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本当の戦場は日本
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投稿者 阿部政雄氏によれば 日時 2004 年 4 月 07 日 09:27:46:U64HgXqSqqsQc
 

阿部さんは昭和3年生まれです。健在です。

ちなみに私の父親は、5年生まれです。外見は即身仏かと思うほどの痩身です。国会前に座らせて天鼓でもたたかせれば、日本山妙法寺の坊さんにもヒケをとらないほどのインパクトがあると思うのですが、、、 只の酒飲みです。

----------------------------引用ここから------------------------------------
                           日本アラブ通信 編集長
                           日本ペンクラブ国際委員
                       元東海大学国際学科講師(中東)
                                  阿部政雄
                           masao-abe@hi-ho.ne.jp
                             2004年4月6日
対中東戦略の構築をめざして(4)
      本当の戦場は日本
         ナセルの『革命の哲理』に学ぶ

 イラクの情勢が激動する中で、筆者はここ数日来、徹底した平和主義者、故ナセル
大統領が著した『革命の哲理』を無性に読みたくなった。無血革命をモットーとし、
ファルーク国王に財産まで持たせてアレキサンドリアの港から国外に出航させた。シ
リアがエジプトとの連合を破棄して反乱した時も「アラブ人がアラブ人の血を流すべ
きか」とエジプト軍を撤退させた。確か、その書の中で、ナセルは「本当の戦場はエ
ジプト」という言葉を使っていた。それを再確認したかったからだ。

 その言葉は『革命の哲理』の冒頭の部分にあった。イギリスの半植民地的王制を倒
し、新生エジプト共和国を実現しようとする秘密結社『自由将校団』を結成していた
ナセルたち青年将校は、1948年5月に始まった第1次パレスチナ戦争に派遣され
た。しかし、王宮に巣くう腐敗した武器商人に、銃砲が自分の手の中で破裂するとい
う不良品を持たされて戦場に送られたため、イスラエルと苦戦を強いられた。ファル
ーガではイスラエル軍に包囲され、殲滅の危機に立たされる。このときのことをナセ
ルは次のように語っている。

    ナセルの同志のカマール・エッディーン・ホセイン(自由将校団の一人、の
   ちの文部大臣)が「アハマッド・アブドゥ・アジ−ズ(自由将校団の一人、パ
   レスチナで活躍した愛国義勇団指揮官)が死ぬ前になんと言ったか知っている?」
   と尋ねた。
   「なんと言ったかね、彼は?」とわたしは問い返した。
    ホセインは沈んだ声で、そしてさらに沈んだ表情で言った。
   「聞きたまえ、ガマール君『われわれが最大の努力を払う戦場。それはエジプ
   トなんだ』」と・・・
    ナセルは続けて書いている。
   「ファルーガは敵に包囲され、大砲から飛行機から猛烈な集中砲撃をあびてい
   る。われわれはいま、包囲されて塹壕生活をしている。われわれはだまされ、
   準備する間も与えられずして戦争にかり出されたのだ。われわれの運命は、権
   欲と謀略と野望の犠牲に供されたのだ。そしていま、手に武器一つなくされて
   いるのだ」と。
    そこまで考えてくると、わたくしの心は突然戦線を越え、国境を越えて故国
   エジプトの上に及んでいるのに気がつくのであった。そして自分に言い聞かせ
   るのである。
   「これこそ、まさにはるかなる母国なのだ。エジプトこそ、規模の拡大された
   ファルーガなのだ。ここパレスチナで起きていることは、母国エジプトで起こ
   りつつあることの縮図にしかすぎない。」
   「母国エジプトもまた、数多くの困難な問題と敵の包囲に攻められている。母
   国もまた騙され、準備も整わないままに戦争に追いやられ、そして、その運命
   は権欲と謀略と野望のもてあそぶまま、武装するいとまもなく、敵の包囲下に
   さらされているのだ」と。(『革命の哲理』ガマール・アブド・エル・ナーセ
   ル 林昂訳 筑摩書房「世界ノンフィクション全集17より)

 筆者がこの本の中で最も感銘を受けたのは、「本当の戦場はエジプトだ」というア
ジ−ズ大尉の最後の言葉であった。この言葉は、その後長く、そして今まで筆者がひ
たすらに従事してきたアラブ諸国を中心とした国際連帯運動の主柱ともいうべき原則
であった。

 一年前に開始された「イラク戦争」も、イラクの石油資源を独占するための火付け
強盗の戦争(そしておいおい判ってくるであろうが、同時にイラクのイスラエル化を
目指すシオニストのシナリオに基ずく戦争)であった。ブッシュ政権のこの非人道的
戦争のために、どれだけ多くの罪のないイラク人が殺傷され、肉親を失い、劣化ウラ
ン弾を浴び、住居すら破壊されてきたことか。

 今、多くの日本人がイラク人の苦しみを少しでも軽減するために、多大な努力を払っ
ている。それは、まぎれもなく、不当な占領の下にあえぐ人々を救おうという、いわ
ば「義を見てせざるは勇なきなり」という日本人の優しさ、強さであると思う。しか
し、同時に、われわれにとって忘れてはならないのは、やはり「本当の戦場は日本な
のだ」ということだ。

 そもそも、この戦争で米英に「全面協力」を誓ったのは、まぎれもなく日本の首
相であった。イラク復興支援国会議では、参加した73ヶ国がその復興費用として見積っ
た550億ドルに対して330億ドルが公約された。日本が約束したイラク復興支援50億ド
ルの内訳は、無償資金協力が15億ドル、有償資金協力が35億ドル(2007年までに実施)
となっている。勿論これは、すべて日本国民の税金である。それに自衛隊の派遣費用
も財務省は、04年度予算の135億円と、03年度の予備費支出と合わせて377億円と
している。しかし、これは治安がうまくいっての話しであり、米軍の占領政策の継続
に対しては当然、民族的抵抗は激しくなっていき、占領の費用はうなぎ上りであろう。
そのツケは、国民の肩に重くのしかかってくる。

 聞くも恐ろしいが、すでにアメリカは、主権譲渡後に、4000人規模の米国大使
館を開設する準備を進めており、同時に多数のユダヤ人がアラブ人の名を使ってイラ
クの土地を買い漁っているそうだ。「イラク戦争」の真のシナリオライターはシオニ
ストたちと前にも書いたが、サダムフセインの評価はさておき、アラブの中で唯一イ
スラエルに楯つくイラクを敗北せしめた今後は、イラクのイスラエル化を急ピッチで
進めようとするだろう。当然のことながら、誇り高いイラク人の民族抵抗は、パレス
チナ人と同様に激化していくことは必定だ。

 このような悪夢の実現を食い止めるのは、現在では国連組織しかないが、その国連
を国連憲章に基づく世界平和と基本的人権を守る堅牢な牙城に育てて行かねばならな
い。そのためには、やはり「各国自身が自分の国を戦場」として、国連憲章やあらゆ
る国際法に恥じない立派な国に変えて行く努力しかない。

 かつて1970年代にイギリスの歴史家、アーノルド・トインビー教授が「パレス
チナの悲劇にたいして、全世界の人びとすべてが、たとえ僅かづつであっても責任を
持っていることを知るべきだ」と述べたのはこの意味である。

 参議院選挙を控え、5月の連休にも小泉首相が電撃的訪問をして、ポイントを稼ご
うとしているとも聞く。サマワの砦の中で、周辺のイラク人の声が、日本歓呼の声か
ら、親日ならぬ嫌日、反日へと「四面楚歌」の声に変わらぬよう、ナセル大統領の言
葉を噛み締めて欲しい。「今日も暮れいく異国の丘」に立ち、自衛隊員即時撤退まで
含め、悔いを千載に残さない策を練って来て欲しい。『革命の哲理』A4見開きで
40ページに満たない小冊子、自衛隊員の愛国心のためにも、是非配賦してきて下さ
い。国を愛する日本人ならストンと胸に落ちると思う。

 サマワと言えばメソポタミア、「2つの川の間」を意味する地から、つい「川中島
の合戦」を思い出すが、小泉首相、頼山陽の詩にあった「流星光底長蛇を逸す」にな
らないよう、中東の真の平和と復興のため、イラク派兵について誰もが納得する結論
を持って帰ってほしいと心から思う。もう「白木の箱」を見たり、「岸壁の母」など
二度と見たくない。この問題はサマワの自衛隊の問題というより、「小泉さんがブッ
シュの立場を尊重するか、日本人や世界の諸国民を大事にするかの貴方の心の問題だ」
と信じている。

阿部拝
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