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スペインで起きたような列車爆破テロは日本でも起こるか。可能性があるとすれば、どう備えるか。野田健・内閣危機管理監に聞いた。【聞き手=政治部長・山田孝男】
――スペインの事件はアルカイダの犯行と見ていますか。
◆ETA(北部・バスク地方の独立を求める非合法組織「バスク祖国と自由」)か、アルカイダか特定できない段階ですね。共同してやったということもあり得る。
――アルカイダだとすれば、テロは日本でも起こり得ると?
◆日本はいろいろな意味で米国と共同して事にあたっているから、ターゲットになる可能性はあるでしょうね。ただ、日本にアルカイダの支部のようなものがあって活動しているという実態はない。具体的な情報があって攻撃されそうだというような状況ではありません。どちらかと言えば日本は(アルカイダがテロを)やりにくい環境だろうと思います。
――アジアのイスラム系過激派やテロリストがアルカイダと組んで日本を狙う可能性は?
◆東南アジアにはアルカイダの細胞組織みたいなものがありますが、地域の極左組織とアルカイダが共同オペレーション(作戦行動)をやる事例はあまり聞かない。
――日本のカルト(反社会的・狂信的)組織と連携する余地は?
◆ないでしょうね。アルカイダの支持者みたいな人もいますが、組織的な動きではない。
――中東のアラビア語紙に日本を名指ししたテロ予告声明が出た。どう評価していますか。
◆日本が名指しされたことは過去にもあります。無視できないし、警戒はしますが、危険度が極めて高くなったわけではないと考えています。
――列車テロ対策はどうなっていますか。
◆列車テロというのは影響が大きくてプロパガンダ(思想宣伝)性が高い半面、やってしまうと誰もその主張に耳を傾けなくなる。そういう意味で、テロリストが「どんどんやろう」と単純に考える性質のものでもないと思うんですね。
そういう前提での話ですが、地下鉄サリン事件(95年)の後、主要駅にビデオ装置が設置されるようになった。必要に応じて金属探知機も置くし、爆弾を捜索する警察犬を出すとか、警乗(警察官の乗務)を増やす。警察庁が全国に指示して随時やっています。
――新幹線の駅を空港並みに警備することも検討していますか。
◆乗客が大変な負担を負うことになるので、今の状況では現実的ではないと思いますね。
――テロ対策を進める上で制度上の不備、不足を感じていますか。
◆外国との間でもっときわどい、いい情報が交換できるかという課題があります。今のテロは国際的なつながりの中で行われますから。不法滞在者が二十何万人もいて、密入国者もいるという現状は、国際テロを防ぐという観点から見ると弱点の一つでしょうね。
――日本は諜報(ちょうほう)にうとく、しかも縦割り行政です。入管、海保、警察がバラバラで、国内の情報流通もおぼつかないという実態では?
◆だから内閣機能を強化した。他の官庁の統制機関として内閣府を設けた。昔、意地張っていたようなところが、ずいぶんよくなっています。現場に聞いてみると、「今はこうやっています」という手応えのある回答が多い。まだまだ理想的ではないかもしれませんけれども。
――日本社会は無防備過ぎますか。
◆英国は爆弾テロをしょっちゅうやられていたから町じゅうにビデオ装置がある。そうやってテロリストを隔離していった。だから日本もやりましょう、と言ってすぐに賛同が得られる状況じゃない。私はもうちょっと(防犯カメラ設置を)やった方がいいと思いますけどね。実際の危険の度合いと一般の方々の意識が、必ずしも合っていない気もする。日常生活、もうちょっと警戒心をもっていただいた方がいいと思いますね。
◎略歴=野田健(のだ・たけし)氏
67年警察庁入庁。91年宮沢喜一首相秘書官。在任中の93年、カンボジアPKOで日本人文民警察官殺害事件が発生、最終的にPKO部隊の派遣継続を決めた政府内の調整に取り組む。同庁刑事局長、長官官房長を経て99〜02年警視総監。今年1月から現職。60歳。
[毎日新聞3月24日] ( 2004-03-24-02:01 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20040324k0000m010154000c.html