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民主化プロセス、新たな障害 シーア派が暫定憲法に不満 イラク
http://www.sankei.co.jp/news/morning/27int001.htm
産経新聞 平成16(2004)年3月27日[土]
民主化プロセス、新たな障害 シーア派が暫定憲法に不満 イラク
シスターニ師 国連に「不支持」要求
【バグダッド=藤本欣也】イラクの多数派、イスラム教シーア派が暫定憲法(基本法)への不満を強めている。大アヤトラ(最高位聖職者)のアリ・シスターニ師が「正統性がない」と批判、近くイラク入りし6月末の主権移譲に向けた調整を進める国連にも基本法を拒否するよう要求した。シーア派最高権威の国内世論への影響力は強く、「民主化プロセス」に新たな障害が生じた形だ。
バグダッドの貧民街サドルシティー(旧サダムシティー)で二十六日行われた金曜礼拝。フセイン旧政権時代には禁じられていた黒い旗(シーア派の象徴)が翻る中、モスク前にシーア派住民一万人以上が集まり、「基本法反対」などのスローガンを声高に叫んでいた。
「直接選挙で選ばれた国民議会が承認したものでなければ正統性はない」として、シスターニ師が基本法を拒否したのは今月八日。米国によって任命されたイラク統治評議会議員たちが同法に調印した直後だった。
さらに同師は今月中旬、近くイラク入りするブラヒミ国連事務総長特別顧問に書簡を送付、国連にも基本法の不支持を要求し、そうでない場合、ブラヒミ氏との会見を含め、国連への協力を拒否する強硬姿勢を示した。
基本法をめぐっては、国民の60%を占める多数派のシーア派内に、少数派のスンニ派やクルド人勢力と同等の権利しか与えられていないとの不満があり、一連の発言はこれを代弁した格好だ。
シスターニ師は従来、政治的な見解表明を避けてきたが、昨年秋ごろから直接選挙の早期実施を要求。以降、政治的に踏み込んだ発言を続けている。背景には、シーア派各組織の思惑が絡んでいるとみられている。
シーア派には現在、(1)穏健派のイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)(2)知識人主体のダーワ党(3)反米強硬派のムクタダ・サドル師グループ−などの政治組織がある。イラク戦争終結後は各派の勢力争いが激化したが、「昨年八月、有力指導者だったSCIRIのムハンマド・バクル・ハキーム師が暗殺されてからは“休戦”し、最高権威のシスターニ師を担ぎ出してシーア派の伸長に努めている」(シーア派関係者)という。
このほか、シスターニ師の発言には「危害が加えられる恐れがある場合は信仰を隠してもいい」としたシーア派特有の教義「タキーヤ」が影響しているとの見方もある。つまり、フセイン独裁政権が崩壊したため、主義主張を控える必要がなくなったというわけだ。
一方、国連はシスターニ師の書簡に返答をせず、基本法拒否の要求を事実上無視。シーア派の反発は必至で、六月末の主権移譲に向けた政治プロセスの先行きは一層不透明になってきている。