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(回答先: 韓国人襲撃事件の旧報道あり。キルクークからのパイプライン工事?Re: クルド? 投稿者 木村愛二 日時 2004 年 4 月 08 日 21:01:11)
件 名 : [記事紹介]クルド情勢と米国の中東戦略
差出人 : malmal
送信日時 : 2004/04/08 22:54
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岡田有生です。
韓国<オーマイニュース>国際欄から、今月6日に掲載された記事を翻訳して紹
介します。
複数のMLに投稿しましたので、重複して受け取られた方はご容赦ください。
なお、転送、転載は自由になさってください。
(以下記事紹介)
韓国、米国のクルドの賭けに巻き込まれるのか
[分析]クルド地域派兵は米中東再編戦略の気配
イ・チャンス(lcs)記者
アメリカの対イラク政策が、徐々に中東のイラン、シリア、トルコ内に潜在的
な反クルド主軸を管理しつつあり、近々に第2次派兵を控えた韓国軍がイラク北
部のクルド地域に派兵されれば、結局はアメリカの近東地域再編戦略の一つの
軸を担当する性格を持つこととなり、元来の派兵目的はほとんど失われてしま
うだろうと分析される。
最近国防部はアメリカの要請でイラク北部への派兵を検討しているが、もしこ
の地域に派兵された場合、韓国政府の意図とは関係なく、イラク近隣にクルド
人居住地域を抱えているトルコ、イラン、シリアだけではなく、アルメニア、
アゼルバイジャンとの関係が悪化することもありうる。
アメリカが韓国軍にイラクの治安任務を担当させるであろうという最初の予想
とは異なり、国際紛争地域に投入して'クルディスタン'(クルド人国家)を結成
させる戦略に利用しようとする意図があったと思われる。
クルディスタン、域内の不確実性増大
最近のクルド地域をめぐるアメリカの戦略は、イラク北部のクルド人をイラク
から分離させてクルド自治政府すなわちクルディスタンを作り、クルド人たち
が住んでいる周辺地域の統合基地として活用、近接した国々のイラク問題に対
する介入力を弱化させてクルド問題に集中させるように仕向ける一方、今後の
アメリカの近東地域における前哨基地として活用するだろうと予想される。
問題は、韓国軍がこの地域に派兵してクルド問題に介入することになると、国
益と背反するだけではなく、以後イラクに介入できる根拠が稀薄になって、最
初の派兵案国会通過当時に政府が名分として立てた国益確保は、その実現可能
性が消えるということだ。
最近、イラク北部地域は不安定性と不確実性が増大しており、軍事的な安定と
いう側面が損なわれれば国際政治的に流血の事態が引き起こされる可能性が大
きい。こうした分析は、去る3月8日に画定されたイラク暫定憲法を見れば容易
に分かる。
25人で構成されたイラク過渡統治委員会(Iraqi governing council)が通過させ
たこの暫定憲法は、2004年6月30日から、憲法制定のための国民投票日程に提示
された2005年末までイラクを統治する諸原則を規定している。この暫定憲法
は、これより何週間か前に通過することが予想されていたが、シーア派勢力が
最後の会議まで抗議してこの文書に署名するのを拒否したことが伝えられた。
イラク内のシーア派勢力が抗議する重要な理由は、この暫定憲法がクルド人に
北部3個地域(道)の統制権を実質的に付与しており、イラクの他の地域が2005年
に制定される正式憲法を支持したとしてもクルド人がこれを拒否できるように
した一規定のためだ。
それにもかかわらずアメリカは、シーア派の指導者であるシスタニ師と過渡政
府内の他のシーア派委員たちを説得して、この文書に署名させた。現在のイラ
ク過渡統治委員会には13人のシーア派委員がおり、この暫定憲法の批准を充分
に阻むことができる。シスタニ師は結局この新しい憲法を承認しないことを要
請する請願を国連に提出した。しかし、こうした抗議によってもこの暫定憲法
は変更されないようだ。
そのうえアメリカは、2005年に北部イラクにクルド自治共和国を形成するため
に予想される可能なすべての措置を取ったように思われる。事実上、クルドの
指導者たちは、2005年に正式憲法が採択される時、クルディスタンを創設する
という条項が含まれなければ批准を拒否するだろうということには疑問の余地
がない。
ブッシュ大統領は、新しい統治原則体系は主権国家を形成する路程として重要
な措置だと述べた。この暫定憲法の批准は、暴政と暴力に対するイラク国民の
闘いと自由と平和に対する要求にかなう歴史的な瞬間だと、ブッシュは付け加
えた。
しかし、そんな暫定憲法の採択過程でアメリカは、クルディスタン創設に反対
する立場を維持しているトルコの怒りをかきたてた。この新しい文書の署名に
対してトルコ政府は直ちに反応を示し、新しい憲法は域内の平和と安定をもた
らす代わりに混乱をさらに激化させるだろうと明言した。トルコは、自治地域
の創設は域内の不安定のみを生むことになるだろうと信じている。
トルコは、クルド人の主権祖国創設の意図は、単に北部イラク地域にとどまら
ずクルド人が主張して来た自分たちの大地であり南部クルディスタンと称する
トルコ領域にまで広がるであろうと警告している。
クルディスタンの亡霊が中東を徘徊する
トルコが、イラク国境と直接接する地域にクルド自治共和国が公式創立される
可能性について憂慮するのは当然だ。クルド人の脅威は、ただトルコにだけ局
限されるものではない。シリアとイランなど隣接国家でも憂慮することは同じ
だ。クルド人問題は、クルド人約2500万から3千万人がイラク、イラン、トルコ
とシリア国境地域に密集しているため、これらの国々に大きな憂慮を引き起こ
した。
そのうえクルド人の指導者たちは、これらの国々とアルメニア、アゼルバイジ
ャンのクルド人居住地域に統一クルディスタンを創設するべきだと主張してい
る。事実上、クルド人がイラク内で自治に関する法的な権利を確保されれば、
それにとどまらず単一の巨大クルディスタンの創設という過去100年間の念願を
主張する方向へ拡がることは明らかだと思われる。
クルディスタンの亡霊は、きわめて長い間中東を徘徊してきた。しかしここ何
ケ月間かは、骨格があって血が流れる生命として明確に出現している。一時期
トルコ、イラン、シリアは、一つまたはその他の地域を沈静化するために彼ら
を引き入れて脅威を牽制して来たが、いまやこれらの国々は反クルディスタン
という旗の下により接近してきている。今年初め、アメリカを訪問したトルコ
の首相は、イラクの連邦主義はトルコ、シリア、イランに深い憂慮を生じさせ
るという前代未聞の声明を発表するに至った。
クルド問題は、すでに近隣の他の国々の懸案となった。イラクに接するトル
コ、イラン、シリアの間の外交活動が急激に活発化したという事実をみれば、
それがよく分かる。シリアのバシャル・アル・アサド大統領は、過去数年間軍
事的な紛争があったトルコを1月に訪問して、歴史的な始めての首脳会談が実現
した。この訪問でアル・アサドは、トルコの合同参謀議長に対し、クルド労動
者党(Kurdish Worker's Party)に対抗して戦いを始めることを約束した。
一ヶ月後、トルコのセゼル大統領はイランを訪問して、イラン国内のクルド問
題を論議した。両国首脳は、イラク内のクルド創設を阻むことに協力する事で
合意した。言い換えればトルコ、イラン、シリアは、数百年間の敵対行為を忘
れてクルディスタン創設に対抗して団結する事にしたのだ。
"クルディスタン創設を阻め"
二つの反対の立場が、血の海で衝突するのには長い時間はかからなかった。イ
ラクで暫定協定が批准されてからわずか4日後の3月12日、シリア北部の都市カ
ミシュリでは、クルド人に対する虐殺が起きた。サッカー競技の途中で武装し
たアラブ人たちがクルド人たちを攻撃し、初日だけで50人のクルド人が死亡
し、数百人の負傷者が出た。カミシュリの虐殺は、ただちにシリアの他の地域
へと拡散した。 100人以上のクルド人が死亡し、負傷者と連行者の数字は増え
続けている。
最近開かれたクルディスタン民衆会議(Kurdistan People's Assembly;クルド労
動者党の後身)全党大会で、ガイダル・アリ代表は、クルド人虐殺が意外に早く
計画されていたと語った。彼は、警察と軍隊がこの虐殺に参加する者たちの活
動を制止しなかっただけでなく、クルド人を攻撃して大規模な連行までしたと
語った。
こうした情報は、ヒューマンライツウォッチ(HRW; Human Rights Watch)のよう
な国際人権団体によっても確認された。 HRWは、不法連行されたクルド人数百
人を釈放し、警察と軍にクルド人に対する攻撃を中止することを要求した。
シリア人たちはクルド人を単に脅かすのではなく、国境地域から追い出そうと
しているようだ。一方トルコは、シリア国境に軍隊を派遣して境界を強化して
いる。トルコとシリアは、クルド領域を明確にするために共同事業を繰り広げ
ているが、決してクルド人にイラク北部の国境地域(州)に結集する機会を与え
ようとしているのではない。
要約すれば、今後イランも遠からずクルディスタンが形成される前に、クルデ
ィスタン創設に反対する共同の戦闘に参加するだろうと思われる。
最近形成されたイラン、トルコ、シリアの反クルド主軸が、統一クルディスタ
ンの形成過程で自国の領土を求めうるかの是非を語ることは難しい。しかし明
らかなことがある。それは、アメリカ、トルコ、イラン、シリアが、クルド問
題、すなわち少なくとも域内に統制される民族集団の問題によって極めて多忙
になるだろうということだ。
クルド人の軍事的、政治的な力は、主にクルド民主党(Kurdish Democratic
Party)とクルディスタン愛国同盟(Patriotic Union of Kurdistan)とクルド労
動者党によって組職されている。これらの勢力は、周期的にその名称を変更し
ており、現在はクルディスタン民衆会議(Kurdistan People's Assembly)と呼ば
れている。
これら3派は過去20年の間、別々の旗の下に結束され、イラク、トルコ、シリア
またはイランの影響力の下に出現した。それにもかかわらず、今日クルド人は
統一的な立場を有しており、アメリカの旗の下で一緒にいることは明らかだと
思われる。
去年アメリカでは、クルド労動者党へのトルコの報復に対して軍事的に準備し
て来たという報告がなされた。これに加えてアメリカは、現在積極的にイラン
を牽制するための手段としてイラクを基盤にしたクルド構成体を支援してい
る。
そのうえイラクの暫定憲法は、アメリカが現在トルコ、イラン、シリア、アゼ
ルバイジャン及びアルメニアにかけて散在しているクルド人を、アメリカの利
益に積極的に反対する域内の国家に圧力を加えるための重要な勢力として浮上
させるための賭けとなっている。
イラク北部駐屯はクルド政府創設に同意すること
このように見る時、韓国軍がイラク北部のクルド人居住地域に進駐すること
は、結局国境守備隊の役割を果たす可能性が高くなり、トルコ、イラン、シリ
アなどとの軍事的な交戦事態も予想しなければならない状況に直面しうる。派
兵の名分がないだけでなく、イラク北部地域の派兵は、国益も実益も全くない
ままに国際的な紛争に巻き込まれる状況へと転化する可能性が高い。
もし国防部がイラク北部地域に韓国軍派兵を決めれば、これはクルディスタン
創設に同意することとなり、新しい国際紛争及び外交問題を開く序幕となりう
るものだから、全面的な再検討を行うべきだと思われる。
(記事紹介終わり)
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