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【ニューヨーク高橋弘司】国連のブラヒミ事務総長特別顧問が4日イラク入りしたが、主権移譲のあり方をめぐるイラク各派との協議は難航必至とみられる。イラクでは、占領軍がイスラム教シーア派群衆に発砲、多数の死傷者が出たことなどで、国民の反米感情が急速に高まっている。だが、主権移譲の「受け皿」づくりは見通しが立たず、6月末の主権移譲を“至上命令”とするブッシュ米政権にも明確な「出口戦略」はない。反米感情や各派の利害対立をいかに抑えるか、ブラヒミ氏にも妙案がないのが実情だ。
ブラヒミ氏は先月中旬、シーア派最高権威シスタニ師から「国連がイラク基本法を拒否しない限り、面会に応じない」とする書簡を受け取った。それにもかかわらずイラク入りした背景には、「時間切れ」を危惧(きぐ)する米政権からの圧力に加え、このまま各派の対立を放置すれば、内戦に発展しかねないとの懸念があるためとみられる。
国連の事情に詳しいシンクタンク「国際平和アカデミー」(事務局・ニューヨーク)のデビッド・マローン代表は国連の役割について「統治を主導するのではなく、各派の政治的利害を調整し、仲介役に徹すべきだ」と指摘する。
だが、仲介にあたって国民の反米感情が各派対立を激化させかねない情勢だ。シスタニ師が基本法を拒否するのは、それを「米国のお仕着せ民主主義」と見るからにほかならない。
恒久憲法草案について「三つ以上の県で投票者の3分の2が反対しない場合、承認される」とした基本法の規定は、明らかにクルド人が多いイラク北部3県に対する優遇措置だ。旧フセイン政権時代、米国はクルド人自治区に中央情報局(CIA)要員を潜伏させるなどクルド人と太いパイプを築いてきただけに、シスタニ師はクルド人を通じた米国の影響力行使を懸念する。
ブラヒミ氏は「統治のあり方はあくまでイラク人が決めるべきだ」と協議に白紙で臨む姿勢を強調する。国連筋によると、同氏は「主権移譲が少しでも遅れば、反米感情が激化、各派対立も深刻化し内戦に発展しかねない」との危機感を抱いているとみられ、選挙専門家チームは時間的制約の中、懸命の仲介を目指す。
毎日新聞 2004年4月5日 12時31分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040405k0000e030058000c.html