現在地 HOME > 掲示板 > 戦争49 > 301.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
「クルディスタン、万歳!」。イラク北部キルクーク郊外のクルド人地区ラヒマウィ。クルド旗が並ぶ幹線道路に面した小学校の一室で、少女たちが一斉に立ち上がり、クルド語で叫んだ。旧フセイン政権が禁止したクルド語教育は1年生を対象に始まったばかり。クルド語は8日調印された「イラク基本法」でもアラビア語と並ぶイラクの公用語と定められた。大油田と複雑な民族事情を抱えるキルクークの帰属問題が今後の焦点となる中、市内では「クルド化」の流れが急速に進んでいた。【キルクークで井上卓弥】
キルクークにはクルド、アラブ人のほか、少数民族のトルクメン、アッシリア(キリスト教徒)人が混住。油田掌握を目指す旧政権は80年代から、クルド人を周辺の自治区に追放し、アラブ人を移住させる「アラブ化」政策を強行した。イラク戦争後、米軍に協力したクルド人の帰還が進む一方、復讐を恐れるアラブ人が流出し、民族構成は劇的に変化している。
同校周辺にクルド人帰還者が建てた無許可の仮住宅は1000軒を超える。クルド語教師と教科書の不足から、2年生以上はアラビア語の授業を継続中だが、市内のクルド系小学校15校とともに数年でクルド語への全面移行を目指している。
これに危機感を抱くトルクメン人らも独自の教育課程を導入し、民族ごとの分立傾向が強まる。しかし、クルド人女性校長(46)は「弾圧の歴史がクルド語教育待望論につながるのはやむを得ない」と語った。
トルクメン人やアラブ人は、クルド化に対する抗議デモを断続的に決行。先月23日には、ラヒマウィ地区の警察署が車載爆弾による自爆テロ攻撃を受け、クルド人警官約10人が死亡した。治安悪化に伴い各勢力間の不信感は増幅されている。
クルド化は治安現場でも進み、トルクメン人のヨシフ・キルクーク警察本部長(40)は「クルド人警官比率は民族間合意で4割のはずだったが、米英占領当局(CPA)が承認し実際は7割以上。私自身『クルド政党に協力しろ』という脅迫を毎日受け、辞任も考えている」と明かした。
一方、米軍の支援で就任したクルド人のムスタファ・キルクーク市長(53)は毎日新聞に「(クルド人)帰還民の定住には法的問題もあるが、元来は市の住民。いずれ選挙権は与える」と明言した。クルド政党幹部はかねて「住民投票で決めるしかない」と主張。反クルド派は選挙をにらんだクルド人の多数派工作だと批判している。
[毎日新聞3月10日] ( 2004-03-10-23:51 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040311k0000m030095000c.html