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高遠菜穂子さんのプロフィール 北海道新聞朝刊(2003年12月17日)から、コラム全文抜粋
写真は、「戦争状態が続くイラクでストリートチルドレンを支援する高遠さん=高遠さん提供」
戦火に傷つく子 救いたい
サダム・フセイン元大統領の拘束後もテロが収まらないイラクで、千歳市出身の高遠(たかとお)菜穂子さん(32)が、戦火で心と体が傷ついた子どもたちを救うボランティア活動を続けている。治安悪化で日本の非政府組織(NGO)が次々と現地を去る中、高遠さんはイラクヘの自衛隊派遣に疑問を投げかけ、イラクの人たちの生の声を日本政府に伝える活動も手掛けている。
自衛隊より雇用を
高遠さんは特定のNGOには所属していないが、イラク戦争直後の四月下旬から七月まで首都バグダッドなどに滞在。一時帰国の後、十一月中旬に再び現地入りした。
北海道新聞に届いた電子メールによると、高遠さんは現在、シンナーなどの薬物を常習する「ストリートチルドレン」を救うため、薬や食事、冬服を届けている。「欧米のNGOは薬物常習者は扱わない方針。彼らはNGOからも見捨てられている」と訴える。
現地に滞在する日本人のボランティア関係者は現在、高遠さんのほかに一人だけではないか、という。停電は日常化し、燃料不足も深刻。フセイン元大統領の拘束が発表された十四日の夜には、滞在中のホテル近くで警察車両が爆破され、部屋にいても炎の熱さが伝わってきたという。
高遠さんは千歳市内の高校を卒業後、千葉県の大学に進み、会社勤めなどを経て二〇〇〇年からインド、カンボジアなどでボランティア活動を続けてきた。「カンボジアで嫌というほど戦争の傷跡を見た」経験もあり、戦火で傷ついたイラクの子どもたちを見過ごすことができなかった。
一方、イラクの人びとの声を首相宮邸のホームページにインターネツトを通じて送り届ける活動も始めた。十一月二十九日に日本人外交官二人が殺箸された直後、知り合いのイラク人が「自衛隊が来れぱ、日本人はもっと殺される。なぜNGOや技術者は来ないんだ」と語ったのがきっかけだった。
高遠さんは「失業率が65%といわれる中、イラク人が求めているのは雇用以外にはない、と言っても過言ではありません」と強調する。
今月十二日には陸上自衛隊北部方面隊の派遣予定地、イラク南部サマワも訪れた。街のあちこちに「日本人の安全を守るのはサマワ市民の役目です」などと書かれた横断幕や紙か掲げられ、表向きは歓迎一色だった。
だが、住民と話をすると「勘違い」していると感じたという。自衛隊は武器を持たない集団と思っている人、自衛隊はエンジニアと医者、建設会社の人だと考えている人、「日本人が来れぱ、おれたちを雇ってくれる」と信じている人・・・。
「イラク人は怖いくらい日本人が大好き。自衛隊がサマワの人たちの願いをかなえてあげられないと、彼らは裏切られたと思うでしょう」。住民の期待と、現実との大きな隔たり。高遠さんは「一人の人間として何ができるか」を自問しながら活動を続けている。
武器なしで/運動場整備して
高遠菜穂子さんが首相官邸に送るため、イラク南部サマワで集めた住民の声の一部を紹介する。(敬称略)
「住民は仕事がほしい。私は日本の企業と貿易しようと考えている。日本は過去にもサマワですぱらしい貫献をしてくれた」=ムハンマド・マリツク(20)、ホテル経営
「日本人だったらだれが来ても大歓迎さ。自衛隊も軍隊も民問人も同じこと。何より日本人に雇ってもらいたいね」=アリ(27)、荷車引き
「日本に軍隊はないって聞いているよ。彼らが来ればサマワは東京のようになり、高層ビルが建つだろう」=ムビーン・アリ・ムーサ(35)、医師
「軍隊は必要ありません。米国や(サマワに駐留する)オランダと同じようなことはしないでください。友人として武器を持たずに来てください」=ムハサン・ロアリー(40)、大学教授
「日本人が来たらまず運動場を整備してもらいたい。貧しい子が多いから、ノート、鉛筆、ペンもお願いします」=イプラヒム・ムハンマど・ムスタファ(62)、教師