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【バグダッド=岡本道郎】新生イラクの暫定憲法にあたる「イラク基本法」に対し、同国のイスラム教シーア、スンニ両派の宗教勢力が反発を噴出させ始めた。両派のイスラム法学者がさる12日の金曜礼拝に際し、同法の欠陥を激しく批判、大衆行動を呼びかけたものだ。
「ナジャフはこの法を拒否する」。12日、バグダッド中心部のフィルドス広場に集まった約5000人の信徒を前に、礼拝導師アリ・イブラヒミ師が叫んだ。集会は、シーア派聖地ナジャフの有力法学者ヤアクービー師が、基本法を拒否する意思を表明するため、わざわざ首都で企画した。
同師はこの日配布したビラで、将来の恒久憲法についての国民投票で、「イラク全18県のうち3県で有権者の3分の2が拒否すれば承認されない」ことを定めた基本法61条C項に関し、「少数派が多数派の意見に優越する民主主義など初めてだ」と糾弾。北部3県で自治区を保持するクルド人勢力に事実上の拒否権を与える内容は、人口多数派として受け入れられない姿勢を鮮明にした。
別のシーア派指導者モクタダ・サドル師も同日、クーファでの金曜礼拝で「基本法はイラクとイスラムを売り渡すもの」と非難、スンニ派のイスラム法学者でつくるイラク・ムスリム・ウラマー協会も15日、バグダッドで記者会見し、「占領者に任命された統治評議会がつくった“憲法”には正当性がない」などと批判する声明を発表した。
一方、基本法の最終調印まで迷走が繰り返された背景には、統治評議会が、問題のクルド条項をシーア派の最高権威アリ・シスタニ師に事前に伝えていなかった事情のあることが、関係筋の証言で分かった。もともと今月3日に予定され、テロのために5日に延期された調印を、直前になってシーア派グループが拒否したのはそのためだという。
基本法をめぐる対立や統治評議会への不信が解けなければ、主権移譲後の暫定政府の構成をどうするのかという基本的な問題で、イラクの政治プロセスは暗礁に乗り上げかねない。
(2004/3/16/01:37 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040315id28.htm