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<イラク人質>解放の背景に「反イスラム」とのスンニ派見解
【バグダッド小倉孝保】日本人3人を人質にした「サラヤ・アルムジャヒディン」を名乗るグループが3人解放の意向を表明した背景では、その直前にイラクのイスラム教スンニ派の権威が「米国の協力者でない人質は解放すべき」との見解を示していたことが大きい。犯人グループは、日本政府に自衛隊撤退の意思がないと判断。これ以上、無実の市民を拘束、殺害すれば、反イスラムの批判を受けると判断し、人質解放を決断したとみられる。
3人を人質にしたグループは、イスラム戦士軍団を意味する「ムジャヒディン」という名を使っていることから、イスラム教を強く意識した組織とみられていた。3人がファルージャ付近で拘束されたとみられることからも、このグループはスンニ派の集団との見方が強かった。
しかし、事件発生直後から、世界のイスラム教権威の多くが、無実の市民を人質にとるやり方を反イスラムとして非難。犯人グループは、イラクで一般市民が米軍に殺害されていることから、日本人の拘束もある程度の理解を得られると踏んでいた可能性があるが、イスラム界はこうした行動に理解を示さなかった。
また、この日、イラクのスンニ派の権威機関「イスラム・ウラマー協会」のアブドル・サラーム・アルコバイシ師が、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」で「イスラムは市民を人質に取ることを禁止している。米国の協力者でない市民は解放すべき」と述べ、今回のような犯罪は許されないとの立場を鮮明にしていた。
犯人グループは、イスラムを強く意識している分、自分たちの行為が反イスラムとされれば、正当性がなくなる。イスラムでは、異教徒であろうと、市民を誘拐したり、殺害することは禁じられている。「占領を終わらせるためやむを得ない手段」という論法もイスラム権威に否定されれば、宗教悪(ハラーム)ということになる。宗教心の強いイスラム教徒ほど宗教権威の見解を尊重する傾向が強く、犯人たちはアルコバイシ師の要請に応える形で人質解放を決めたとみられる。
また、犯人グループは日本政府が自衛隊を撤退しないとの強い意志を表明したことで、目的遂行は困難と判断。さらに、一般のイラク人は日本人への親近感を感じている上、人質になった3人がイラク市民のために活動するボランティアやジャーナリストでもあったため、一般イラク人の支持も得られない考え、早期の解放が得策と判断したとみられる。
(毎日新聞)[4月11日8時26分更新]