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http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20040410k0000m030014000c.html
「日本はなぜ米国の政策に追随し続けるのか」−−。米軍のイラク占領に反発を強める世界各地のイスラム教徒は、自衛隊をイラクに派遣した日本に対しても疑問や反発を感じている。邦人人質事件は直接的にはイラク国内情勢の不安定化が引き起こしたとみられるが、各地のイスラム過激派がいつ「日本も米国と同列」と判断しテロ行為を試みても不思議はない。
2月下旬、毎日新聞のインタビューに応じたパキスタンのイスラム原理主義運動指導者、ニザムディン・シャムザイ師は「多くの国が『戦争の大義』に疑問を感じ、あるいは国民の反発を恐れてイラク派兵を見送ったのに、日本は派兵に応じた。国民は自衛隊派兵を支持しているのか」と何度も記者に問いかけた。
犯行グループは声明で「日本に友情や愛情を感じていたが、日本は恩知らずにも敵意を返してきた」と記した。一般のイスラム教徒の多くは、01年の同時多発テロ事件以降の世界情勢が「イスラム対ユダヤ、キリスト教徒」の対立軸で動いていると考えている。「仏教国」の日本は直接この対立軸にかかわるものではなかった。イスラム教徒は元来、非キリスト教国としていち早く経済成長に成功した日本に対し、好意と尊敬の念を抱いてきた。
「しかし、イスラム教徒の日本に対する気持ちは変わりつつある。米国への追随を続ければ、日本も米英と『同じリスト』に載る。これは友人である日本に対する我々からの警告だ」。シャムザイ師は今回の事件の発生を予言するかのように語っていた。
日本政府は「自衛隊派遣はイラク復興支援のため」と繰り返すが、海外では自衛隊は「日本軍」であり、「イラクに武装兵士を派遣した」ことはイスラム教徒にとって大きな意味を持つ。米国によるイラク攻撃の「大義」をめぐって世界が二つに割れる中で、日本が一方的に米側に追随した結果への反動が出始めている。
【バンコク西尾英之】
毎日新聞 2004年4月9日 18時29分