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副島隆彦です。 今日は、2004年4月9日です。
アルル君の書評論文の冒頭に、私が割り込みで、昨日起きたイラクでの日本人三人の拘束・人質事件=自衛隊のイラクからの撤退要求問題 について、私の考えを書きます。まず、基本的な事実報道から載せます。
(転載貼り付け始め)
3邦人イラクで人質、自衛隊撤退を要求
読売新聞 2004年4月9日
カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」は8日午後(日本時間同日夜)、「サラヤ・ムジャヒディン(戦士隊)」と名乗る組織が日本人3人を拘束したと報じ、3人の様子が映ったビデオ映像を流した。この組織は自衛隊が3日以内にイラクから撤退しなければ3人を殺害すると脅迫しているという。
これに対し、日本政府は3人の即時解放を求めるとともに、自衛隊については撤退しない方針を明らかにした。イラクでは8日、このほかにも外国人が人質に取られる事件が次々と明らかになった。
【バグダッド=岡本道郎】 アル・ジャジーラが放映したビデオによると、拘束されたのは、劣化ウラン弾の廃絶などを訴える団体の代表を務めるフリーライター今井紀明さん(18)(札幌市西区)、イラクで薬物中毒の子供たちを支援していた高遠菜穂子さん(34)(北海道千歳市)、宮崎県出身のフリーライター郡山総一郎さん(32)(東京都杉並区)。
今井さんと高遠さんは4月初め一緒に出国。郡山さんは週刊朝日(朝日新聞社)にルポを寄稿していた経験を持ち、同社発行の入館証を所持していた。ビデオには、目隠しをされた3人の様子やパスポート、身分証明書などが映っていた。
「戦士隊」は無名の組織で実体は不明。ビデオは8日、アル・ジャジーラのバグダッド支局などに届いた。撮影の時期、場所や拘束の経緯は分かっていない。アル・ジャジーラには自衛隊の撤退を要求する声明も届いた。声明は「我々はイラクのイスラム教徒の息子たちだ。あなたたちは友人だと思っていたが、米国を支援した」としたうえで、「2つの選択肢がある。軍を撤退させるか、我々が3人を焼き殺すかだ」としているという。
[ 読売新聞 2004年4月9日2時19分更新]
(転載貼り付け終わり)
動画直リンク(日本では放送されていません)
副島隆彦です。
結論から書くと、私は、日本の自衛隊は、どうせ撤退しなければ済まないと、思う。どうせならさっさと引き揚げるべきである。
それが出来ないで、このあともズルズルと現地サマーワに居座って、砂漠の中に陣地(インディアン砦)を築いて、いよいよイラク国内の各派の武装勢力と戦闘状態に入ってゆく、というなのなら、小泉政権は次第に追い詰められて、崩壊するだろう。そのあとの日本政府も、どうせ、だらしない対米追随の、情けない対応に終始するであろうことまで、確実に予想できる。日本はアメリカの忠実なる属国であるからだ。
日本国民の多数(80%以上)は、はじめから自衛隊のイラク派兵には反対だった。それなのに、小泉純一郎の内閣は、アメリカ帝国の言いなりになって、その忠実な属国となって(同盟国 an ally アライ とも言う) 、アメリカ帝国の命令に、諾々と従って、属国群に向けて発令された、軍事人足(にんそく)出動命令に従って自衛隊員を、現在、550人派遣している。
私、副島隆彦は、日本の民間人・国家戦略家として、昨年の11月のフジテレビの「報道2001」でも、はっきりと、次のように言った。
「日本が、アラブ=イスラム教徒を敵に回して戦う必要は一切ない。ここまで経済国力を落としている日本は、何も威張って、’国際平和活動への貢献’ など言わなくてもいい。自分の国をしっかり守っていればいいのであって、外国にまで軍隊を出してはいけない。」 と私ははっきり言った。 ここのぼやきの「500」番を参照してください。
外国にまで、軍隊を出したら、その国にしてみれば侵略行動である。「復興支援のための活動だ」とか、「平和のための自衛隊の派遣だ」とか福田官房長官は言う。本当に、そういう言葉を、自分で信じて言っているのか。今朝、テレビに出ている、志方(しかた)元自衛隊幹部は、「イラクの 子どもたちを助けるために自衛隊が派遣されいる」という、言葉を、上(うわ)ずった感じで使っていた。全く哀れなものだ。
最も不愉快な人物である、森本敏(もりもとさとし)氏も、やっぱり今朝のテレビに出ていて、他人事のようなことを言っていた。森本敏は、私、副島隆彦の属国理論を一番初めから、泥棒して、テレビ番組で、公然と、とうとうと述べた人物だ。性悪”御用(ごよう)”言論人の典型である。
私、副島隆彦が、日本の言論界でもつ独特の重みを自覚せずに、歪曲した属国理論を、さも自分で思いついたように、3年ほど前からしゃべっている。森本敏は、例のとおり、「日本政府は、テロリストたちに対して毅然たる態度をとるべきだ」とか、「この先のことを考えると、さらに困難な事態が予測されるが、それに対する準備は出来ているのか」というような、完全に、自分たちのこれまでに言論責任を放り投げた、空とぼけた態度だ。
全くもって、哀れなものだな。テレビ局の各局の、ニューズ報道部門の責任者たちの責任問題も出てくるのだ。そのことを、今は、厳しく自覚しなさい。小泉政権が、ブッシュ政権=ネオコン派戦略に、ひきづられて、属国としての卑しい政策判断をして、ここまで、アメリカの言いなりになって、輜重(しちょう)兵=軍事人足活動に従事させられることを、やむをえないことだ、として、政府(小泉政権)の言いなりになって、それで、自衛隊のイラク派遣問題に関して、報道管制、報道統制を強いてきた。そのことを自省し、国民に謝罪しなさい。
体(てい)のよい、自分たちに都合のよい、愚かなポチ保守(アメリカ・グローバリストの手先ども)たちばかりを、テレビに出して、それで、日本国民を扇動している。
そして、こうやって、ずるずると深みにはまってゆく。「同盟国であるアメリカとの痛みを分け合う。一緒に血を流して始めて同盟関係だ」と、この後もずっと、言い続けろよ、この大根役者たちは。態度を、ふらふらと変えて、まるで他人事のように、「一体、小泉政権は、この厳しい局面をどうやって乗り切る気でしょうか」かなどど抜かすと、承知しないぞ。
そうではなくて、「自衛隊は、最後までイラクに踏みとどまって、テロリストたちと、戦い続けて、最後の一兵まで勇敢に戦い抜いてほしい。そのあとに、私たちも続く。そうであってこそ、日本男児だ」と、言え。言い続けろ。この脳タリンの、浅はか人間たちめが。
今の日本のだらしなくなりつくした、政治家たちにしても、あんな、軟弱なやつらでは、どうにもならない。アメリカの手先になりつくして、自己判断力も一切なくして、「とにかく、寄らば大樹(=アメリカ)の陰」で、やっている。私たちは、早急に、本気で、日本国民の利益と安全を守り通せる、自分の命を的にしてでも国民のために闘える、本当に民族指導者(国民政治家)と呼べる若い政治家たちを育てなければならないのである。
私は、書き続けたはずだ。「いいかと思って、他国に軍隊を送ったら、自分の国にも、相手から軍隊(ゲリラ部隊)が送られてくるのですよ。どうして、そういうことも分からないのですか」 と私は書いてきた。甘ちゃんの、いい気な親米一辺倒の、自分では「現実主義者」だと思い込んでいる、甘(あま)ちゃんの ポチ公現実主義者たちが、日本を支配している。愚か極まりない現状だ。
アメリカは、イラクを昨年3月10日に攻撃開始(開戦)して4月に制圧して占領したときに、イラクの政府そのものを崩壊させた。だから、イラクには今も政府がない。自分で、自分の交渉相手を全て認めず、崩壊させたということが、アメリカの傲慢(ごうまん)さだ。
イラク国民にしてみれば、ここまで自分たちの民族のプライドを傷つけられて、降伏(停戦)協定も、講和条約(平和条約)の当事者とも認められなかった。国際社会で、ここまでの侮辱をアメリカは、イラクに与えたのだ。その報いが今、イラク国内がばらばらで、各勢力ごとに襲い掛かってくるという事態を招いたのである。稚拙(ちせつ)を通り過ぎた他国管理である
この3月11日に、スペインで朝の通勤電車での爆破テロがあって200人が死んだときに、私は今度出した新刊書にかかりきりになっていたが、あのときに、「やはり、アメリカ帝国は衰退、瓦解の過程に入った」と判断した。非対称戦争(ゲリラ戦争)の時代には、帝国の圧倒的な軍事力をもってしても対応できない。それと、日本で、自衛隊のイラク派遣に賛成した日本国民が考えたことのもつ、人間として卑怯さや、愚劣さ、ということだ。
「自衛隊員は、何人か死ぬかもしれないが、(自分で志願して行ったのだし、一人2億円でるそうだから)仕方が無い。それよりも日本の国際貢献(本当は、アメリカの命令に従うこと)が大切だ。自分たち日本にいる人間たちは、安全で、死ぬことはないのだし」と、考えただろう。 このことの愚劣さを、スペインのテロ事件は、ものの見事に暴いた。
「他国に軍隊を送ったら、それは、戦争開始宣言である」 ということが、どうして、どんな学者からも一言も、口に出ないのか。一体、日本人は、どこまでアメリカ・グローバリストに洗脳されつくしているのか。
このあとに続く事態も、次々と悲惨極まりないものになるだろう。どうせ自衛隊は、撤退せざるをえなくなる。日本人には、アラブ、イスラム教徒を敵に回して戦うだけの憎しみも、脅威もない。戦争をするには、大義(cause コーズ、大きな理由)と、それから敵への激しい憎しみ=報復(仕返し)感情 が必要である。
「平和のための軍隊の派遣」「現地の子供たちを助けるための自衛隊」などと、本気で、そういう、子供じみたことを言っているポチたちに、私はいつまで、操(あやつ)られなければならないのか。
私は、この6日、7日の、NHK衛星放送の朝のBS1(ビーエス・ワン)を、朝の6時からずっと見ていたが、なんと、「イチローの出るシアトル・マリナーズの野球の試合」を延々と流し続けた。8時台まで、ほとんどニューズ報道をしなかった。いつもはやる、アメリカABCや、ヨーロッパ各国のニューズ報道をやらなかった。異例のことである。
その理由は、3月31日に、イラク中部のファルージャで、車ごと焼き殺された、4人のアメリカ人の技術者(? 本当は、CIAだろう。なぜなら、彼らの氏名を公表しない)の、黒焦げの死体を、イラクの地元の民衆が、女、子供まで出て、スコップでたたいたり、紐(ひも)にかけて路上を引きずり回したり、そして最後は電線にぶら下げたりする、映像を、世界中のテレビ局は、流したからだ。日本はついに報道統制をして、それらを一切流さなかった。「死体が傷つけられ」というコトバでお茶を濁した。
世界基準では、これらの映像は流れたのだ。アメリカのニューヨーク・タイムズや、LAタイムズや、CNNでも流した。これで、アメリカ国民は、ぞっとした。これが本当の戦争だ。
本当の憎しみの応酬とはこういうことだ。立派な軍隊が出てきて、まるで双方がサッカーの試合をするように正々堂々と戦いました、などということは無い。
さずかにアメリカ国民も、動揺が激しくなっている。「自分たちは、一体、イラクで、なんということをやっているのだろうか」という、激しい疑念が彼ら、アメリカ国民(要するに、白人たち)の中で起こっている。いくら、戦争刺激経済(war economy ウォー・エコノミー)で、対外戦争をやることで、アメリカ国内の景気を維持している今のブッシュの政策を支持してきた、と言っても、やはり、これは間違った判断と、行動だ、とアメリカ帝国内でも、反省の機運が、低く深く沸き起こっている。ベトナム戦争の末期のときと同じような感じになってきた。
1965年から67年までは、いい気になって、「自分も戦争の英雄になって、愛国者として凱旋するのだ」と思っていたアメリカの青年たちが、ベトナムの前線で、目の前で、突如爆発があって、死体が散乱する光景に出くわして、それで、1968年になると、とたんに、「自分の体が血まみれになって、飛び散るのだ」と悟って、それで、ベトナム反戦運動が沸き起こって、それで、ずるずると1975年までかかったが、アメリカはベトナムから撤退していった。
自分が本当に死ぬのだ、という切迫した状況に追い込まれないと、人間は、本気でものごとを考えないのかもしれない。私、副島隆彦は、過去の自分の体験からも、「いつでも自分が死ぬ可能性があるの中にいるという前提で、ものごとを考えるのだ」と自分に命じてきた。私は、国家戦略家として、あらゆる種類の”甘ちゃんの考え”は持たない。日本国民に対して責任をもてる言論と思想を実践してゆく。どうせ、そのうち、青ざめて、うろたえる指導者たちが、私を、”三顧(さんこ)の礼”をもって、籠(かご)で、迎えに来る時代が来るだろう。私は、それまではじっとして動かない。
以下のアルル君の書評論文も、先の奥田研究員の論文も、優れた内容である。
副島隆彦拝
(後略)