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【バグダッド=岡本道郎】イラクの日本人人質事件は、犯行グループとされる「サラヤ・ムジャヒディン(戦士隊)」が10日夜(日本時間11日未明)、「24時間以内の解放」を予告したものの、11日夕(日本時間同日夜)になって、別の人物を通じて、人質解放に新たに3条件を提示したと伝えられた。
いずれの情報も真偽は確認できないものの、イラク中部ファルージャでの米軍の戦闘中止を求めている。どちらの声明が本物であるにせよ、犯行グループがファルージャ周辺に足場を持ち、人質を、ファルージャでの戦闘を左右する交渉カードと意識している可能性は高い。
武装グループがカタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」に送った人質解放予告声明は、直接的には、スンニ派信徒にとって宗教的権威である法学者組織「イラク・ムスリム・ウラマー協会」による、「占領協力者ではない外国民間人は釈放すべき」との呼びかけに応じたとしている。また、声明には、同グループが、「米国が広島、長崎と同じことをファルージャで行っているとの日本の街の声」と「家族の痛みおよびこの問題への日本の人々の立場」を考慮して解放を決定したと述べ、日本世論の分断を図ろうとの意図がうかがえる。
しかし、11日にアル・ジャジーラに対してミズハル・ドレイミ・イラク人権擁護協会会長は、人質解放の行方がファルージャでの米軍撤退に強く関連していることをにおわせた。日本の外務副大臣によるファルージャ視察、日本政府のイラク国民の大義に対する公式見解表明と謝罪、自衛隊撤退という3条件は、10日以降、統治評議会やウラマー協会などが仲介している、米軍とファルージャの武装勢力間の停戦交渉の難航と無関係ではあるまい。
ミズハル会長の証言が事実であるとすれば、一つの推測として、犯行グループが「日本で自衛隊撤退の世論が高まり、政治的効果が上がった」としたのに対し、「米軍のファルージャ撤退」をあくまで主張する周辺の武装勢力が解放は「時期尚早」として抑えにかかり、新たな条件を突きつけ解放交渉の仕切り直しに出たとの見方も成り立つ。一方で、犯行グループではない組織が事態紛糾を狙い、独自のルートでミズハル会長に接触した可能性も否定できない。いずれにせよ、ファルージャでの戦闘の行方は、人質解放に有形無形の影響を与えそうだ。
(2004/4/12/02:41 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040411id26.htm