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1985年に、台南県長選挙に出馬したが、選挙運動中に毒をもられたが危うく一命を取り止め、また妻も国民党の政治テロの仕業と思われる交通事故で半身付随になるなど、厳しい目に会っている。
毒殺しかかった男が、もし翌日ぴんぴんとしていたらどうだろう。
次に台湾選挙関係で興味深い記事を見つけたので、２０００年中央公論記事とともに転載しておく。「陰謀論はびこる」として紹介されているが実に面白い。日本では余り触れられていない点について主旨の意訳を書き添えておく。
ちなみにご存知の方も多いと思うが、陳水扁はケネディに憧れ、足跡をなぞる旅に出かけたことがある。
関連
【憶測】 再選されたばかりの陳水扁氏は近いうちに総統を辞任！？：陳氏陣営の捏造と思われる「陳水扁総統銃撃事件」
http://www.asyura2.com/0403/war49/msg/826.html
Conspiracy theories rampant in Taiwan
http://seattletimes.nwsource.com/html/nationworld/2001884665_conspire21.html
TAIPEI, Taiwan A convenient or worse, faked assassination attempt- Blatant fraud at the ballot box- Conspiracy theories abound in Taiwan's disputed presidential election.
"This is very strange," said Chen Yu-chun, a political expert at the Chinese Culture University in Taipei.
It all began Friday, when bullets nicked President Chen Shui-bian and Vice President Annette Lu as they campaigned. The shots, which caused only minor injuries, turned out to be a life-saver for Chen, who was trailing challenger Lien Chan by up to 6 percentage points, then apparently won a narrow victory yesterday.
No one has been arrested in the shooting, and no one has claimed responsibility, leaving people to blame just about everyone from China and the participating political parties to a gambling ring that stood to drop a fortune if Lien won.
Among the rumors feeding the speculation:
: Chen used the attack as a pretext to activate the national security apparatus, meaning 200,000 military and police - traditionally Nationalists - were too busy to vote.
（無効票の数は２０００年の３倍）
: The invalidated ballots -337,297 in a race won by 29,158 votes- were three times the number rejected in the 2000 presidential election.
（１８年前、選挙の前日に対抗国家主義者から毒殺されたと主張も翌日は元気そうだったと）
: Stories that Chen, while running for elected office in Tainan 18 years ago, appeared at an election eve rally wheeling an intravenous drip and claiming that he had been poisoned by the opposition Nationalists. He reportedly appeared healthy the next day.
（金曜日連れて行かれた病院は総統用緊急治療病院ではなく、銃撃ポイントから遠い非近代的病院）
: The hospital where Chen was taken Friday was not the one designated by the presidential guard to treat the leader in case of emergencies. It was also farther away from the scene of the shooting than the more modern hospital that was designated.
: The seemingly relaxed security around the president before the shooting. He stood in a roofless vehicle driven slowly through a crowded, two-lane street and did not wear a bulletproof vest.
Compiled from Reuters, The Associated Press and The New York Times.
[ 雑誌新聞記事紹介 ]
「台湾新総統 陳水扁」
中央公論 2000年５月号 p164-169
By 酒井 亨 (ジャーナリスト)
http://web.archive.org/web/20010201193800/http://www.joho-kojo.com/za61.html
[梗概]
台湾に、新総統が誕生する。陳水扁氏。赤貧の幼年時代を過ごし、 台湾大学法 律学科をトップで卒業、在学中に司法試験に合格し、弁護士になり、やがて民主活動 家の弁護を引き受けたことがきっかけで、反体制政治活動に入ることになる。1994年から98年まで台北市長を務め、行政手腕を発揮 した。現総統の李登輝氏は、台湾出身者としては初めての国家元首になったが、しょせん国共内戦で敗れて台湾に移った中国国民党の主席である。話す言葉も主に北京語である。台湾住民最大多数派の母国語のホーロー語(一般には台湾語)を話す陳水扁氏には、台湾住民のとくべつの思いがある。「一つの中国」という北京政府の主張も、これまでとは違ったものにならざるをえないのではないか。
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３月18日、台湾の総統選挙で民主進歩党(民進党)の陳水扁氏の当選が正式に確定した。この島の住民にとり、それは新しい時代の到来に映った。日本による植民地支配を含めて、常に外来政権に支配、圧迫されてきた歴史がある。いつかは、自分で自分たちのことを決めたいという思いがある。
戦後台湾を支配してきたのは「中国国民党」である。中国共産党との内戦に敗れ、台湾に逃れ、ここで政権を維持した。国民党とともに戦後台湾に来た中国人移民とその子孫のことを「外省人」と呼ぶ。選挙による総統として初代を務めた李登輝・現総統も、台湾出身者ではあるが外省人であり、国民党の主席であるという矛盾や負い目はぬぐい去ることはできなかった。話す言葉も、台湾住民最大多数派が話す言葉のホーロー語(一般には台湾語)ではなく、台湾の公用語になっている北京語である。
中国大陸から逃げてきた国民党が支配したのだから当然ではあったが、もともと土着の台湾人として生まれ育ってきた多くの国民にとっては、不満が残る。陳水扁候補は、選挙運動中も、できるだけホーロー語を使って、これらの人々の心をつかんでいった。
陳水扁氏は、1951年、台湾南部の台南県官田(コアテン)郷西庄村で生まれた。父親は小作農で、ほんとうに貧しかった。近所の人の援助で進学し、小学校から台湾大学法律学科まで、いずれもトップで卒業している。司法試験も在学中にトップ合格し、卒業後は、収入がよい海事商法専門の弁護士になっている。貧乏だったということが、失業者や貧しい労働者からの共感を呼ぶ。
1975年に、裕福な医者の娘、呉淑珍さんと結婚した。運命を変える出来事となったのが、1979年12月に高雄市で発生した民主化要求デモ「美麗島」事件である。国民党政権に逮捕・起訴された民主派活動家の弁護を引き受けたのがきっかけとなり、反体制政治運動に入った。
1985年に、台南県長選挙に出馬したが、選挙運動中に毒をもられたが危うく一命を取り止め、また妻も国民党の政治テロの仕業と思われる交通事故で半身付随になるなど、厳しい目に会っている。自らが主宰していた雑誌「蓬莱島」が名誉毀損で訴えられ、８カ月間投獄されるという辛酸もなめた。
1989年から94年までは、立法委員(国会議員)となり、建設的な法案を次々に発表し、国会記者たちから「立法委員ベストランキング」で第一位の評価を受けた。1994年から98年までは台北市長を務め、1994年にはアメリカの「タイム」誌の「新世紀の世界100人のリーダー」の一人に選ばれている。それまでは、渋滞と汚染で住みにくい都市の代名詞だった台北市を、1998年には香港で発行される「アジア・ウィーク」誌から「アジアで５番目に住みやすい都市」と評価されるまでにした。
陳水扁氏当選の背景には、台湾人を意識、台湾独立志向の高まりがあることを忘れてはならない。台湾住民は、国民党政権による「中国化」教育の影響で、かつては自分を中国人と考え、統一を望むという人が多数を占めていたが、言論の自由が確立した1994年以降考え方は大きく変わってきている。 「台湾人アイデンティティ」であ るとする人は、1994年に 28.8%でしかなかったのが、1998年には 44.3%に急増している (行政院大陸委員会) 。
陳水扁氏の支持率は、年齢が低くなるとともに圧倒的に増えており、20代 の学生で は 51%に達している。選挙の終盤になって働いたのは、自分が台湾 人か中国人かと いうアイデンティティ要因だったのはまぎれもない事実であ る。取材する日本からの記者たちも話す言葉は北京語であるため、台湾人のこうした生の声は聞きにくかったであろう。ホーロー語を話す土着の台湾人は、中国共産党とは無関係だし、中国大陸の一部であるという認識はない。
台湾の「独立」というのは、こうした戦後もたらされた中国的な文化やシステムから脱皮し、台湾独自のものを確立し、台湾が独立国家として国際社会から承認されることを意味する。
中国は引き続き独立は許さないと恫喝するかもしれない。しかし、台湾を中国の一部とする論拠は、もともと中国に存在した一勢力の中国国民党が台湾に逃げ込んでつくった政府であるということにある。したがって国共内戦とまったく関係のない民進党政権の誕生で、中国はその説得力を失うことになる。しかも、中国自らが、多言語、多民族国家であり、少数民族文化を奨励している以上、台湾住民の母語や文化の発展に反対する理由はまったくないといえる。
陳水扁氏の当選で困惑しているのは、中国でも米国でもなく、日本の政府や与野党ではなかろうか。陳水扁氏は、台湾の政界ではめずらしく、米国、日本を含めた海外留学経験がない。しかし、副総統になる呂秀蓮氏はハーバード大学への留学経験があるなど、民進党には米国とそれなりのパイプがあるが、日本との関係で、太いパイプをもっている人はほとんどいない。
これは民進党や陳水扁氏らがその努力を怠ってきたのではなく、これまで民進党や台湾独立派に冷たかった日本側の姿勢に問題がある。日本の代表機関である交流協会も、これまで民進党と接触してこなかった。筆者が民進党関係者を東京で案内したことがあるが、彼らが自民党や旧社会党の政治家に面会を求めても、門前払いの連続だった。自民党は国民党としかパイプがなく、旧社会党など野党は、中国共産党に気兼ねしてきた。
今後、日本の政府や与野党はどうやって新生台湾と関係を構築していくのであろうか。陳水扁政権の誕生は、中国、米国との関係もあいまって、大きな波紋を広げるに違いない。
コメント：産業もない東ティモールは簡単に独立できたのに、台湾の独立は米国も日本もタブーである。やはり大国中国の威圧は強いということだ。
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