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バグダードバーニング by リバーベンド
... I'll meet you 'round the bend my friend, where hearts can heal and souls can mend...
友よ、私の心が失われあなたさえ見分けることができなくなったら、どうか私を偉大な文明をはぐくんだ、チグリス・ユーフラテスの胸元に連れて行って欲しい。そこで私は心を癒し、魂を再生させるでしょう。
2004年3月12日金曜日
春・・・
このところ、夕食のテーブルの話題は、暫定基本法(憲法)のことばかり。友だちに全文をプリントアウトしてもらって手に入れた。昨日、今日とかけて目を通した。調印式はほんの一部しか見ていない。途中で停電したからだ。それにあとでわざわざ見る気はしなかったので。
書かれた言葉として見ると、まあまあだ。言葉ってそんなものだ。ところどころ前の憲法が見え隠れしている。暫定基本法をめぐる議論の中心は、その正当性如何にある。あらすじは、占領権力が、一群の亡命者を呼び込み、イラクは”解放された”と宣言し、国民が独裁体制以来使っていた憲法を無効だと宣告し、統治評議会という名の操り人形団をでっちあげた、ということ。こういう法が、正当と考えられるだろうか。
さらに、操り人形たちは、いったいどの程度、この暫定基本法をまじめにやろうと思っているだろうか。たとえば、”何びとも、法によらず逮捕あるいは拘留されてはならない。また、何びとも政治的あるいは宗教的信条を理由として拘留されてはならない”。アメリカ軍は、強制家宅捜索と法に基づかない不当な拘留を、6月30日がきたらやめるのだろうか(家宅捜索と拘留はまだ頻繁に行われている)。それとも、暫定基本法は、イラク国民だけに適用される?
先日聞いた、ティクリートで不当に逮捕、拘留された男性のことを話そう。アメリカ軍は、彼の家を襲い、彼(25才)、弟2人、年長の叔父を一ヵ所に集めた。ことは通常の手順で進められた。いつもみんながやられるように。頭に袋をかぶせられ、その上縛られて、ティクリート郊外のどこかに連れていかれ、納屋のような所にほおり込まれた。3日間、兵士たちに殴る蹴る罵るの暴行を受けた。暴行の合間に、巨漢の兵士が金切り声で尋問し、それを通訳が訳す。「おまえはアルカイーダの仲間か?! オサマ・ビン・ラディンを知ってるか?!」。3日目、拘留されていたうちの一人が、リーダーらしいと目星をつけた男(いつも命令を下していたから)と、話をつけた。兵士を一人見張りに付けて町に戻り、一人あたり300ドルを持ってくる、そうすれば、残りの3人は2、3日中に解放するという約束で。
うまくいって、2日後、残りの3人は、道ばたで降ろされたところから歩いて帰ってきた。つまり、彼らは、身代金を払って自由になったというわけ。’新生イラク’のごくありふれた話のひとつ___チャラビが、暫定基本法に署名しながら歓喜に酔っていても無理はない。いまこの国は、無防備の銀行のようなものだから__とくに武器を携帯している者たちにとっては。
この法に対する一般的なムードは、一種の倦怠だ。イラク人は、’暫定’や’移行段階’に飽き飽きしている。ほとんど1年に及ぶ不安定で敵意に満ちたな状態が続いて、いま私たちは、なにか確実で明確なものを渇望しているのだ。
風には春が感じられる。イラク人にとっての春とは、砂嵐と豊かな日光である。私たちは、いまの気候を満喫している。4月の終わりには、夏まっさかりとなって、これでもかとばかりの熱波が押し寄せる。いま、朝はすこし寒くて、昼までは上着が必要。もう、灯油ストーブは必要なくて、これはE(弟)にとっては任務解除の喜び。ストーブの給油と庭のタンクをいつも満タンにしておくのは、Eの仕事だったから(灯油売りとは仲良くなった)。
この数日、去年のこの頃のことを思い出している。去年の今日のことを。3月初め頃、していたこと・・・戦争の準備。井戸を掘り、窓をテープで貼り、ろうそくやマッチや灯油や米や小麦粉や包帯や薬やそのほかいろいろ買いため・・・そして、いま私たちのしていることは?―― それを使ってる。
リバーによって掲示 午後11時2分
(翻訳 池田真里)
http://www.geocities.jp/riverbendblog/