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転載:アスナール政権最後の醜態(最終回):「3.11Madrid」謀略を糾弾する!
以下は、電子手紙情報の緊急転載:
すでに世界各地で報道されているように、スペイン内務相アンヘル・アセベスは11日夕方に、マドリッド市内の鉄道駅のそばに置き捨ててあった盗難車のバンの中に、7個の起爆装置と共に、コーランが吹き込まれているカセットテープが置いてあるのを発見した、と語り「第一の容疑者はETAだが、その背後に他のテロ組織の存在も考えなければならない」と、アラブ系の「テロ組織」が関与している可能性を示唆しました。またご存知のとおり、「アルカイダ系統」の「アブハフス・アルマスリ旅団」を名乗る組織が「犯行声明」を出しているようですが、この「旅団」は勝手にいろんな「テロ」に「犯行声明」を出しているようなので、可能性はありますが明確ではありません。
また爆薬はほとんどがダイナマイトで、13個のリュックサックに詰められて合計で100キログラム以上、という発表です。満員電車ですから、リュックサックを運んで置いた者が少なくとも13名いることになります。かなりの人数です。なおスペイン時間12日22時現在で、死者は199名、負傷者は1463名を数えています。
12日にETAはバスクの新聞とテレビ局に対して正式に犯行否定声明を出しました。さらに警察発表では、爆発物と起爆装置は普段ETAが使用しているものとは異なる、と発表しています。こうして内務相のアセベスが言っていた「爆発物がETAが普段使っているものと同じだからETAが第一容疑者だ」との大嘘がばれてしまいました。ただ与党国民党とすれば、「ETA犯人説」が投票日の日曜日まで効果を発揮してくれたらそれで良いわけで、当面は取り下げないでしょう。
それにしても、盗難車をわざわざ見つかりやすいところに置き、その中に「起爆装置」と「コーランが吹き込まれているカセットテープ」を残す、という間の抜けたテロリストがいるのかどうか、まさに見え見えのデッチ上げ、『捏造された証拠』ですが、アスナールのオトッツァンは「総てのテロリストを根絶するまで戦う」と意気軒昂です。「総ての」という限りは、これからどんどん中近東−中東情勢に食らい込んでいく、という意味ですね。もちろん中南米にも。何せ反米を唱えるけしからぬ「テロリスト」がウヨウヨしているそうですから。さらに11日の国連安保理事会ではスペインのごり押しで「ETAの名前を織り込んだ非難決議」を採択したようですが、「ETA」は14日の総選挙直前でアスナール国民党政権にとってはなくてはならない「頼みの綱」のようです。
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今年に入ってからこの国では奇妙なことが連続して起こっています。2003年11月末のカタルーニャ州総選挙で、1980年以来州政府を率いてきた保守系民族主義の「集中と連合」党が、社会党・カタルーニャ左翼共和党・カタルーニャ「主導・緑」党の左翼連合に政権を明け渡し、長い間「カタルーニャの顔」であったジョルディ・プジョルは引退しました。同時に「保守のよしみ」で連立政権を組んできたアスナール国民党も下野することになりました。左翼連合の組閣が完成したのは12月も15日過ぎてだったのですが、このあたりから変なことが連発し始めます。
2004年3月14日の総選挙でアスナール国民党が過半数を取れるかどうか、は、アメリカ・イギリスと手を組んで最も積極的に中東戦争謀略に加担してきた国だけに、単にヨーロッパの片隅の1国の問題では済まず、ヨーロッパ全体の趨勢に大きく影響を与え、ひいては世界の今後を左右しかねない重大な意味を持っています。万一、社会党主導の連立左翼政権でもできたら、EUを英米路線に巻き込んで「大中東構想」を実現させ中東・近東の再編を企むアメリカとイギリスとイスラエルの計算は大きく狂うことになりかねないでしょう。これは特に「盟友」ブッシュにとっては大ショックになるはずです。
実際、国民党が過半数を取れるかどうかは非常に微妙な情勢でした。国民の3分の2がイラクからの撤退を求める、というように、国民の反戦意識は強く、生活のためやむを得ず国民党を支持する国民が多くても、いつ何の拍子に「寝返る」か保証は無いわけです。「スペイン国民党の絶対過半数を維持させて、アメリカ・イスラエル主導の中近東再編に奉仕させなければならない」と考える勢力が「いかなる手を使ってでも」という方向に走ることは簡単でしょう。
1月27日、スペインの日刊紙ABCが、カタルーニャ左翼共和党の党首カロッ・ルビラが1月4日と5日にフランス南部のペルビニャン(カタルーニャ人の地域)でETAの幹部と会談したことをスッパ抜きました。これが激震の始まりです。ABCがどの筋から情報をつかんだのか、は未だに明らかではありませんが、この謀略にはスペイン国家中央情報局(CNI)が噛んでいることははっきりしています。カロッ・ルビラは事実を認め、カタルーニャ政府要員の辞任を決意しましたが、時すでに遅しです。
国民党とアスナール政府がカタルーニャ左翼共和党と連立政権を組む社会党を攻撃し始めたことは言うまでもありません。これに対して社会党のサパテロ書記長はこの件を3月14日の選挙対策に利用されることを恐れ、「政府は始めからその情報を知っていたはずだ」とCNIの資料を公開するように求めました(2月1日)。しかし国民党はそれを妨害し、政府は「情報局からは何も聞いていない」としらばくれ、挙句に国防相のトリーリョが「CNIはその情報をつかんでいなかった」と発表するにいたりました(2月3日)。
もうミエミエです。何せ2月4日に社会党が戦争前のイラクに関するCNIの情報を公開するように求めたときにもトリーリョは「CNIはイラクに関する情報は全く持っていなかった(だから公開できない)」などと抜けのうのうといっています。国が戦争に加担するときに情報機関が情報を持っていない、などおよそ独立国家ではありえないことです。英米と一緒で、スペイン政府は徹底的な嘘つき集団、と言えます。
2月6日にはカタルーニャ左翼共和党は政府を相手取ってスパイ容疑(公党の党首をCNIを使ってスパイさせた)で告訴しましたが、判決が出ても半年以上かかるうえに裁判の結果は見えているでしょう。また2月11日には元首相で社会党の重鎮フェリペ・ゴンサレスが「政府は野党追い落としのためにCNIを利用している」と非難しましたが、CNIの政治利用についてはゴンサレス自身にも後ろめたい過去があることで、迫力に欠きます。
激震の第2段は、2月18日に訪れました。ETAがカロッ・ルビラとの会談を受けて「カタルーニャとのみ停戦する」と通告したのです。むろんマドリッドを首都とするカスティーリャ人は怒り狂います。カタルーニャ人にしても居心地の悪い気持ちは否めないでしょう。「地方エゴ」への非難はカタルーニャとバスクの独立志向を憎み切る国民党にとっての大きな「追い風」です。このようにETAは実に良いタイミングで次々と国民党を助けていきます。昨年来、スペインとフランスでETAの幹部がほとんど根こそぎ逮捕されており、現在の幹部はおそらくCNIのスパイなのでしょう。
続けて3月1日には第3段がスペインを揺さぶります。バルセロナからマドリッドへ向かう国道で大量の爆発物を積んだバンが発見され、ETAの若い下っ端と思われる2名のバスク人の青年が逮捕されました。そして内務相のアンヘル・アセベスはこれを「マドリッドへの攻撃の準備」とみなし嫌味たっぷりに「カタルーニャにおめでとうと言いたい。こうやってカタルーニャは守られマドリッドは攻撃されるのだ。」と言ってのけたのです。
そして仕上げが3月11日。ETAにアルカイダが付け加えられ、アスナールは最大限に「世界中のテロリズムに対しての断固たる戦い」を訴えました。ブッシュはすぐさま「哀悼の意」と「テロとの戦いの盟友」への連帯感を表明し、バチカンもテロリスト非難の声明を出し、EUは3月11日を「テロ被害者の日」として記念することを決め、国連では「ETA非難決議」が採択され、スペインでは総ての政党が選挙戦活動を中止して、12日には官製デモがスペイン中で行われ、そして14日の総選挙。
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私がスペインに来てから8年が経ちますが、この間ETAの起こした爆破テロはどれほど大規模なものでも総て事前予告があり、「標的」以外の人間は殺さない配慮がありました。また政治的な目的がはっきりしていました。今回の目的は? 選挙を妨害する? アスナール政権としては、日曜日までは「ETA主犯説」が通用してくれたらそれでよく、後は「反テロの戦い」に国民を総動員できたらよいわけで、もうETAには用事はなくなります。
私は、これは、ETAにもぐりこんだCNIのスパイが手引きして準備を整え、そして恐らくMI6かCIA、あるいはモサドが仕組んだものでしょう。このような完璧で残忍極まりないこの手口はむしろモサドを連想させます。どうせ何日かしたら2,3人がパクられて「ETA」とか「アラブ組織」とかの関係を吐いて、スペイン人が否応なしに「対テロ世界戦争」の枠組みに組み込まれていくでしょう。ミニ版「9.11」ですが、世界の各地で同様の事件が頻発する可能性があります。特に東京は要注意です。
スペイン国民がこの事件をどうとらえるか、ですが、12日の午後7時から行われたデモには、主催者発表ですが、マドリッドで200万人、バルセロナで120万人が参加したそうです。この蛮行による死者を悼む気持ちには変わりないでしょうが、今回のテロの本質をどうとらえているのか、が問題です。政府与党の思惑通りに「3.11⇒ETA⇒カタルーニャ左翼共和党⇒社会党⇒野党」と連想ゲームがつながるのか、それとも「この災厄を招いた責任はアスナールと国民党だ」という方向に行くのか。
昨夜(11日)10時過ぎから、窓の外からカンカンカンという鍋を叩いている音が響いていました。この国では住民が何かに抗議の意思を示す場合、午後10時過ぎに窓際で鍋やフライパンなどを叩いて近所に触れ回り、同調する人は自分も鍋をたたいて音を立てます。昨年の3月にイラク戦争がはじまった時には、バルセロナの街中が2週間ほど連続して夜10時から15分間ほど鍋の猛烈な音で包まれました。窓から顔を出して音を聞いてみると、少なくとも住民の半分近くが参加しているのではないか、と思いました。しかし昨夜は私の部屋の近所ではせいぜい3,4軒くらいで、すぐにやんでしまいました。少し安心しました。カタルーニャは冷静です。バルセロナは冷静です。
しかしマドリッドではそうではないかもしれません。アメリカ人ほど狂気じみたヒステリーにはならないにせよ、スペイン政府とその裏にある勢力の思惑に沿った流れが一気にできていくのではないか、と恐れます。またイスラム教徒に対する目も厳しくなるでしょう。狙われた鉄道はマドリッドに住む外国人が、その多くがイスラム教徒ですが、よく利用するものでアトゥーチャ駅の付近にも大勢のアラブ・北アフリカ系の人たちが住んでいます。(バルセロナでも同様で、私の向かいの部屋にはアルジェリア人と思われる一家が住んでいます。亭主は近所の看板屋で一生懸命働いています。概してイスラム教徒たちは貧しくても毅然とした誇りを持って生きています。)次第に悪夢が身近な現実にも近づいてくるようです。
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願わくはスペイン国民が「本当の敵」を直感的に感じてほしいと思います。「ETA」であろうと「アラブ系」であろうと、いわゆるテロリストが誰に奉仕しているのか、誰がテロを喜ぶのか、つまり本当のテロリストは誰なのか、「情報」にごまかされない、スペイン人のあふれるような直観力で、見抜いてほしいと、ほとんど絶望的な気持ちの一方で、願っています。この思いは同時に、遠い祖国日本にも、少しでも届いてほしいと思っています。