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サンデー毎日
戦争狂「ブッシュイズム」の徹底研究
ブッシュ大統領”笑撃”「語録」付き
http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/sunday/2003/0223/tokusyu1.html
米国がイラクに実質的な開戦の恪ナ後通牒揩突きつけた。いまや世界の目は、ブッシュ米大統領に集まっている。彼は何のために”戦争”を仕掛けるのか。そのヒントが、「ブッシュイズム」と呼ばれる彼独特の”特異な発言”にある。そこで、ブッシュ発言の背景を徹底研究してみた。
「サダム・フセインが兵器を隠している『否定できない証拠』がある」
パウエル米国務長官は、2月5日に開かれた国連安全保障理事会で、やや緊張した面持ちながら、強い口調でそう述べた。続いて、録音テープの会話が流された。イラク軍幹部兵士の会話を盗聴録音したものだ。ざらつく音声の中、2人の男たちの会話はこうだ。
「君は何か残したままにしているのではないか」
「すべてを運び出しました。何も残っていません」
パウエル長官はこの会話について、禁じられた改造車両や神経ガスを隠したことを語った部分だと指摘した。その他にも、別の会話を傍受した記録や生物化学兵器の製造工場に関する衛星写真など、大量破壊兵器の開発を示す”新証拠”として提示した。その上でパウエル長官は、
「イラクは正直に申告し、査察団に従うというテストに不合格になった。(このままではイラクは)深刻な結果に直面する」
と、戦争の決断が近いことを強く示唆した。まさにイラクへの”最後通牒”、そして、国際社会に対しては戦争の正当性をアピールしたわけだ。イラクはもちろん「証拠はデッチ上げ」と反発したが、各国はどう受け止めたのか。
まずは日本。小泉首相は早々と、「疑惑は深まった。国際社会の一員として、同盟国として責任ある対応をしていかなければならない」と表明した。
平和的解決を求めてはいるが、米国が武力行使に踏み切った場合は、政府として「支持する」と表明したのに他ならない。
他国はどうか。ドイツのフィッシャー外相は、「証拠は注意深く調べる必要がある。平和的解決を求めるべきだ」と述べ、ドビルパン仏外相も、「査察要員を3倍に増やし、査察を強化すべきだ」と言う。
独仏両国が元々攻撃に反対であることを差し引いても、小泉首相と比べ、かなり慎重な姿勢がうかがえる。
いったいなぜか―。
立教大のアンドリュー・デウィット助教授(政治経済学)は、
「たしかにパウエルの説明は説得力があった。1年前なら劇的な効果もあったろう。だが、ブッシュ政権がこの間流してきたイラクに関するさまざまな疑惑は、国際原子力機関をはじめCIAにさえ反論されたような代物で、国際世論は非常に懐疑的になっている。今回は、いくつかの説得力のある画像、録音を提示したが、画像の一部はコンピューターで作成されたものであり、録音も重要な証拠と言うわりには『数週間前』の録音などと不明確だ。中、露、仏など各国のコメントを聞いても、単純にブッシュ政権の主張を信じる国はありそうにない」
と分析する。となると、日本の”突出”ぶりがより目立つ格好だ。
さらに、米スペースシャトル「コロンビア」の惨劇が、反戦ムードが漂い始めた米国の世論をガラリと変える可能性もあるといわれる。ブッシュ大統領は会見で「(事故の)悲劇を見たが、そこには希望がまだ存在する」と訴え、米国での支持率は上昇した。
国際問題評論家の小関哲哉氏は、こう見る。
「米国は、悲劇や国難に直面すると、国民が一つにまとまり愛国心を発揮するという傾向がある。チャレンジャー事故(86年)の時のレーガンはそれを景気回復に向かわせ、成功を収めた。今回、それをイラク開戦の方向へ向かわせる可能性は薄いと思う。ただ、国民はいざという時は、何があろうと大統領の下に団結する」
厳しい表情でイラクを非難するブッシュ大統領=ロイター
「田舎者を装い国民にウケる」
米国の象徴が大統領たるゆえんだろう。そのブッシュ大統領にまつわる「ブッシュイズム」なる新語を、最近よく耳にする。
ブッシュイズムとは、同大統領の意味不明な言動や珍妙な発言を指したものだ。
米国の雑誌の寄稿者が、同大統領のそうした発言をまとめて出版したのが大いにウケて、いまや全世界に何千というブッシュイズムのサイトがあるという。
では、ブッシュイズムとはいかなるものなのか―。次ページにその発言の一部をまとめたが、まずは、とくとご覧いただきたい。
思わず爆笑してしまう発言の連続である。大統領選挙の時からブッシュ発言に注目し、『ブッシュ妄言録』(ペンギン書房)を出版した村井理子さんが話す。
「大統領選のディベートを見ていたら言っていることがむちゃくちゃで、『まさか当選しないだろう』と思っていたら勝ってしまった。これからもとんでもないことを言うぞ、と注目していたら案の定だった」
さらに村井さんは、ブッシュ発言の特徴を指摘する。
「米国の不況をどうしたらよいかと聞かれ『低所得者に金を与えたらいいんだろ』と答えてみたり、『ブラジルにも黒人はいるの?』と言ったり、差別的で残酷な面を持った人。一方で、テキサス州(大統領の出身地)のことしか知らない田舎者を装い、国民に好かれる演出はうまい。アメリカ以外はどうでもよいと思っている人間が、世界を動かす大国のトップにいるのだなと感じる」
放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏も、
「まさに長嶋茂雄的な言葉の面白さですよ。ブッシュは親の七光りで一流大学に行った。頭は悪くないと思うけど、しゃべりが淡泊で表現力がない。(ブッシュ語録は)かなり変わった英語教材かもネ」
と皮肉る。だが、笑ってばかりもいられない。ブッシュ発言からは”独り勝ち超大国”の指導者としての能力の欠如が読み取れるからだ。
左からブッシュ、ラムズフェルド国防長官、チェイニー副大統領の面をつけ反戦をアピールする米国市民
米海兵隊勤務の経験がある、元津田塾大教授(政治学)のダグラス・ラミス氏は、こう断じる。
「彼はキリスト教原理主義者。世の中には善と悪しかない、と思えるほど物事を単純に二元論で分けている。イラク攻撃にしても、世論や欧州諸国の反対意見を無視してよいと考えている。妙に自信を持っており、こんな人間が権力を振るうこと自体、とても怖い」
ワシントン在住のあるジャーナリストも、こんなエピソードを紹介する。
「ブッシュが子供たちに、悪と戦うとはどういうことかと聞かれ、『老人ホームに行ってボランティアをするようなこと』と答えた。非常に単純な論理しか持ち合わせていない。しかし、国民にウケる。バカのふりをした策略家か、本当のバカか、判断がつかない」
イラク攻撃も、こうした二元論で結論が導きだされるとすれば、国連安保理でのスピーチや査察結果を待つまでもなく、結論は出ているということになる。
東京大の猪口孝教授(政治学)が話す。
「イラクは大量破壊兵器を作っていて、間違いなく悪い。これを平和的に解決するのが外交だが、米国のリーダーたちは、戦争をやってからでないと、物事を前には進めないようだ。とりわけリーダーのブッシュはそうだ。いまのところ、一定の手続きは踏んでおり、戦争はダメだと決め付けることもできない状況だ」