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核心: バグダッド陥落1年 チョムスキー氏に聞く
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040407/mng_____kakushin000.shtml
イラク情勢はシーア派の対米抵抗が激化し、混迷の度を深めるばかり。バグダッド陥落から丸一年となる九日を前に、マサチューセッツ工科大学(MIT)のノーム・チョムスキー教授(75)にイラク混迷の要因について聞いた。同教授は二〇〇一年の中枢同時テロ(9・11)以降、米国の対テロ政策を厳しく批判してきた“反骨の知識人”だ。
(米マサチューセッツ州ケンブリッジで、寺本政司、写真も)
――戦後イラクの状況をどう見るか。
「今やテロの巣くつだ。イラク国内はもとより、イスラエル・パレスチナなど他の中東地域にもテロが拡大している。昨年ほど自爆テロが世界中で多かった年はないだろう。米国は戦争をしかけたことで、新たなテロに直面することになった」
――暴力の連鎖か。
「(9・11後の)アフガニスタン侵攻、さらにイラク戦争でテロは逆に増加した。武力行使で一般大衆が犠牲となり、彼らの不満がテロを支援したり、テロへの参加を助長するからだ。狂信的なテログループは本来、小さな組織だが、武力行使はテロリスト予備軍を増やし、テロの拡大再生につながる。テログループの思うつぼだ」
――米国は、旧フセイン政権の圧政からの「解放者」ではなかったのか。
「大半のイラク人は米国の狙いが親米政権をつくり、イラクの石油資源をコントロールすることだと知っている。米軍基地を建設し、経済を支配下に置いて、米国系の銀行や企業がばく大な利益を奪っていくと。憲法はあるが、真の主権はない。『帝国主義』下の統治と同じで、住民の反米感情が高まるのは当然だ」
――この戦争に大義はあったのか。
「テロの脅威、大量破壊兵器の存在、中東の民主化…。口実はころころ変わるが、要は何だっていいのだ。戦前の日本も中国に『満州国』をつくった際『大東亜共栄圏』という“素晴らしい理念”を掲げ、強盗やテロ行為から住民を守ると主張した。あらゆるレトリックを駆使して自らの行為を正当化する。これが帝国のやり方だ」
――唯一の超大国となった米国は世界の警察官という人もいるが。
「いや、それは警察官に対する侮辱だ。警察官の役割は人々に暴力を加えたり、支配することではない。ブッシュ政権の軍拡路線はロシアや中国にとって脅威だ。中国が軍備を増強すれば、インドが対抗する。インドがやれば、パキスタンも黙っていない。世界中が軍拡競争に巻き込まれ、核拡散の危険性は逆に増している」
――テロの定義は何か。
「米国の公式文書によると、テロとは政治、宗教、イデオロギーで人を脅すことらしい。それならイスラエルを支援し、スーダンやアフガンなどを爆撃した米国こそテロ国家の親玉だ」
「『テロとの戦い』を宣言するのは一九八〇年代のレーガン政権時に次ぎ、二度目だ。その時の顔ぶれは現在の政権中枢部とほぼ同じ。彼らのいうテロは、矛先が米国に向けられたり、米国の優位が脅かされたりする行為だ」
――それならテロにどう対処すればよいか。
「米国を含めた大国がダブルスタンダード(二重基準)をやめることだ。敵対する行為を非難し、自らの行為に目をつむってはいけない。大国がテロ行為に手を染めなければ、それだけで大半のテロはなくなる」
「『アルカイダ』のようなテログループは犯罪者として、司法の取り締まり強化で対処すべきだ。実際、9・11以降、ドイツやインドネシア、パキスタンで多くの幹部を摘発するなど成果を上げた」
「一方、われわれは(テロの背景にある)大衆の不満に対し、もっと耳を傾け、解決しなければならない。武力で対応しようとすれば、けた違いの犠牲者を生むか、皆殺しになるだけだ」
ノー厶・チョムスキー氏 米フィラデルフィア出身。ペンシルベニア大卒後、1961年から現職。言語学に画期的な成果をもたらした「生成文法理論」を提唱するなど世界的に有名な言語学者。国際政治や現代社会の批評家としても活躍、ベトナム戦争や中南米での米国の介入政策を糾弾。同時テロ後に愛国心ムードが高まる中、ブッシュ政権の対応をいち早く批判したことでも知られる。88年、京都賞受賞。75歳。