴取を経てまとまったものだ。(1)イラク統治評議会に代わって各勢力を代表する暫定政権を5月中に樹立(2)主権移譲後、アフガニスタン型の国民大会議を招集して暫定議会を選出(3)来年1月に自由選挙で制憲議会を選出する−−などを骨子とする。
ブラヒミ案を受けた形で、米英首脳が一致して国連の役割に信頼と協力を表明した意義は大きい。過去のいきさつは別として、国連を主体に国際協調を軸に据えて主権移譲、復興、治安回復を進める方向へ米英が明確に戦略を転換したものとして歓迎したい。
主権移譲の期限である6月末まで80日を切った。スンニ派やシーア派強硬派などとの衝突は収まらず、外国人拉致や占領軍、住民側双方の犠牲も増えている。円滑な主権移譲を妨げる勢力の攻撃は今後も多発するだろう。そう覚悟せざるを得ない情勢だ。
しかし、大多数のイラク人や国連、世界が求める主権移譲と復興を成功させるためには、ブラヒミ案を進める以外に道がないのも事実だ。米英首脳の発言も、国際社会との協力と連携なしにはイラクを正常化できないとの認識に立った結果と言っていい。
とはいえ、主権移譲と復興の大前提となる治安確保は米英占領当局の重い責任だ。治安回復には武装勢力の抑止だけでなく、背景にある住民の不満や反感にも配慮するなど硬軟両様の政治的知恵を忘れないよう注文しておきたい。
ブラヒミ案も細部は詰まっていない。この面でも米英は国連、住民各派、宗教組織、統治評議会などとの密接な連携や相互の対話と協力を欠いてはならない。
ブッシュ大統領とブレア首相は「困難な仕事だが、決して背を向けずにやりとげる」と約束した。その言葉を行動で示すように、日本を含む国際社会が側面からしっかりと支えることが必要だ。
両首脳は、イラク人やアラブ諸国民の心にわだかまっているパレスチナ問題で、新中東和平案(ロードマップ)の誠実な履行に努める姿勢を再確認した。イラクの未来と中東和平は現実面で密接に連動している。この問題についてもブッシュ、ブレア両氏は国連の役割をきちんと認識し、公正な解決を果たしてもらいたい。
毎日新聞 2004年4月18日 0時41分