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イラク開戦後の民間人死者1万人突破
イラク戦争開始から1年、英米のNGO非政府組織「イラク・ボディーカウント」によると、開戦後の民間人死者は最大1万625人、最小8776人となり、最大見積もりで1万人を突破した。(01:06)
イラク開戦後の民間人死者、最大1万人突破 NGO集計
http://www.asahi.com/international/update/0325/004.html
イラク戦争開始から1年、英米の非政府組織「イラク・ボディーカウント(IBC)」によると、今月22日時点で開戦後の民間人死者は最大1万625人、最小8776人となり、最大見積もりで1万人を突破した。その数は日を追って増え続けている。
オックスフォード大などで心理学の調査活動を行っているジョン・スロボダ博士(53)は昨年1月、仲間と共にイラク人の民間人犠牲者を確認する市民運動としてIBCを立ち上げた。戦闘などの巻き添えで亡くなる市民は米英軍も国際団体も公表せず、散発的に報道されるだけだ。米英当局の発表だけでは戦争と占領の実態はわからないと考え、集計をインターネットのサイトに掲載することにした。
欧米を中心に200社近い定評あるマスコミを継続してチェックし、複数メディアで確認された数を積み重ねてきた。「最小」と「最大」に幅があるのは、市民と断定できない数字を「最大」から差し引くなどの処理をしているためだ。「報道は氷山の一角。記者が入れない場所もたくさんあり、沈黙したまま報告されない死者も多い。私たちの集計は最低限の数だ」とスロボダ氏は言う。
民間人の「死」には明らかなパターンの変化がある。昨年4月末までは爆撃や銃撃戦に巻き込まれた死者が多く、最大7350人だった。その後はクラスター爆弾に接触して死亡する例が報告され、昨夏からは職を求めて警察官になったイラク人や米英の暫定占領当局(CPA)の協力者が集中的に狙われた。この3、4カ月は自爆テロの巻き添えが急速に増えた。
「われわれは調査ボランティアで、客観的なデータを提供することに活動を限定している。しかし死者がいまだに増え続けているのは、米英の占領政策が不十分だからと結論づけざるを得ない。占領政策の最大の被害者はイラク民間人だ」
開戦直前、ブレア首相は英下院で次のような演説をした。「われわれはイラク人と争うわけではないということだ。フセイン(元大統領)は、今後1年で、われわれが戦う場合よりずっと多くのイラク人に死をもたらすだろう」。フセイン政権の圧政を訴えた演説だが、スロボダ氏は反論する。
「民間人死者を数えずに、なぜそんなことを言えるのだろう。昨年5月の国連決議以来、米英は占領当局としてジュネーブ条約などに基づく被占領民保護の責任を負っている。戦後の3000人近い死者に対して、その義務を果たしたと言えるだろうか」
毎日、米国などから嫌がらせメール数十通が殺到する。「そんなにイラクの民間人が大切なら、イラクに行きたまえ」。だが、英国と並んで最もアクセスが多いのも米国人だ。15人のスタッフは、今後もカウントを続ける覚悟だ。
(03/25 01:06)