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イラク・人質――米国に自制を迫れ
何もできずに時間が過ぎていくのがもどかしい。
3人の日本人を人質とした武装勢力が設定した期限が今夜に迫った。政府の努力にもかかわらず、今のところ、事態打開の糸口すら見えない。
3人がイラクの人々を助けようとしていたことを伝えようと、知人やNGOの仲間が声明を中東の放送局に送った。
この時期のイラク入りが余りに危険であったとしても、国民の多くは3人のその志に共感し、解放を祈っている。そして、なぜ日本人が憎悪の対象となってしまったのか、考え込んでいるだろう。
小泉首相は自衛隊の撤退という犯人の要求を拒絶した。それはそれで苦しい決断に違いない。しかし、肝心なことを忘れていないか。人質事件に象徴される反米活動の激化の根っこに、軍事力にものを言わせた米国の占領政策に対する反発がある。こうした政策の転換を米国に一刻も早く迫ることである。
現実を曇りのない目で見てほしい。
ファルージャでは、米軍の掃討戦で1500人ものイラク人が死傷した。占領当局の下にある統治評議会内部からも「集団殺害」と非難する声があがった。
シーア派との戦闘が広がり、「有志連合」として参加した外国軍も交戦や後退を強いられている。ストロー英外相が、1年前のフセイン政権崩壊後「最も深刻な状況」と語ったのは当然である。
タイ政府が「撤退もあり得る」と表明するなど「有志連合」も動揺している。ブッシュ大統領は電話で各国首脳に駐留の継続を要請した。それが奏功したとしても衝突の拡大を抑え切れまい。6月末の政権移譲も暗雲に包まれている。新しい暫定政権の軸となるはずの統治評議会議員にも辞任の動きが出始めた。
もともと誤った戦争だった。そこから始まった事態を今から改善するのは容易ではない。まして米国が力の占領政策を続け、各派と外交的な解決に乗り出さないなら、状況はひどくなるばかりだ。
さらに、日本だ。もしこの戦争を支持せず、自衛隊を送らなかったら、日本人がこんどのような人質事件に巻き込まれる危険はけた違いに小さかったろう。国民にはそんな思いが強まっている。
これらのことを米国にはっきり伝え、方向の転換を求める。それは、米国への同調を最優先してここまで来てしまった首相の国民に対する義務であろう。
人質事件の期限切れを前に、チェイニー米副大統領が来日した。何という皮肉なタイミングだろうか。日米同盟の強化や自衛隊の駐留継続を小泉首相と確認しようとしている。だが、このことが犯行集団を刺激する恐れがある。
首相は明日に予定される副大統領との会談を今日に早めるべきだ。そこで、米国の自制と政策転換をはっきりと求め、歴史的にも今もイラクの人々を日本は敵視していないことを宣言してはどうか。それが犯人に伝われば、人質の解放を促すことにもつながらないだろうか。
http://www.asahi.com/paper/editorial20040411.html