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[東京 9日 ロイター] イラク日本人人質事件発生から一夜明けたきょう、政府は、「在イラク邦人人質事件対策本部」(本部長=福田官房長官)を設置し、早朝から慌しく対応した。しかし、公式には、夕方になっても、「事態の解明はこれからだ」(福田官房長官)とするなど、事態打開に向けた手掛かりはいまだ見えてこない。
政府は、拉致された3人の無事救出に全力をあげるとしているが、小泉首相は、イラクから自衛隊を撤退させる考えはないと言明。菅民主党代表が首相の政治責任を追及し、各地で自衛隊の即時撤退を求める署名活動が起きるなど、就任から丸3年を目前に控えた小泉政権にとって最大の試練となっている。
<政府・与党方針、自衛隊撤退させない>
事件発生後、初めて口を開いた小泉首相は、「3人の無事救出に全力をあげる。今の時点ではこれが一番大事だ」としたうえで、自衛隊をイラクから「撤退させる考えはない」と言明した。
自衛隊派遣に伴い、民間人が巻き込まれたことへの政治責任については、「まず無事救出だ。私自身の問題ではなく、国全体の問題だ。イラクの復興支援にどう取り組むかの問題だ」と述べるにとどめ、邦人救出最優先に取り組む考えを強調した。
福田官房長官も午前の定例記者会見で、「(犯行グループは)相手を脅すことを目的としており、そうした手法に乗って対応するのはいかがなものか。彼らの思うつぼになってはいけない」と指摘、自衛隊を撤退させる理由はないとの考えをあらためて示した。
自衛隊派遣に慎重だった公明党も、午前に開いた対策本部で、自衛隊の撤退を強要される理由は全くないことを確認。人命尊重と、違法な犯罪行為によって自衛隊撤退を強要されることは別問題だとして政府方針を後押しした。
こうした政府・与党の対応に対して、全国各地で自衛隊の撤退を求める市民活動が広がっているもよう。共同通信によると、札幌市の市民団愛「ほっかいどうピースネット」など5団体がイラクからの自衛隊即時撤退を求め、署名活動を開始。日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)は、イラクの日本人人質事件について、「拘束・脅威という行為は憎むべきものだが、引き起こした責任は日本政府にある。直ちにイラクから自衛隊を撤退させることを政府に要請する」との声明文を発表した。
民主党の菅代表も、午後に年金関連法案審議のために開会された衆議院厚生労働委員会で、「テロに屈してはならないとしたが、(自衛隊派遣は)テロを広げることにつながったのではないか。小泉首相の責任だ」と、政府を厳しく追及した。
他方で、国民の生命の安全確保という首相の最大の使命を全うするため、野党側から、「政治休戦すべきではないか」(枝野民主党政調会長)との異例の呼びかけが起こるなど、与野党通じ、邦人救出に首相の全力投球を求める声が広がった。
<事態解明の糸口見えず、政府は情報収集に全力>
「新しい情報はない」、「事態の解明はこれからで、情報収集に努める」──。午後の定例記者会見に臨んだ福田官房長官は、事実関係把握に進展が見られない現状について、厳しい面持ちでこう答えた。
犯人グループは、3日以内に自衛隊のイラクからの撤退を人質解放の条件にしている。しかし、昨晩3邦人の拉致が伝えられて以降、犯人グループの居場所や足取りについて、「申し上げられる断定的なものはない」(福田官房長官)といい、きょう午後の段階でも、犯人グループとの連絡について、官房長官は、「取れていない。接触していない」と語った。
政府は、事実関係の把握と人質の解放に全力をあげて取り組んでいる。午後1時には、逢沢一郎外務副大臣をヨルダンのアンマンに派遣。現地で必要な情報収集にあたり、人質の早期救出に向けた態勢作りを行う。
離日を前に逢沢副大臣は、犯人グループとの接触の模索について、「(犯人グループについて)まだ十分特定に至っていないところもあり、あらゆる方の協力を頂きながら、まずは的確な情報を集める。そのうえでどうするかは、適切な判断をする必要がある」と語った。
3日以内とする期日について、政府は公式見解の表明を控えているが、冬柴公明党幹事長や堀内自民党総務会長など与党幹部は、日本時間11日午後9時が一応のタイムリミットと理解しているとしており、一刻の猶予もならない限られた時間のなかで、厳しい政治決断が求められている。
http://www.reuters.co.jp/news_article.jhtml;jsessionid=2ZMM4BRTKSPAQCRBAEOCFFA?type=topnews&StoryID=4793296